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第10話
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潤はガラリと職員室のドアを開ける。
今日は朝一で武良久に暴走の件で相談に来たのだった。
「おう!おはよ。どーした?こんな朝早くから」
職員室に入ると、コーヒーをすすりながら歩いてくる武良久がいた。
「あ、今日は先生に相談があって・・」
「相談?」
潤は武良久に過去に今あったこと簡単に説明をする。
暴走が怖い為特訓も集中して出来ないこと、なにか秘策は無いかと武良久に話した。
潤の話を聞いて、武良久は自分の席に座り考え込む。
「どうでしょうか?」
「ふむ・・・・まさかお前があのグルカ族とのハーフとはな。聞いたことはあるが、まさか実際に目の前で見るとは・・・」
「はは・・・・まぁ、裏世界の住人とのハーフ自体めったに見ないですからね」
「だが、こちらの世界の血が強いようだな。だからグルカ族の血が目覚めたときに制御できずに暴走してしまうんだろう」
「・・・・・そうなんですか」
「もっとグルカ族の血を目覚めさせた方がいい。そうするとだんだん体の方もグルカ族の血に慣れてくる」
「慣れ・・・・ですか」
「あぁ、人の身体は凄いからな。一番手っ取り早く効果がある。ただし、お前が記憶を無くして、暴走しても対処できる者が近くにいないと駄目な方法だがな・・・」
武良久は再び考え込む。
「・・・・・あいつに頼むしかないな」
武良久はハァっとため息をついた。
「では、今日から毎日午前中は個人個人の特訓に励んでもらう。講師は一人一人につけるから、ちゃんと教えてもらえよ」
武良久が教室に入るなり、すぐにそんなことを言い出した。
急に個人の特訓?
なぜだ?潤の暴走を改善する策が関係しているのだろうか?
今日、武良久に相談しに行くって言ってたしな。
「午後からは、ベアリス語と言って裏世界で必要になってくる言葉の勉強をする。しばらくこんな時間配分だ。頭に入れて置くように」
ベアリス語ってアースベル先生と裏世界に行った特訓の時に話してたやつだよな。
「では、それぞれの講師を紹介する。みんな私の討伐隊の者だ。腕は保証する・・・・・が、性格は保証しないからな。それだけは先に言っておく」
「え・・・」
その言葉にみんな顔を引きつらせる。
武良久が言うって事はかなり異常か、まともかのどっちかだな。
後者だったらいいが・・・・。
「入ってきてくれ」
武良久の言葉を合図にガラリと教室のドアが開き、4人の人物が入ってきた。
「私を含めての計5人だ。まず、西園寺。お前につくのは私だ」
「え!でも先生は格闘家じゃ無いんですか?私は剣士志望なんですけど・・・」
「私は格闘家も剣士も出来る」
フン!と鼻を鳴らしドヤ顔で武良久は美衣奈に顔を向けた。
「え、えぇ~」
美衣奈の顔から血の気が引いたのが分かった。
顔も引きつっている。
「何だ?私じゃ不満か?」
「い、いいえ・・・よろしくお願いします」
目を逸らしながら返事をする。
すっごい嫌そうな空気が美衣奈の体中から湧き出ている。
「で、小倉はコーダ」
潤につくのは細い身体に赤髪、赤い瞳の男性だった。
背中には自分の背丈ぐらいの大きな剣を背中に持っていた。
「こいつは、グルカ族だ。お前の相談にも何かと対応出来るだろう」
「・・・ブラークから事情は聞いている。出来る限りのことはする」
「はい・・・よろしくお願いします」
ペコリと潤はコーダへ頭を下げた。
「んで、甲斐田。お前はクリスとだ」
「やった!めっちゃ可愛い子じゃん!ラッキー」
クリスは瑠衣を見るとうれしそうに叫んだ。
「あ、言っとくがこう見えてもこいつ。男!・・・だから」
「・・・・・・は?」
武良久の言葉にクリスは固まる。
「嘘だろ?」
「僕、男ですよ?」
その言葉で、クリスの顔は天国から地獄に落ちたように沈んだ。
「ブラーク、今回俺降りるわ」
そう言って教室を出ようとする。
「あ、そう。じゃ、もうあの件はいいんだな?」
「えっ?!・・・・や・・・その・・・」
あの件?
