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壱 ルーナの魔女薬店
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出て行く男達と入れ替わるように、店にリジェルとラスが入ってきた。
「遅かったな、二人とも」
アークが気安く二人に話しかけている様子を見て、店内にいた女性冒険者達は熱い眼差しで三人を熱心に見つめる。
「素敵…やっぱり三人を前にすると、他の男達なんて大した事ないわね!」
一人の女性冒険者が興奮した様子で隣の女性にそう話しかけていた。
レーヴ都市を拠点に活動するA級冒険者のアーク、リジェル、そしてラスはこの街で有名な冒険者だった。
冒険者ランクはS級が最上位となっているが、そんなランクの冒険者はもはや伝説級の英雄である。世界を滅亡に導く邪神を討ち取り世界を救ったとか、天変地異から世界に降り注ぐ大災害を阻止してみせたとか、そんな御伽話に出てくるような偉業を果たしてやっと授かるランク。
もし、S級冒険者がいたなら、その人は生きる国宝…いや、世界の宝として国々の王すらも崇拝する存在となるだろう。
だから実質、A級とは冒険者のランクの中でも最高ランクなのである。
そんなA級の彼らは、実力だけでなく見目も良かった。野生的で強引なところが魅力の戦士アーク、知的で物腰柔らかな優しい雰囲気が魅力の魔術師リジェル。そして、クールで冷たく鋭い眼差しが逆に魅力の聖騎士ラス。
彼らはレーヴ都市の女性たちを夢中にさせる、人気の高い男たちだった。
「一度でいいからアーク様に抱かれたい…」
「私は絶対にリジェル様! あの優しい微笑みを向けられながら、頭を撫でられたいわ…」
「何を言ってるの? ラス様こそが至高よ。禁欲的なのに隠しきれない色気が…もう、たまんない!」
そんな彼女達の声はルーナの耳にも届いた。そして、こちらに歩み寄ってくる三人にそっと目を向ける。
(彼女達の会話、あの三人には聞こえていないのかな?)
全く気にした素振りを見せず、至って普段通りの平然とした表情を浮かべる三人に、ルーナは思わず眉を顰めた。もし自分なら、あんな噂話をされたら悶絶ものだと思ったからだ。
彼女達の噂話はまだまだ続く…。
「馬鹿ね、夢見ちゃだめよ。アーク様とリジェル様は程良く私達を相手にしてくれるけど、ラス様は絶対にしてくれないじゃない」
「そうよ…彼は私達に触れさせてもくれないわ」
「ラス様は筋金入りの女嫌いだものね…」
と、そこまで会話が聞こえたところでルーナの元に三人が到着した。背の高い彼らを前にすると、何となく圧倒される。
ルーナは気を取り直して、レジカウンターに手を付きニコリと笑顔を浮かべた。
「いらっしゃいませ。お求めの商品は?」
ルーナにとって、A級冒険者であろうが人気者であろうが、女嫌いであろうが、全員変わらずに同じ『客』だ。ルーナの魔法薬を買ってさえくれるなら、誰でもいい。
ルーナの関心があるのは、恋や素敵な異性よりも、魔女薬やお金稼ぎ。今はまだ小さな店の店主である彼女の夢は、堅実にお金を貯めて、今よりも立派で大きな店を構えて更にお金稼ぎをすることなのだ。
しかし、彼女が初めてドレーゼ王国に来た時に、人世の常識を何も知らなかった世間知らずの彼女がこうして正規に店を開けるようになるまで、三人は協力してくれたのだ。その恩の分は、彼らを丁寧に扱おうと思っている。
「ルーナちゃんが作った回復魔法薬を」
「僕は魔力回復魔法薬を」
アークとリジェルが注文する。ルーナは頷いて、次にラスへと目を向けた。
すると、彼の青みがかったグレーの瞳とすぐに目が合う。ルーナは一瞬、彼が自分をずっと見ていたのかと思ったが、ラスの目はすぐに鋭くなり睨み付けられたので、勘違いかと思い直した。
「…俺は解呪魔法薬を」
不機嫌そうな仏頂面でラスはルーナから目を逸らし注文した。
