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第一章
第21話:ポーション作りをがんばる!2
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モヤモヤしたものがマナなのかなーと思い始めたジルは、見本品の低級ポーションと、自分が作った薬草スープを何度も見比べていた。
「なんでモヤモヤの種類が違うんだろう。空気のモヤモヤとも、またちょっと違うよね。ポーションのモヤモヤが一番きれいだもん」
腕を組んで考え始めるが、なかなか答えは出てこない。未使用の薬草にもモヤモヤが存在するため、さらに頭を悩ませていた。
「でも、マナは絶対これだと思うんだけどなぁ。魔法もポーションもなかった夢の中の世界では、こんなモヤモヤとしたものはなかったから」
マナ、それは、空気中に含まれる酸素のような存在。普通に過ごしていたら、認識することすら難しい。錬金術師になれない人の多くは、マナの存在を認識できず、自分自身の魔力を用いて物質変換を試みるため、薬草スープをポーションに変換できずにいた。
この世界の植物や動物は、体内に取り込まれたマナを魔力というエネルギーに変換する働きがあり、魔力を使う魔法を得意とする者は多いが、マナを使う錬金術を難しく感じる傾向にある。
例えるなら、息を吸う前の空気がマナであり、息を吐いた後の空気が魔力になる。魔力を使ってできるのは魔法であり、マナを使ってできるものは錬金術。似てはいるものの、まったく別の存在に変わるのだ。
そんな気難しいことをジルがわかるわけもないのだが……、偶然にも、地球で過ごした前世の記憶が蘇ったばかり。呪いに悩まされた影響でモヤモヤするものを感じると思っていたけれど、エリスの言葉とポーションを見て、考えが変わり始めていた。
このモヤモヤを使えば、薬草スープがポーションになるんじゃないか、と。
思い立ったが吉日。早速、ジルは自分が作り出した薬草スープにマナを収束させ、ポーションを作り出……。
「どうやってマナを使えばいいんだろう。僕は学校に行ってないから、魔法も習ったことがないし。うーん、エリスお姉ちゃんにも相談できない、よね……」
モヤモヤしたものがマナとわかっても、まだジルは十歳。三年も寝込んでいたこともあって、魔力を使う魔法にもあまり馴染みはない。そのため、すぐに行動はできなかった。
そして、マナが見えていない姉に、「モヤモヤしたものをポーション作りに使いたいんだけど、どうすればいいと思う?」と、相談することもできない。もし相談すれば、マナが認識でないエリスを心配させてしまうだろう。
三年もツライ思いをさせた姉に、ジルはこれ以上の心配をかけたくない。呪いから解放された後、このことをジルが相談せずにいたのも、エリスを思ってのこと。
マナの存在を把握できただけでも、錬金術師として大きな一歩を歩みだしているのだが……、早くも大きな壁にぶつかってしまう。
「とりあえず、何か作りながら考え……ん?」
先ほどまで焼いていた薬草ステーキが目に入ったジルは、違和感を覚えた。
「焼いた薬草にはモヤモヤがないけど、使ってない薬草にはモヤモヤがある。薬草スープにもモヤモヤがあるけど、真水にはモヤモヤがない。でも、ポーションのモヤモヤとはちょっと違って……。あーーーん、もう。全然わかんないよぉーーー!」
難しい! ジルには難し過ぎたのである! ぴえんっ!!
前世の記憶があるとはいえ、今はまだ十歳の小さな男の子。ましてや、三年も寝たきりで過ごし続けたため、精神年齢は同年代の子供よりも低い。
心の中で「エリスお姉ちゃん、一人じゃ寂しいよぉ」なんて泣きべそモードになりつつも、「でも、アーニャお姉ちゃんのためにがんばるだもーん」と、決して逃げ出すことはない。
こういう時に思い出すのは、前世で料理を習得した特訓の日々。ジルの頭の中には、料理以外の専門知識は存在しないのだ!
よって、思考が再び料理人モードに切り替わる。鍋に水を入れ、コンロの上に置き、ジルは火を付けた!