なんの話だ?
「お前が大の女好きで女たらしでいろんな女に声かけてる事、ベルにチクるぞ~!」
「わー!!!!!分かった、分かった!・・・・やればいいんだろ。やれば」
渋々クリスは戻ってきた。
武良久はそんなクリスを見てため息をついた。
「甲斐田、間違ってもこいつの女好きは見習うな!こいつの技だけ見習えよ」
「は・・・・はい」
なんだかいろいろ大変な人が講師だな。
「で、増田の講師はこいつだ」
武良久の指した先には、黒いフードに身を包んでいている人物がいた。
誰だかわからない。
「え・・・・?誰ですか?」
「・・・・あの変態金髪野郎だよ」
「え・・・・アースベル先生?」
黒いフードを深く被っていて顔は見えないが・・・・多分そうだ。
こっちの世界の太陽の光りをあれだけ嫌っていたしな。
フードを顔全体が隠れるくらい被るって・・・・どれだけ嫌いなんだ。
「そうそう。よく分かったな」
武良久は俺の答えを聞いて、豪快に笑った。
チラリとアースベルを見るとなんだか震えているように見える。
もしかして、変態金髪野郎でアースベルの名前を出したのがいけなかったんだろうか。
しかし、まず俺の記憶で金髪の講師はアースベルしか知らなかったのだ。
決して変態という部分で判断したわけではない。
それだけは・・・・後で言っておこう。何を言われるか分からないからな。
「で、蘭は鈴すずだ」
忍のような服を着た蘭と同じくらいの背格好の少女だ。
髪は茶色で一つに縛っている。
「では、このペアで特訓をする。午後にこの教室に集合!では解散!」
武良久の言葉でみんなそれぞれの講師について教室を出て行った。
午前の個人特訓メニューがそれぞれ終わり、教室に集まってきた。
「どうだった?」
瑠衣がみんなに聞く。
その質問に一番に口を開いたのは意外にも潤だった。
「グルカ族の血を呼び起こしての特訓だったからあんまり覚えていないが・・・安心して任せられると思う。みんなは?」
「私は、みんなの想像通りよ!超スパルタ!今日は魔物が大量にいる檻に入れられたわ」
美衣奈の言葉に、俺たちはゾゾッと背筋を振るわせる。
さすが武良久。期待を裏切らない特訓だ。
「・・・・大変だな。そういう瑠衣は?あのチャラ男先生はどうよ?」
「うーん、ずーっと僕の顔を見て『女だったら・・・』って言うんだ。嫌になるよ」
「・・・・そうか」
「でも、僧侶の基礎はしっかり教えてもらった」
ニッコリとVサインをした。
ずっと僧侶になりたかったって言ってたもんな。
「で?戒斗は?」
「あ、俺も魔法使いの基本を教えてもらったよ」
「そっか~。早くお互い高等魔法使えるようになるといいね」
「おう」
そう言って、俺はチラリと蘭を見た。
「蘭はどうだったんだ?」
「・・・・・すごかった」
「え?」
「姿が見えないくらいスピードが速かった」
よく分からないが、きっと鈴が見せた技が早すぎて蘭には見えなかったってことだろう。
「そっか。蘭も、頑張ろうな」
「・・・・うん」
そう話していると、ガラッと教室のドアが開いた。
入ってきたのは黒髪のショートカットが良く似合うの女の人だ。
見た目はアジア美人といった感じだが、耳が尖った形で長かった。
「こんにちは。私がこれからみなさんにベアリス語を教えるガイです。よろしくお願いします」
まともそうな先生だ。
が、騙されてはいけない!
