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終幕 パティシエは二度奇跡を起こす
第23話 波乱の予感?
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《まほろば祭り》について知っているか。その質問に対してオレは──
「いえ、知らないッス」
「なんだ? ンなことも知らねえのかよ!? 《まほろば祭り》ってのは、毎年ゴールデンウイークに行われる《まほろば商店街》を中心とした春祭りのことだ!」
「説明になってない気がする」とオレは思ったが──ホワイトボードにその《まほろば祭り》のスケジュールが書かれていることに気付いた。
一日目、田植えの行事とフリーマーケットと古本など出店開始。
二日目、フリーマーケットと古本。
三日目、フリーマーケットと古本、抽選会、花火。
「元々は、田植えの時期に神々への感謝を奉納するために行われていて、田楽も祭りに含まれているの。あ、田楽っていうのは平安時代中期からある伝統芸能の一つで、「田植えの前に豊作を祈願して田遊びから発達した」ものなの」
「ああ、そう言えば小さい頃に爺ちゃんと一緒に見た気が……。でも、それとこの集まりとなんの関係が?」
「その祭りに合わせて、商店街の一角でフリーマーケットと古本をする予定なんだけど、人手が足りなくて……」
なんでも古川先輩は生徒会に掛け合いボランティアを募ったらしいが、ゴールデンウイークに手伝うような物好きは少なかったらしい。
──手伝いね。でも、なんで商店街のメンバーを? 断り辛いからかな?
オレはなんで自分が呼ばれたのか、どうにも腑に落ちない。
「それでフリーマーケットと古本市の広場に、カフェスペースを設けようと思っていて……」
「カフェ広場……」何となく、いやな予感がしてきた。
「林くんにはドリンクを、食材の仕入れやセッティングは山田くん。そして孝太郎くんには、クレープ屋さんをやってほしいの」
「く、クレープ屋? なんでオレが……」
「カフェの目玉にしたくて……お願いできないかしら?」
困った。ゴールデンウイークの予定はまだ決まっていないが、店の手伝いをする予定でもあった。二つ返事するわけにはいかない。
「うーん。ゴールデンウイークは店の手伝いをする予定だったから、店の人と相談しないと何とも言えないッス……」
オレの返送に古川先輩は表情を曇らせるも、口元を綻ばせて笑った。
「急にごめんなさい。でも、どうか考えてほしいの!」
「ぜ、善処するッス……」
彼女の意気込みに飲まれそうになり、咄嗟に言葉を返したのだった。妙な事になったものだ。
***
食堂室──。
話を一通り聞いたオレはその足で食堂に向かった。やっぱり弁当を持ってきて正解だったと思いながら食堂に入ると、端の空いている席についた。
──それにしても、なんでオレなんだ? んー。父さんからもむやみやたらにスイーツを作るなって念を押されたばかりだもんな。中学の時は友だちの誕生日に菓子を作ったけど、今後は安請け合いしない方がいいのかも……。
ひとまずはパティシエとして一人前になるところから頑張らねば、という結論に至ったのだ。
──始さんにもメールしたから、店で相談しよう、っと。
カノは忙しそうに厨房に立っていたので、オレは挨拶せずに食堂を後にした。午後の授業は何だったのか思い出しながら、いつも通りそっと自分の机に戻ろうとしたのだが──教室は妙にざわついていた。
その原因は、またしてもオレだった。いや正確に言えばオレの机の上に「果たし状」と書かれた封書が置かれていたからだ。しかも三通。
──果たし状、三通ってなんだよ!?
