奴隷に恋しちゃった王子様

出会い

ゴーゴーゴー！③

｢ありがとう」




またまたとろけるような笑顔のルークさん。





｢あの、ルークさんは」





名前を呼んだ瞬間、ガシッと腕を掴まれた。





｢名前も呼び捨てにして｣





｢は、い｣





ちょっと今のは怖かったな。
急に瞳孔が細くなった。
本当に猫なんだ…。





｢怖がらせてごめん。…僕のこと嫌いになった？｣

｢そんなので嫌いになるわけない｣






あたしは笑って言った。




すると、なぜかあたしの首元に顔を埋めたルーク。






｢あの、何して…｣

｢獣人はね、自分の番に匂いをうつすんだ。番であることを証明するためにね。｣






へぇ、なんか獣人って凄い。


なんて心の中で感心していると、さっきまで髪の毛のサラサラとした感触しか感じなかったのにもふもふがプラスされた。





｢人間の姿って疲れるんだ。この姿でもいい？｣






猫の姿になったルークが尋ねてくる。





｢大丈夫だよ」



｢ありがとう｣






二人で笑いあって馬車の中には和やかな空気が広がった。