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73.念には念を
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その後、国王に挨拶するからとアッサリ俺を引き寄せてその場を離れた。
背中に視線が突き刺さるが、動揺してると思われれば相手に付け込まれる気がするので、必死に取り繕った。
突き刺さる視線が感じなくなってフッと息を吐くと、ジョセフは軽く頭を撫でて微笑んだ。
「良く頑張ったなアンジェ」
「いえ、大したことではありません」
いずれ、王太子妃になればこんなことぐらいで動揺していてはやっていけないし、俺以上に頑張ってる奴が一杯いるのだから出来ることはしたいのだ。
決意を新たにしているうちに上座の前に着いて、ジョセフと並んで階段下から礼をとった。
このままここで挨拶するのかと思ったが、ジョセフは俺の手を取り階段を上り始めてしまった。
内心パニックになりながらも一緒に上りきると、国王様は目を細めて俺を見た。
「久しいなアンジェリカ嬢。婚約が決まった際会ったとき以来だな。よいファーストダンスであった」
直ぐに声をかけられてすこしビックリしたが、淑女の礼をとってから、返事をする。
「有難う御座います国王陛下。お久しゅうございます。この度は正式なデビュタントもまだの未熟者な私をご招待下さり有難う御座います」
「そんなに固くならずともよい。ジョセフィードとは大変仲睦まじいと聞いておる。すこし前までは、あまりジョセフィードは乗り気では無かったと記憶しておるが……」
「陛下、その話は……」
すかさずジョセフが口をだし、陛下の言葉を遮る。
乗り気で無かったのは知ってるので問題はないけど、陛下相手に、そんな分かりやすい態度とってたのかよコイツ。
たしかに、あんまり気乗りのしてない態度だったジョセフが急に乗り気な態度に変えた訳だから驚くよな。
中身が違うからなんて言えるわけもなく、俺は苦笑いを溢した。
そんな俺達を扇で口元を隠しながら見てた王妃様と目があうとフフっと微笑まれた。
「暑気のお茶会振りですねアンジェリカ。素敵なドレスね。とても綺麗よ」
「有難う御座います王妃様」
「貴女のストロベリーブロンドの髪に朱色のドレスが良く映えるわね。いい選択ねジョセフ」
「有難う御座います、母上」
王妃様は得意気に微笑むジョセフに微笑んだあと、パチリと扇を閉じた。
「次は是非、わたくしが選んだドレスを着て欲しいわ」
「選んでいただけるなんて光栄です」
軽く談笑してから長居は良くないと礼をとって再びジョセフに手を取られながら上座から降りる。
降りきってから、振り返り上座を見上げ、再び礼を取ってからその場を離れた。
足早にジョセフは俺を引き連れホールの端に向かう。
どこ行く気なのか分からないまま、付いていくと、向かう先に俺の家族がいた。
俺達に気づいたお兄様がこっちに駆け寄ってくる。
「アンジェ!とても素晴らしい躍りだった!天使が舞い踊ってるかのように見えたよ!」
「相変わらずだなエリック……」
お兄様は若干呆れた顔のジョセフに少し不満そうな顔をする。
「お言葉ですが殿下。本当なら、僕がエスコートし、アンジェのファーストダンスは僕が欲しかったのですよ」
お兄様のシスコンぶりは相変わらず健在だ。
しかし、人前だからか敬語を使っているのは分かってるけど、普段はジョセフに砕けた話し方をしてるお兄様に馴れてるから少し違和感があるなー。
その後はお兄様とお父様と一回づつ踊り、軽食を軽く堪能したあと、お兄様とジョセフと共に賑やかな会場を出た。
お父様とお母様は久し振りの社交場なので挨拶周りが終わっていないからまだ会場に残っている。
年末年始のお祝いの夜会だし、年が明けるまで続くのだろう。
でも年が明ける前に……
外に出ると侍女が礼をしてから俺達を案内するように歩き出した。四人の騎士が護衛の為に後ろから付いてくる。
俺達は今日は王宮に部屋を用意してもらっている。
本当は王都に屋敷のある家は屋敷に帰るのだが、未成年だし、王太子の婚約者なので万が一に備えジョセフが用意してくれたのだ。
まあ、それは表向きで、イグナシオン侯爵が何かしてくるかもしれないから城を出た直後に何かされてしまうとも考えられるからと強制的にお泊まりになったわけです。念には念をとはこの事。お兄様は巻き添えだ。
ジョセフは警備が頑丈な居住区まで俺達を送り届けて、その後会場に戻り、俺達の変わりに見届けてくれるのだ。
案内してくれているの侍女も、護衛の騎士もジョセフが信頼できる者を選んでくれている。
居住区の入り口に着き、ジョセフが入り口にいた警備の騎士に声を掛けると、重そうな騎士が扉を開いてくれた。
「エリック、宜しく頼むよ」
「ああ、任せてくれ」
「アンジェ……終わったら部屋に顔を出す」
「はい。待ってます。ジョセフも無理だけはしないでくださいね」
俺の言葉にジョセフは頷いてから、二人の護衛の騎士を引き連れ会場に引き返していった。
「エリック様、アンジェリカ様、此方でございます」
「……はい」
