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70.本来の悪役令嬢ポジション
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ミシェルと仲良くなってから2か月がたった。
紅葉した葉がたくさん散り、寒気の時季に向かっていた。
懸念してた通り、カフェでの騒ぎの噂が出回るようになったが、当事者である俺やジョセフ、ミシェルが否定したために一ヶ月もしたら収まりを見せた。
ミシェルと仲良くなったことをシアやレティーツィア、エミリーに話すと三人そろって渋い顔をされたが、ミシェルはちょっと素直じゃないけど、実は優しい子だと熱弁したら、しぶしぶ納得してくれた。
クラスの違うミシェルとは昼食一緒にとったり、放課後、部屋を借りて談笑して、お茶会をひらいたりして皆とも今では打ち解けてきた。
シアだけはミシェルを気遣う俺に「ミシェルさんばかり構うからアンジェがとられてしまったように感じてしまいます」と焼きもちを焼かれ、美少女に初めて焼きもちを焼いてもらった俺はあまりの嬉しさに舞い上がってしまいそうになりながらも「初めての友達はシアだし、一番の親友です」と返したらめいいっぱい抱きしめられました。
女の子の体ってホント柔らかくていい匂いだよね…と思わず呟いてしまったのを不幸にもジョセフに聞かれてしまって、ひどい目にもあっってしまった。
マシになったと思ってたけど、嫉妬深いのは変わらなかったですね。ごめんなさい。だから激しいのは許してください。
ミシェルの取り巻きたちは始めは、俺と仲良くなったことで反発して、俺にもミシェルにも軽い嫌がらせはあったけど、対立してたシアとミシェルが仲良く――――実際は俺を挟んで話すからそう見えてるだけだけど――――してるのを見て、イグナシオン侯爵家だけでなく、オーウェンス公爵家まで敵に回すのはヤバいと思ったのか、手のひらを返したように俺たちに媚びを売りだして少しウザイ。
それを笑顔であしらう二人を見た時に、さすがは王太子妃最有力候補だった二人だと感心した。
俺も見習わないと……と呟いたら、二人揃って「アンジェ(リカさん)はそのままがいいのです!」と同時に勢い良く振り向いて言ってきて、そのあと二人はお互いを見てから固い握手を交わしたのには驚いた。
そして今は、久し振りにジョセフと帰り一緒に帰る事になり、王家の馬車に揺られている。
お兄様は用事があって一足先に家に帰ってしまってた。
この二ヶ月間、ジョセフは忙しそうで、朝も一緒に登校できない日が続いていて、今日の朝も同様に遅れて登校してきたらしく、俺はお兄様と学院に登校した。
数日ぶりに一緒にいられる事に少し嬉しく思ってにやけそうになる頬を必死に堪えていると、隣に座っていたジョセフが俺の指に指を絡めてきた。
「ちょ!ジョセフ恥ずかしいからやめろよ」
「久し振りに二人きりなのだからいいだろう?これでも我慢してるんだぞ。本当はもっとあれこれしたいんだからな」
至近距離で見つめられて頬に熱が集まる。
そんな俺を愛しそうに見つめ、真っ赤な頬にキスを落とした。
慌てる俺を楽しそうに見るジョセフを軽く睨み付け顔を見ると、少し疲れが浮かぶジョセフの顔に眉が下がる。
「……お前が忙しいの俺の所為でもあるよな……ごめん」
「お前が謝る事じゃないだろう?だが、先に謝っておく……すまないが、どう足掻いてもイグナシオン家を無傷で事を納めることはできそうにない」
分かっていた答えを言われ、俺は歪めた顔を隠すように伏せた。
「年が明ける前に決着をつけるから、待っていてくれ」
「俺に出来ることは……」
ジョセフは微笑んで、首を降る。
今の俺に出来ることは限り無く少ない。
出来ることはミシェルの立場がこれ以上悪化しないように傍に居ることだけ。
もどかしいけど、それだけでもどれだけ心強いか分かってるからこそ、傍にいることは止めない。
ジョセフはイグナシオン侯爵大臣を断罪する為に動いている。
イグナシオン侯爵大臣は税務を担当しているのだが、王都から離れた地方の民から必要以上の税を押収していたことが分かり、その裏付けを行っているのだ。
苦情は出ていたけど、裏からてを回し握りつぶしていた。
イグナシオン侯爵大臣に気付かれないように、秘密裏に動いていた為に、側近候補の人員を総動員して動いているらしい。
豊もジョセフを手伝ってるみたいで、もしかして、ジョセフは豊も側近にするつもりなんだろうか……
そうなれば、俺達が学院を卒業しても会えるから嬉しんだけどな。
年末まで1ヶ月半ほど……
断罪されればイグナシオン侯爵大臣は大臣を除籍され、イグナシオン家は侯爵の立場には居られなくなるだろう。
良くて降格、悪くて爵位剥奪、貴族では無くなる。
そうなったらミシェルとも会えなくなってしまう。
ただ、祈るだけなんて俺らしくもない。
本来ならそんな悪役令嬢ポジションにいたのは俺のハズなのだ。
「ミシェルにもっと味方になってくれる人がいたら良いのに……身分の高い婚約者とか……」
ぼそりと呟く。
とはいっても侯爵家のイグナシオン家より上なんて公爵と王家しかない。