オレは突っ込みそうになったのを寸前で堪えた。これがラブレターだったら、どんなに良かっただろうか。そう思いながらも、中身を確認する。
大体が「放課後、体育館裏に来い」だとか「学校の屋上」なんだろうけれど。
【旭孝太郎様。
風の噂で貴方の洋菓子作りの天才だと伺いました。つきましてはその腕前を知りたく、今日の放課後──家庭科室に来ていただけないでしょうか。 古川結】
あの美人な古川先輩からの宣戦布告だった。あんな美人さんがなんでこんな古風な──というか、本気なのか悪戯なのか分からない。とりあえず他のも見てみよう。嫌な予感しかないけど。
【孝太郎くんへ。
本日、夕方六時に必ず屋上に来てください。相談したいことがあります。 豆狸の林】
──ん? なんだろう。普通に相談みたいだけど、なんで「果たし状」って書いてあるんだろう。
【旭孝太郎へ。
放課後、体育館裏に顔かせ。 山田敦志】
最後の最後が一番、決闘に近い内容だった。完全に暴力的な予感しかない。
オレは溜息を漏らしたのだった。
「いえ、知らないッス」
「なんだ? ンなことも知らねえのかよ!? 《まほろば祭り》ってのは、毎年ゴールデンウイークに行われる《まほろば商店街》を中心とした春祭りのことだ!」
「説明になってない気がする」とオレは思ったが──ホワイトボードにその《まほろば祭り》のスケジュールが書かれていることに気付いた。
一日目、田植えの行事とフリーマーケットと古本など出店開始。
二日目、フリーマーケットと古本。
三日目、フリーマーケットと古本、抽選会、花火。
「元々は、田植えの時期に神々への感謝を奉納するために行われていて、田楽も祭りに含まれているの。あ、田楽っていうのは平安時代中期からある伝統芸能の一つで、「田植えの前に豊作を祈願して田遊びから発達した」ものなの」
「ああ、そう言えば小さい頃に爺ちゃんと一緒に見た気が……。でも、それとこの集まりとなんの関係が?」
「その祭りに合わせて、商店街の一角でフリーマーケットと古本をする予定なんだけど、人手が足りなくて……」
なんでも古川先輩は生徒会に掛け合いボランティアを募ったらしいが、ゴールデンウイークに手伝うような物好きは少なかったらしい。
──手伝いね。でも、なんで商店街のメンバーを? 断り辛いからかな?
オレはなんで自分が呼ばれたのか、どうにも腑に落ちない。
「それでフリーマーケットと古本市の広場に、カフェスペースを設けようと思っていて……」
「カフェ広場……」何となく、いやな予感がしてきた。
「林くんにはドリンクを、食材の仕入れやセッティングは山田くん。そして孝太郎くんには、クレープ屋さんをやってほしいの」
「く、クレープ屋? なんでオレが……」
「カフェの目玉にしたくて……お願いできないかしら?」
困った。ゴールデンウイークの予定はまだ決まっていないが、店の手伝いをする予定でもあった。二つ返事するわけにはいかない。
「うーん。ゴールデンウイークは店の手伝いをする予定だったから、店の人と相談しないと何とも言えないッス……」
オレの返送に古川先輩は表情を曇らせるも、口元を綻ばせて笑った。
「急にごめんなさい。でも、どうか考えてほしいの!」
「ぜ、善処するッス……」
彼女の意気込みに飲まれそうになり、咄嗟に言葉を返したのだった。妙な事になったものだ。
***
食堂室──。
話を一通り聞いたオレはその足で食堂に向かった。やっぱり弁当を持ってきて正解だったと思いながら食堂に入ると、端の空いている席についた。
──それにしても、なんでオレなんだ? んー。父さんからもむやみやたらにスイーツを作るなって念を押されたばかりだもんな。中学の時は友だちの誕生日に菓子を作ったけど、今後は安請け合いしない方がいいのかも……。
ひとまずはパティシエとして一人前になるところから頑張らねば、という結論に至ったのだ。
──始さんにもメールしたから、店で相談しよう、っと。
カノは忙しそうに厨房に立っていたので、オレは挨拶せずに食堂を後にした。午後の授業は何だったのか思い出しながら、いつも通りそっと自分の机に戻ろうとしたのだが──教室は妙にざわついていた。
その原因は、またしてもオレだった。いや正確に言えばオレの机の上に「果たし状」と書かれた封書が置かれていたからだ。しかも三通。
──果たし状、三通ってなんだよ!?
オレは突っ込みそうになったのを寸前で堪えた。これがラブレターだったら、どんなに良かっただろうか。そう思いながらも、中身を確認する。
大体が「放課後、体育館裏に来い」だとか「学校の屋上」なんだろうけれど。
【旭孝太郎様。
風の噂で貴方の洋菓子作りの天才だと伺いました。つきましてはその腕前を知りたく、今日の放課後──家庭科室に来ていただけないでしょうか。 古川結】
あの美人な古川先輩からの宣戦布告だった。あんな美人さんがなんでこんな古風な──というか、本気なのか悪戯なのか分からない。とりあえず他のも見てみよう。嫌な予感しかないけど。
【孝太郎くんへ。
本日、夕方六時に必ず屋上に来てください。相談したいことがあります。 豆狸の林】
──ん? なんだろう。普通に相談みたいだけど、なんで「果たし状」って書いてあるんだろう。
【旭孝太郎へ。
放課後、体育館裏に顔かせ。 山田敦志】
最後の最後が一番、決闘に近い内容だった。完全に暴力的な予感しかない。
オレは溜息を漏らしたのだった。
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