なんたって、武良久も最初は真面目そうな先生を演じていたのだ。
この学園にまともな先生がいるとも思えない。
「では、授業を始めていきます」
しかし、俺の警戒も虚しくベアリス語の授業は終了した。
いたって普通の授業だった。
変わっているのはあの武良久の周りの奴らだけか。
ホッと安心し、今日一日の授業は終了した。
それから半年、個人の特訓は続いた。
そしてある日、特訓も大分慣れてきたということで今の実力を披露すべく広い部屋にみんな集まっていた。
高い天井にはそんな実力を披露する場所に相応しくないような豪華なシャンデリアがぶら下がっている。
「では、これまでの特訓の成果を見せてもらう。じゃ、まず蘭から」
「・・・・・はい」
武良久が呼ぶと蘭が一歩前に出る。
蘭はそのまま部屋の中央に移動し深呼吸をする。
そして思いっきりしゃがみ込み、そのままジャンプした。
パッと俺たちの視界から蘭の姿が消えた。
どこに行ったのかキョロキョロしていると天井から吊り下げられているシャンデリアに乗っていた。
「え・・・・」
みんな絶句した。
あのシャンデリアまではざっと20mはある。
それを助走無しのジャンプで乗っているのだ。まぁ、助走あっても乗れる自信はないが。
「おぉ!」
先生方は蘭のジャンプ力を見て歓声を上げている。
「さすがだな。どうだ?鈴」
「・・・・まだまだです」
まだまだって・・・厳しいな。
鈴も蘭と同じあまり感情を出さないようだ。
ずっと無表情だ。忍だからだろうか?
「では、次は潤」
「はい」
潤も部屋の真ん中へ行き、目を閉じ気を集中させる。
「まだ、完璧にグルカ族の血をコントロール出来ているわけではないからな。俺の後ろからみな離れるなよ」
そう言って、コーダは俺たちを自分の背中に移動させた。
潤の身体の周りに一瞬にして赤いオーラが纏う。
そして、潤の髪も瞳も赤色に変色していた。
「え?髪も目も赤くなってる・・・」
「そうだ。あれが潤のグルカ族の姿だ」
俺は、ジッと潤の姿を見る。
普段の潤からは考えられない姿になっている。
「ぐ・・・・・うわぁ・・・あぁぁ!」
潤は急に苦しそうな声をあげだした。
「潤!」
「・・・・くっ!」
いつもは強気な美衣奈はあの時を思い出すのか、潤の姿から目を逸らした。
「目を逸らすな。潤の頑張った姿をお前たちが見ないでどうする」
「・・・っ?!」
コーダは潤から視線を逸らさずに俺たちにきっぱりと言い切った。
確かにそうだ。
これは全員の成長を見せる場だ。
先生たちに見せることが目的であっても俺たちが見ないでどうする。
大事な仲間のこの半年の頑張りと成長を。
俺はグッと拳を握り締めた。
「ぐ・・・・・うううう・・・」
「潤!頑張れ!負けるな」
「・・・・潤!!頑張れ!」
俺の言葉に瑠衣も一緒に応援してくれる。
きっと潤ならグルカ族の血に勝てる・・・・そう信じて。
「う・・・・うぅ・・・」
「潤!」
「潤・・・・」
俺と瑠衣は不安そうに潤を見る。
美衣奈はまだ視線を逸らしたままだ。
しかし、しばらくして決心がついたのか美衣奈はグッと拳に力を込めて潤の方へ顔を向けた。
「・・・・・っ!潤!何してるのよ!そんな力くらい制御しなさいよ!」
美衣奈は潤に向かって大きな声で叫ぶ。
「・・・・・・うっ・・。み・・・・いな」
潤が意識を戻しかけているようだ。
「美衣奈!もっと潤に声をかけて!意識が戻りかけてる」
俺は美衣奈に叫ぶと、コクリとうなずいた。
「・・・・・打ち勝って!グルカ族の血に!・・・・お願い」
美衣奈は潤の方へ視線を向けながら必死に手を組み願っていた。
「美衣奈・・・・」
グルカ族の姿のまま、潤がいつも美衣奈に見せる優しい表情を向ける。