良策なんて浮かぶわけもなく頭を抱えていた俺を見てジョセフは何やら思案していたが、考え込んでいた俺がその事に気づきはしなかった。
紅葉した葉がたくさん散り、寒気の時季に向かっていた。
懸念してた通り、カフェでの騒ぎの噂が出回るようになったが、当事者である俺やジョセフ、ミシェルが否定したために一ヶ月もしたら収まりを見せた。
ミシェルと仲良くなったことをシアやレティーツィア、エミリーに話すと三人そろって渋い顔をされたが、ミシェルはちょっと素直じゃないけど、実は優しい子だと熱弁したら、しぶしぶ納得してくれた。
クラスの違うミシェルとは昼食一緒にとったり、放課後、部屋を借りて談笑して、お茶会をひらいたりして皆とも今では打ち解けてきた。
シアだけはミシェルを気遣う俺に「ミシェルさんばかり構うからアンジェがとられてしまったように感じてしまいます」と焼きもちを焼かれ、美少女に初めて焼きもちを焼いてもらった俺はあまりの嬉しさに舞い上がってしまいそうになりながらも「初めての友達はシアだし、一番の親友です」と返したらめいいっぱい抱きしめられました。
女の子の体ってホント柔らかくていい匂いだよね…と思わず呟いてしまったのを不幸にもジョセフに聞かれてしまって、ひどい目にもあっってしまった。
マシになったと思ってたけど、嫉妬深いのは変わらなかったですね。ごめんなさい。だから激しいのは許してください。
ミシェルの取り巻きたちは始めは、俺と仲良くなったことで反発して、俺にもミシェルにも軽い嫌がらせはあったけど、対立してたシアとミシェルが仲良く――――実際は俺を挟んで話すからそう見えてるだけだけど――――してるのを見て、イグナシオン侯爵家だけでなく、オーウェンス公爵家まで敵に回すのはヤバいと思ったのか、手のひらを返したように俺たちに媚びを売りだして少しウザイ。
それを笑顔であしらう二人を見た時に、さすがは王太子妃最有力候補だった二人だと感心した。
俺も見習わないと……と呟いたら、二人揃って「アンジェ(リカさん)はそのままがいいのです!」と同時に勢い良く振り向いて言ってきて、そのあと二人はお互いを見てから固い握手を交わしたのには驚いた。
そして今は、久し振りにジョセフと帰り一緒に帰る事になり、王家の馬車に揺られている。
お兄様は用事があって一足先に家に帰ってしまってた。
この二ヶ月間、ジョセフは忙しそうで、朝も一緒に登校できない日が続いていて、今日の朝も同様に遅れて登校してきたらしく、俺はお兄様と学院に登校した。
数日ぶりに一緒にいられる事に少し嬉しく思ってにやけそうになる頬を必死に堪えていると、隣に座っていたジョセフが俺の指に指を絡めてきた。
「ちょ!ジョセフ恥ずかしいからやめろよ」
「久し振りに二人きりなのだからいいだろう?これでも我慢してるんだぞ。本当はもっとあれこれしたいんだからな」
至近距離で見つめられて頬に熱が集まる。
そんな俺を愛しそうに見つめ、真っ赤な頬にキスを落とした。
慌てる俺を楽しそうに見るジョセフを軽く睨み付け顔を見ると、少し疲れが浮かぶジョセフの顔に眉が下がる。
「……お前が忙しいの俺の所為でもあるよな……ごめん」
「お前が謝る事じゃないだろう?だが、先に謝っておく……すまないが、どう足掻いてもイグナシオン家を無傷で事を納めることはできそうにない」
分かっていた答えを言われ、俺は歪めた顔を隠すように伏せた。
「年が明ける前に決着をつけるから、待っていてくれ」
「俺に出来ることは……」
ジョセフは微笑んで、首を降る。
今の俺に出来ることは限り無く少ない。
出来ることはミシェルの立場がこれ以上悪化しないように傍に居ることだけ。
もどかしいけど、それだけでもどれだけ心強いか分かってるからこそ、傍にいることは止めない。
ジョセフはイグナシオン侯爵大臣を断罪する為に動いている。
イグナシオン侯爵大臣は税務を担当しているのだが、王都から離れた地方の民から必要以上の税を押収していたことが分かり、その裏付けを行っているのだ。
苦情は出ていたけど、裏からてを回し握りつぶしていた。
イグナシオン侯爵大臣に気付かれないように、秘密裏に動いていた為に、側近候補の人員を総動員して動いているらしい。
豊もジョセフを手伝ってるみたいで、もしかして、ジョセフは豊も側近にするつもりなんだろうか……
そうなれば、俺達が学院を卒業しても会えるから嬉しんだけどな。
年末まで1ヶ月半ほど……
断罪されればイグナシオン侯爵大臣は大臣を除籍され、イグナシオン家は侯爵の立場には居られなくなるだろう。
良くて降格、悪くて爵位剥奪、貴族では無くなる。
そうなったらミシェルとも会えなくなってしまう。
ただ、祈るだけなんて俺らしくもない。
本来ならそんな悪役令嬢ポジションにいたのは俺のハズなのだ。
「ミシェルにもっと味方になってくれる人がいたら良いのに……身分の高い婚約者とか……」
ぼそりと呟く。
とはいっても侯爵家のイグナシオン家より上なんて公爵と王家しかない。
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