「はい、ご注文承りました。お代はこちらへ!」
ルーナは気にせずニコリと笑って、三人に代金を請求するのだった。
「遅かったな、二人とも」
アークが気安く二人に話しかけている様子を見て、店内にいた女性冒険者達は熱い眼差しで三人を熱心に見つめる。
「素敵…やっぱり三人を前にすると、他の男達なんて大した事ないわね!」
一人の女性冒険者が興奮した様子で隣の女性にそう話しかけていた。
レーヴ都市を拠点に活動するA級冒険者のアーク、リジェル、そしてラスはこの街で有名な冒険者だった。
冒険者ランクはS級が最上位となっているが、そんなランクの冒険者はもはや伝説級の英雄である。世界を滅亡に導く邪神を討ち取り世界を救ったとか、天変地異から世界に降り注ぐ大災害を阻止してみせたとか、そんな御伽話に出てくるような偉業を果たしてやっと授かるランク。
もし、S級冒険者がいたなら、その人は生きる国宝…いや、世界の宝として国々の王すらも崇拝する存在となるだろう。
だから実質、A級とは冒険者のランクの中でも最高ランクなのである。
そんなA級の彼らは、実力だけでなく見目も良かった。野生的で強引なところが魅力の戦士アーク、知的で物腰柔らかな優しい雰囲気が魅力の魔術師リジェル。そして、クールで冷たく鋭い眼差しが逆に魅力の聖騎士ラス。
彼らはレーヴ都市の女性たちを夢中にさせる、人気の高い男たちだった。
「一度でいいからアーク様に抱かれたい…」
「私は絶対にリジェル様! あの優しい微笑みを向けられながら、頭を撫でられたいわ…」
「何を言ってるの? ラス様こそが至高よ。禁欲的なのに隠しきれない色気が…もう、たまんない!」
そんな彼女達の声はルーナの耳にも届いた。そして、こちらに歩み寄ってくる三人にそっと目を向ける。
(彼女達の会話、あの三人には聞こえていないのかな?)
全く気にした素振りを見せず、至って普段通りの平然とした表情を浮かべる三人に、ルーナは思わず眉を顰めた。もし自分なら、あんな噂話をされたら悶絶ものだと思ったからだ。
彼女達の噂話はまだまだ続く…。
「馬鹿ね、夢見ちゃだめよ。アーク様とリジェル様は程良く私達を相手にしてくれるけど、ラス様は絶対にしてくれないじゃない」
「そうよ…彼は私達に触れさせてもくれないわ」
「ラス様は筋金入りの女嫌いだものね…」
と、そこまで会話が聞こえたところでルーナの元に三人が到着した。背の高い彼らを前にすると、何となく圧倒される。
ルーナは気を取り直して、レジカウンターに手を付きニコリと笑顔を浮かべた。
「いらっしゃいませ。お求めの商品は?」
ルーナにとって、A級冒険者であろうが人気者であろうが、女嫌いであろうが、全員変わらずに同じ『客』だ。ルーナの魔法薬を買ってさえくれるなら、誰でもいい。
ルーナの関心があるのは、恋や素敵な異性よりも、魔女薬やお金稼ぎ。今はまだ小さな店の店主である彼女の夢は、堅実にお金を貯めて、今よりも立派で大きな店を構えて更にお金稼ぎをすることなのだ。
しかし、彼女が初めてドレーゼ王国に来た時に、人世の常識を何も知らなかった世間知らずの彼女がこうして正規に店を開けるようになるまで、三人は協力してくれたのだ。その恩の分は、彼らを丁寧に扱おうと思っている。
「ルーナちゃんが作った回復魔法薬を」
「僕は魔力回復魔法薬を」
アークとリジェルが注文する。ルーナは頷いて、次にラスへと目を向けた。
すると、彼の青みがかったグレーの瞳とすぐに目が合う。ルーナは一瞬、彼が自分をずっと見ていたのかと思ったが、ラスの目はすぐに鋭くなり睨み付けられたので、勘違いかと思い直した。
「…俺は解呪魔法薬を」
不機嫌そうな仏頂面でラスはルーナから目を逸らし注文した。
「はい、ご注文承りました。お代はこちらへ!」
ルーナは気にせずニコリと笑って、三人に代金を請求するのだった。
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