異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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68.似たもの同士

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勢いで追いかけてきてしまったが、沈黙の中どうすれば良いのか分からなくて内心、困っている。
直ぐに背を向けて見えなくなったけど、ミシェルの泣き顔を見て何言っても嫌味に聞こえるんじゃないかと考えたからだ。

でも、こうしていても何も変わらないし、進まない。
勇気を出して声を絞り出す。

「ミシェル様……は、ジョセフィード殿下の事が好きですか?」

俺の問いにピクリと反応があるが、黙ったまま再び沈黙が続く。
これは聞いてはいけなかったか?
やっぱり嫌味に聞こえたか?
寧ろ追いかけてきたことがダメだったか!?
でも俺は、泣いてる女の子放置する趣味はないんです!

それだけじゃないけどさ、カフェから飛び出して行ったミシェルの顔は絶望感が滲み出ていた。
何かジョセフの婚約者になることに固執してる理由が、地位目当てじゃない気がして……

ぐるぐる考えながら風で葉を揺らす木を見上げていたら、ポツリとミシェルが呟いた。

「貴女は……わたくしを嗤いにいらっしゃったのですね……惨めだとおもっていらっしゃるのでしょう?」
「は!?思ってませんよ!?」

ナンデソウオモッタシ!?

いや、やっぱり嫌味に聞こえましたか!?
ごめんなさい!どうすりゃいいのかな……女の子なんて気持ち分からないって!
慌てる俺を見もせず、ミシェルは自分の体を抱き締めた。

「ジョセフィード殿下の……言うとおりですわ。わたくしは、あの方の正妃に……地位だけが目当てで愛など……」
「…本当に?」

思った以上に声が低くなってしまった。横で俯いているミシェルにを見ると微かに震えている。
怯えさせてしまったと焦っていると、掠れる声が帰ってきた。

「父がそう望んだのです…わたくしはそのために生まれてきたと。だから婚約者になれなかったわたくしはお咎めを受けても仕方ありません。ですが…その所為で…兄様が、わたくしを庇ってお父様に殴られるのです……だから…わたくし…わたくしが、正妃にならないと…また兄様が…」

俺は驚いた。だって俺は両親に愛されて育ったから…今の両親も今の俺アンジェリカをとても可愛がってくれてるから、あんまりピンとこないが、もしお兄様が俺を庇ってお父様に殴られたらどれだけ辛いだろう。
想像しただけでゾッとする。
ミシェルはたぶん、父親が怖くて言われたとおりにしていたのかもしれない。でもアンジェリカがジョセフの婚約者になってしまったから、怒られて、庇ったミシェルの兄ちゃんが殴られて余計に怖くなったのだろう。

「今まで嫌がらせをしてきた事…許してもらえるとは思っておりません。きっと、今回の事で皆わたくしから離れていきますわ…殿下に完全に見放されましたもの…わたくしに誰も見向きもなさらないでしょう」

たしかに彼女のやったことは許されることじゃないけど、嫌味や悪口は言われたけど肉体的ないじめはなかった。
きっと根はそこまで悪人じゃないのかもしれない。
俺はミシェルの正面に回り、彼女の手を握った。

「ミシェル様、私に何を言われても嫌味に聞こえるかもしれませんが…私に出来ることなんて殆どないかもだけど…私が一緒にいます!」
「アン…ジェリカ…さん……それは同情ですの……?」
「いえ、私も…昔は威張り散らしていてお友達もいなくて、殿下も内心は私を嫌っておられたと思います……だから…少しだけお気持ちが分かります。このままではいけないのではないかと思うようになりましたが、なかなか自分を変えるのは難しくて…」

きゅっとは唇を噛み口を噤んだ。
意外そうにこちらを見るミシェルと視線が合う。

「アンジェリカさんは人当たりも良くて男女関係なく慕われていると…わたくしも、そのようになれたらと…思っておりました。……それもあって、わたくしは貴女を妬んでいたのかもしれませんが…」
「ミシェル様が変わろうと思っているなら大丈夫ですわ。少しずつで良いのです。まず手始めに私とお友達になってくださいませんか?」
「わたくしと…?」
「はい!嫌でしょうか?」

ミシェルはふるふると首を横に振って俺が握っていた手を握り返してきた。
少し頬を赤らめ、俺を見てはにかんだ。

「…初めて言われましたわ…なってあげてもよろしくてよ」

まだ上から目線だけど、嬉しそうなミシェルの顔を見てホッとした。
だが問題が解決したわけではないのですぐに顔を引き締める。
最大の問題はミシェルの父、イグナシオン侯爵だ。
大臣だったはずだから俺がどうこう出来る相手じゃない。
ああ、明日からミシェルが学院でハブにされないようにもしなくちゃいけないし…

されても俺は一緒にいるつもりだけどさ…

そうなると皆にも迷惑かかるかな…クラスも違うし、考えなしだと豊かに怒られそうだ。


どうすりゃいいのかと考えていると、かさりと草を踏む音が聞こえて、音のした方を向くとそこには顔色の読めないジョセフと呆れた顔をしたお兄様が立っていた。





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