再び扉は閉められジョセフは見えなくなったが、一度、扉を振り返ってから、サクサク歩く侍女の後をお兄様と共に着いていき、用意してもらった部屋にそれぞれ案内してもらったのだった。
背中に視線が突き刺さるが、動揺してると思われれば相手に付け込まれる気がするので、必死に取り繕った。
突き刺さる視線が感じなくなってフッと息を吐くと、ジョセフは軽く頭を撫でて微笑んだ。
「良く頑張ったなアンジェ」
「いえ、大したことではありません」
いずれ、王太子妃になればこんなことぐらいで動揺していてはやっていけないし、俺以上に頑張ってる奴が一杯いるのだから出来ることはしたいのだ。
決意を新たにしているうちに上座の前に着いて、ジョセフと並んで階段下から礼をとった。
このままここで挨拶するのかと思ったが、ジョセフは俺の手を取り階段を上り始めてしまった。
内心パニックになりながらも一緒に上りきると、国王様は目を細めて俺を見た。
「久しいなアンジェリカ嬢。婚約が決まった際会ったとき以来だな。よいファーストダンスであった」
直ぐに声をかけられてすこしビックリしたが、淑女の礼をとってから、返事をする。
「有難う御座います国王陛下。お久しゅうございます。この度は正式なデビュタントもまだの未熟者な私をご招待下さり有難う御座います」
「そんなに固くならずともよい。ジョセフィードとは大変仲睦まじいと聞いておる。すこし前までは、あまりジョセフィードは乗り気では無かったと記憶しておるが……」
「陛下、その話は……」
すかさずジョセフが口をだし、陛下の言葉を遮る。
乗り気で無かったのは知ってるので問題はないけど、陛下相手に、そんな分かりやすい態度とってたのかよコイツ。
たしかに、あんまり気乗りのしてない態度だったジョセフが急に乗り気な態度に変えた訳だから驚くよな。
中身が違うからなんて言えるわけもなく、俺は苦笑いを溢した。
そんな俺達を扇で口元を隠しながら見てた王妃様と目があうとフフっと微笑まれた。
「暑気のお茶会振りですねアンジェリカ。素敵なドレスね。とても綺麗よ」
「有難う御座います王妃様」
「貴女のストロベリーブロンドの髪に朱色のドレスが良く映えるわね。いい選択ねジョセフ」
「有難う御座います、母上」
王妃様は得意気に微笑むジョセフに微笑んだあと、パチリと扇を閉じた。
「次は是非、わたくしが選んだドレスを着て欲しいわ」
「選んでいただけるなんて光栄です」
軽く談笑してから長居は良くないと礼をとって再びジョセフに手を取られながら上座から降りる。
降りきってから、振り返り上座を見上げ、再び礼を取ってからその場を離れた。
足早にジョセフは俺を引き連れホールの端に向かう。
どこ行く気なのか分からないまま、付いていくと、向かう先に俺の家族がいた。
俺達に気づいたお兄様がこっちに駆け寄ってくる。
「アンジェ!とても素晴らしい躍りだった!天使が舞い踊ってるかのように見えたよ!」
「相変わらずだなエリック……」
お兄様は若干呆れた顔のジョセフに少し不満そうな顔をする。
「お言葉ですが殿下。本当なら、僕がエスコートし、アンジェのファーストダンスは僕が欲しかったのですよ」
お兄様のシスコンぶりは相変わらず健在だ。
しかし、人前だからか敬語を使っているのは分かってるけど、普段はジョセフに砕けた話し方をしてるお兄様に馴れてるから少し違和感があるなー。
その後はお兄様とお父様と一回づつ踊り、軽食を軽く堪能したあと、お兄様とジョセフと共に賑やかな会場を出た。
お父様とお母様は久し振りの社交場なので挨拶周りが終わっていないからまだ会場に残っている。
年末年始のお祝いの夜会だし、年が明けるまで続くのだろう。
でも年が明ける前に……
外に出ると侍女が礼をしてから俺達を案内するように歩き出した。四人の騎士が護衛の為に後ろから付いてくる。
俺達は今日は王宮に部屋を用意してもらっている。
本当は王都に屋敷のある家は屋敷に帰るのだが、未成年だし、王太子の婚約者なので万が一に備えジョセフが用意してくれたのだ。
まあ、それは表向きで、イグナシオン侯爵が何かしてくるかもしれないから城を出た直後に何かされてしまうとも考えられるからと強制的にお泊まりになったわけです。念には念をとはこの事。お兄様は巻き添えだ。
ジョセフは警備が頑丈な居住区まで俺達を送り届けて、その後会場に戻り、俺達の変わりに見届けてくれるのだ。
案内してくれているの侍女も、護衛の騎士もジョセフが信頼できる者を選んでくれている。
居住区の入り口に着き、ジョセフが入り口にいた警備の騎士に声を掛けると、重そうな騎士が扉を開いてくれた。
「エリック、宜しく頼むよ」
「ああ、任せてくれ」
「アンジェ……終わったら部屋に顔を出す」
「はい。待ってます。ジョセフも無理だけはしないでくださいね」
俺の言葉にジョセフは頷いてから、二人の護衛の騎士を引き連れ会場に引き返していった。
「エリック様、アンジェリカ様、此方でございます」
「……はい」
再び扉は閉められジョセフは見えなくなったが、一度、扉を振り返ってから、サクサク歩く侍女の後をお兄様と共に着いていき、用意してもらった部屋にそれぞれ案内してもらったのだった。
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