魔女と聖騎士 〜女嫌いで有名な聖騎士に呪いをかけたら、むっつりスケベな本性を暴いてしまった〜

香咲りら

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弍 解呪方法、新月待ち、同居←イマココ

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 ルーナはラスに詳しく事情を話すにあたって、まず互いに風呂に入る事を提案した。それにはラスもすぐ頷く。余程、この刺激臭に耐えられなかったようだ。

 ルーナはこの臭いに慣れているので、まずはラスから先にシャワーを浴びるよう勧めた。彼はササっと全身の魔女薬を洗い流すと、すぐに風呂場から出てきた。

 ルーナの家には当たり前に男物の着替えなんてないので、ラスが入浴中に彼の衣服シャツは簡単に洗っておいたが、乾くまでは申し訳ないが半裸で居てもらうしかなかった。
 ズボンの方はそこまで汚れずに済んで助かった。そうじゃなければ、ラスは服が乾くまで可哀想な姿で待つ羽目になっていたことだろう。

 次にルーナもシャワーを浴びた。彼女は彼を待たせるのに忍びなくて、髪も乾かさずにラスの待つリビングへ向かうと、彼は驚いた表情でルーナの姿を見つめた。

「…何故髪を乾かしていない?」
「ラスさんを待たせるのも悪いかなって…」

 何故かラスに睨まれるルーナは、赤い顔でたじろぎながら答えた。だって、彼女にはラスがいくら恐ろしい顔で睨み付けてこようが彼の本音が聞こえてしまうのだ。

『風呂上がりのルーナ、可愛すぎる…』

 もう、ルーナには呪いの正体が分かっていた。これは読心の呪いだ。同じ模様を刻まれた者たちが互いに心を読める呪い。しかし、今回は魔女薬が未完成だったからか、ルーナが魔女だからか分からないが、ラスにはルーナの心の声は聞こえていないらしい。

 動物と会話出来る魔女薬を作っていた筈なのに…あの大蛇の頭が暴れてくれたことによって、棚に無造作に置いていた材料が更に投下されてしまい、意図しない効果の魔女薬になってしまった。その魔女薬を頭から被ってしまった二人は、呪われてしまったということだ。

 そして、二人には読心の呪いだけでなく、他にも…。

『濡れた髪が、ルーナの細くて綺麗な白いうなじに張り付いてる。舐めたい…』

 ルーナの頭の中に無遠慮に流れ込んでくるラスの心の声に、彼女はハッとする。

「や、やっぱり髪を乾かしてこようかな!」

 ルーナはラスの本音に耐えられなくなり、真っ赤な顔で洗面所へと逃げ込んだのだった。



 髪を乾かし終えたルーナは、改めてラスと対面した。互いに向き合うようにダイニングテーブルの席に着く。

 ラスは冷め切った目でルーナを見下ろすように見ていた。表面ではこんなにも冷たい表情なのに、心の中では…。

『ルーナが俺を見てる。深夜に風呂上がりで、二人こうして向かい合ってるなんて…まるで新婚みたいだ』

 なんて事を、考えているのだからルーナの頭は混乱した。

(ラスさんって、いつも怖い顔で睨んでくるくせに、本当はこんな事を考えてたの?)

 ラスが女嫌いだなんて、とんでもない噂だとルーナは彼から目を逸らすように俯きながら思った。

『はぁ…あの小さな唇にキスをしたら、一体どんな味がするんだろう?』

 ルーナはぶわわっと顔を真っ赤に染めて、顔を上げると目の前の仏頂面のラスを見つめる。

 これは早くラスに呪いの効果を教えてやらねばならないとルーナは思った。彼の尊厳のためにも。

(そして、心の声をもう少し自重してもらおう…!)

「あの、ラスさん…」

 ルーナがそう言い掛けた時、再びラスの心の声が聞こえてきた。

『あの可愛い唇を貪り尽くしたい…そして、ルーナの大きな胸を揉みしだき、彼女の細いくびれを掴んでそのまま……はぁ、妄想が止まらない…俺、今夜耐えられるかな…』

(え!? 嘘、この人…こんな仏頂面のくせして、心の中で何てことを考えてるの!?)

 ラスの妄想の内容を知り、ルーナは驚愕の表情を浮かべる。まさか、まさかラスが自分との同衾を妄想するなんて思わなかった。

 ルーナは堪らなくなり、顔を真っ赤に染めたまま恥ずかしさのあまり目が潤む。どんな男も本性はケダモノだと、集落の魔女達によく聞かされていたが本当だった。

 だって、この禁欲者なラスですら、心の中では淫らな妄想を繰り広げているのだから——!

 ルーナは衝動的に立ち上がり、真っ赤な顔で叫んだ。

「ら、ラスさんの変態!!」
「は…?」
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