「やった!潤の意識がグルカ族の血に勝った!」
俺と瑠衣は抱き合って喜ぶ。
コーダもフッと笑って潤の元に歩いていった。
「良くやった。どうだ?」
「・・・・はい。何だか体中が熱いですが・・・なんとか」
「まぁ、今回はこれでいい。次はこの力を自在に操れるようにしよう」
「はい」
気が抜けたのか、潤はガクッと膝から崩れ落ちた。その時、髪も瞳ももとの黒色に戻った。
その身体をコーダが抱きとめる。
「・・・・すみません」
「今はゆっくり休め」
「いえ・・・・みんなの成長を見届けたいんです」
「・・・・そうか」
コーダは潤の身体を肩に担ぎ、部屋の隅に座らせた。
俺、瑠衣、美衣奈は慌てて駆け寄る。
「大丈夫か?」
「・・・うん。みんなありがとう」
潤の額には汗が光っていた。
「どうした?蘭」
「・・・・・あの人たちは自分の宿命に立ち向かってる。そしてそれを支え合ってる。私は・・・・」
蘭はそこまで言うと顔を伏せた。
武良久はポンポンと蘭の頭を優しく叩く。
「お前にもきっと・・・・そう思える日がくるさ。でもあいつらはお前も支えようとしているぞ?」
「・・・・」
蘭は武良久のその言葉に、喜んでいる4人をジッと見つめた。
「じゃ、次は増田」
「はい」
俺は部屋の中央に移動する。
これまでのクラス全員での特訓では今まで力を抑えての練習をしていたが、この個人特訓の半年間は自分の力を限界まで引き出す特訓をしていた。
【魔力全放出】
それをまだ何も戦う術を知らない俺はその術を使って意識を無くした。
しかし、今は魔力全放出を10分間保てるようになった。
特訓初日は一瞬にして記憶を失ったのだが。
アースベルはこの魔力全放出を3時間以上も出来るらしい。
魔力は鍛えれば鍛えるほど増えるようだ。
しかし、その為には自分の魔力を毎回0《ゼロ》に近い状態にしないといけない。最悪、特訓中に死ぬ魔法使いもいるみたいだ。魔力もそうだが、根性も魔法使いには必要なようだ。
だから魔法使いはなかなかなりたいと思ってなれるようなものじゃないのか?
俺は深呼吸をして、自分の身体に力を込める。
「オーバーグエム」
静かにそうつぶやくと、青い光りが俺を包み一気に魔力が部屋中に広がる。
「きゃっ!」
「うあっ!」
凄い爆風が瑠衣たちに襲い掛かる。
「まったく・・・末恐ろしいよね」
アースベルはいつの間にか瑠衣たちの前に立っていた。
すると、さっきまでの爆風は来なくなっていた。
「え?」
「もしかしたら死んじゃうかもしれないからね。一応防御壁作っといた」
そういい残してアースベルは先生たちが集まる場所に戻っていった。
「すごい。あの時の光りだ」
「・・・・よくこんな大量の魔力をずっと放出し続けれるわね。戒斗って何者なの?」
呆気にとられている潤と美衣奈は青い光りを放っている俺を見ていた。
瑠衣はチラリと自分の手の甲にある契約印を見た。
「はい、そこまで」
「・・・・・っ!」
アースベルの声で俺は魔力放出を止めた。
俺は倒れそうになるのを必死に堪える。
「10分経っても倒れなかった。自己新記録だね」
「はは・・・・よかった・・・です」
フラフラと瑠衣たちがいる場所に向かい、潤の横にドカッと座った。
「凄いじゃないか。戒斗」
「そんなことないよ・・・まだまだだ」
「では、次。西園寺」
「は、はい」
急に名前を呼ばれて美衣奈はビクッと身体が跳ねる。
部屋の真ん中には武良久が用意したと思われる大きな岩が置いてある。
どうやって持ってきたのか不思議だが、家一軒ぐらいある大きさの岩だ。
これをどうするつもりなのか。
グッと美衣奈は拳に魔力を集中させる。青い光が美衣奈の拳を包む。
俺の身体はビリビリと美衣奈の魔力に反応している。凄い魔力なのだろう。