「やっぱり、一番出汁を取るべきだと思う」
沸騰したお湯に薬草を入れるジルなのだが……、しばらくして、最初に作った薬草スープが出来上がってしまうのだった。
「なんでモヤモヤの種類が違うんだろう。空気のモヤモヤとも、またちょっと違うよね。ポーションのモヤモヤが一番きれいだもん」
腕を組んで考え始めるが、なかなか答えは出てこない。未使用の薬草にもモヤモヤが存在するため、さらに頭を悩ませていた。
「でも、マナは絶対これだと思うんだけどなぁ。魔法もポーションもなかった夢の中の世界では、こんなモヤモヤとしたものはなかったから」
マナ、それは、空気中に含まれる酸素のような存在。普通に過ごしていたら、認識することすら難しい。錬金術師になれない人の多くは、マナの存在を認識できず、自分自身の魔力を用いて物質変換を試みるため、薬草スープをポーションに変換できずにいた。
この世界の植物や動物は、体内に取り込まれたマナを魔力というエネルギーに変換する働きがあり、魔力を使う魔法を得意とする者は多いが、マナを使う錬金術を難しく感じる傾向にある。
例えるなら、息を吸う前の空気がマナであり、息を吐いた後の空気が魔力になる。魔力を使ってできるのは魔法であり、マナを使ってできるものは錬金術。似てはいるものの、まったく別の存在に変わるのだ。
そんな気難しいことをジルがわかるわけもないのだが……、偶然にも、地球で過ごした前世の記憶が蘇ったばかり。呪いに悩まされた影響でモヤモヤするものを感じると思っていたけれど、エリスの言葉とポーションを見て、考えが変わり始めていた。
このモヤモヤを使えば、薬草スープがポーションになるんじゃないか、と。
思い立ったが吉日。早速、ジルは自分が作り出した薬草スープにマナを収束させ、ポーションを作り出……。
「どうやってマナを使えばいいんだろう。僕は学校に行ってないから、魔法も習ったことがないし。うーん、エリスお姉ちゃんにも相談できない、よね……」
モヤモヤしたものがマナとわかっても、まだジルは十歳。三年も寝込んでいたこともあって、魔力を使う魔法にもあまり馴染みはない。そのため、すぐに行動はできなかった。
そして、マナが見えていない姉に、「モヤモヤしたものをポーション作りに使いたいんだけど、どうすればいいと思う?」と、相談することもできない。もし相談すれば、マナが認識でないエリスを心配させてしまうだろう。
三年もツライ思いをさせた姉に、ジルはこれ以上の心配をかけたくない。呪いから解放された後、このことをジルが相談せずにいたのも、エリスを思ってのこと。
マナの存在を把握できただけでも、錬金術師として大きな一歩を歩みだしているのだが……、早くも大きな壁にぶつかってしまう。
「とりあえず、何か作りながら考え……ん?」
先ほどまで焼いていた薬草ステーキが目に入ったジルは、違和感を覚えた。
「焼いた薬草にはモヤモヤがないけど、使ってない薬草にはモヤモヤがある。薬草スープにもモヤモヤがあるけど、真水にはモヤモヤがない。でも、ポーションのモヤモヤとはちょっと違って……。あーーーん、もう。全然わかんないよぉーーー!」
難しい! ジルには難し過ぎたのである! ぴえんっ!!
前世の記憶があるとはいえ、今はまだ十歳の小さな男の子。ましてや、三年も寝たきりで過ごし続けたため、精神年齢は同年代の子供よりも低い。
心の中で「エリスお姉ちゃん、一人じゃ寂しいよぉ」なんて泣きべそモードになりつつも、「でも、アーニャお姉ちゃんのためにがんばるだもーん」と、決して逃げ出すことはない。
こういう時に思い出すのは、前世で料理を習得した特訓の日々。ジルの頭の中には、料理以外の専門知識は存在しないのだ!
よって、思考が再び料理人モードに切り替わる。鍋に水を入れ、コンロの上に置き、ジルは火を付けた!
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