「はぁっ!」
思いっきり美衣奈が岩を殴ると岩は粉砕した。
「うわぁ!」
岩の粉砕した欠片が物凄い勢いで飛んでくる。
「くっ!」
瑠衣は俺たちの前に立ち、手を伸ばす。
「アタックディフェンス」
すると、さっきのアースベルが作った防御壁の様なモノが瑠衣の前に現れた。
アースベルのモノに比べると小さいが、俺たちを守るには十分だ。
「瑠衣・・・」
「大丈夫?戒斗も潤も今動けないんだから。僕がしっかり守るよ」
「心強いな」
「えへへ」
潤に褒められて顔が緩む瑠衣。
すると大きな岩が瑠衣に向かって飛んでくるのが見えた。
「・・・・っ!瑠衣、危ない!」
とっさに俺は叫んだ。
防御壁が耐えれるのかは分からないが凄い大きさだ。
「え・・・?」
くそっ!魔法で岩を破壊したいけどもうほとんど魔力が残ってねぇ・・・。
体も上手く動かない。
隣を見ると、潤も同じみたいだ。
ガンっと凄い音が響く。
防御壁に岩がぶつかったのだ。
なんとか耐えたのか?
「くっ!」
瑠衣の苦しそうな声が聞こえてくる。
「ぐあっ・・・・」
ピシピシと何かヒビが入る音が聞こえる。
「瑠衣!」
すると、ドコォっと凄い音がまた鳴り響く。
瑠衣が影になってよく見えないが、どうなったのだろうか?
「はぁ・・・・蘭ちゃん・・・」
瑠衣が安心したのか、その場に座り込む。
そこには蘭が立ってた。
どうやら瑠衣の防御壁が壊れる前に蘭が岩を破壊したみたいだった。
「蘭ちゃーん!駄目だよ。これは瑠衣の実力を見る為でもあったんだから」
クリスが蘭に近づいて言う。
「・・・・そうなのか?」
蘭は少し申し訳なさそうに瑠衣を見る。
「ううん。ありがとう蘭ちゃん。助かった」
「まさかあんな大きな岩が飛んでくるとは思わなかったけどね~。まぁ、よく頑張ったよ」
クリスは瑠衣に向かってパチンとウインクをした。
「あ・・・・・はぁ、ありがとうございます」
瑠衣は青い顔をしながらクリスから目を逸らす。
「・・・・瑠衣、あの先生いつもあれ?」
「うん・・・・」
本当に・・・・大変だな。
俺だったら耐えられねぇわ。
とりあえず、これで全員の実力披露は無事終了した。
今日は朝一で武良久に暴走の件で相談に来たのだった。
「おう!おはよ。どーした?こんな朝早くから」
職員室に入ると、コーヒーをすすりながら歩いてくる武良久がいた。
「あ、今日は先生に相談があって・・」
「相談?」
潤は武良久に過去に今あったこと簡単に説明をする。
暴走が怖い為特訓も集中して出来ないこと、なにか秘策は無いかと武良久に話した。
潤の話を聞いて、武良久は自分の席に座り考え込む。
「どうでしょうか?」
「ふむ・・・・まさかお前があのグルカ族とのハーフとはな。聞いたことはあるが、まさか実際に目の前で見るとは・・・」
「はは・・・・まぁ、裏世界の住人とのハーフ自体めったに見ないですからね」
「だが、こちらの世界の血が強いようだな。だからグルカ族の血が目覚めたときに制御できずに暴走してしまうんだろう」
「・・・・・そうなんですか」
「もっとグルカ族の血を目覚めさせた方がいい。そうするとだんだん体の方もグルカ族の血に慣れてくる」
「慣れ・・・・ですか」
「あぁ、人の身体は凄いからな。一番手っ取り早く効果がある。ただし、お前が記憶を無くして、暴走しても対処できる者が近くにいないと駄目な方法だがな・・・」
武良久は再び考え込む。
「・・・・・あいつに頼むしかないな」
武良久はハァっとため息をついた。
「では、今日から毎日午前中は個人個人の特訓に励んでもらう。講師は一人一人につけるから、ちゃんと教えてもらえよ」
武良久が教室に入るなり、すぐにそんなことを言い出した。
急に個人の特訓?
なぜだ?潤の暴走を改善する策が関係しているのだろうか?
今日、武良久に相談しに行くって言ってたしな。
「午後からは、ベアリス語と言って裏世界で必要になってくる言葉の勉強をする。しばらくこんな時間配分だ。頭に入れて置くように」
ベアリス語ってアースベル先生と裏世界に行った特訓の時に話してたやつだよな。
「では、それぞれの講師を紹介する。みんな私の討伐隊の者だ。腕は保証する・・・・・が、性格は保証しないからな。それだけは先に言っておく」
「え・・・」
その言葉にみんな顔を引きつらせる。
武良久が言うって事はかなり異常か、まともかのどっちかだな。
後者だったらいいが・・・・。
「入ってきてくれ」
武良久の言葉を合図にガラリと教室のドアが開き、4人の人物が入ってきた。
「私を含めての計5人だ。まず、西園寺。お前につくのは私だ」
「え!でも先生は格闘家じゃ無いんですか?私は剣士志望なんですけど・・・」
「私は格闘家も剣士も出来る」
フン!と鼻を鳴らしドヤ顔で武良久は美衣奈に顔を向けた。
「え、えぇ~」
美衣奈の顔から血の気が引いたのが分かった。
顔も引きつっている。
「何だ?私じゃ不満か?」
「い、いいえ・・・よろしくお願いします」
目を逸らしながら返事をする。
すっごい嫌そうな空気が美衣奈の体中から湧き出ている。
「で、小倉はコーダ」
潤につくのは細い身体に赤髪、赤い瞳の男性だった。
背中には自分の背丈ぐらいの大きな剣を背中に持っていた。
「こいつは、グルカ族だ。お前の相談にも何かと対応出来るだろう」
「・・・ブラークから事情は聞いている。出来る限りのことはする」
「はい・・・よろしくお願いします」
ペコリと潤はコーダへ頭を下げた。
「んで、甲斐田。お前はクリスとだ」
「やった!めっちゃ可愛い子じゃん!ラッキー」
クリスは瑠衣を見るとうれしそうに叫んだ。
「あ、言っとくがこう見えてもこいつ。男!・・・だから」
「・・・・・・は?」
武良久の言葉にクリスは固まる。
「嘘だろ?」
「僕、男ですよ?」
その言葉で、クリスの顔は天国から地獄に落ちたように沈んだ。
「ブラーク、今回俺降りるわ」
そう言って教室を出ようとする。
「あ、そう。じゃ、もうあの件はいいんだな?」
「えっ?!・・・・や・・・その・・・」
あの件?
なんの話だ?
「お前が大の女好きで女たらしでいろんな女に声かけてる事、ベルにチクるぞ~!」
「わー!!!!!分かった、分かった!・・・・やればいいんだろ。やれば」
渋々クリスは戻ってきた。
武良久はそんなクリスを見てため息をついた。
「甲斐田、間違ってもこいつの女好きは見習うな!こいつの技だけ見習えよ」
「は・・・・はい」
なんだかいろいろ大変な人が講師だな。
「で、増田の講師はこいつだ」
武良久の指した先には、黒いフードに身を包んでいている人物がいた。
誰だかわからない。
「え・・・・?誰ですか?」
「・・・・あの変態金髪野郎だよ」
「え・・・・アースベル先生?」
黒いフードを深く被っていて顔は見えないが・・・・多分そうだ。
こっちの世界の太陽の光りをあれだけ嫌っていたしな。
フードを顔全体が隠れるくらい被るって・・・・どれだけ嫌いなんだ。
「そうそう。よく分かったな」
武良久は俺の答えを聞いて、豪快に笑った。
チラリとアースベルを見るとなんだか震えているように見える。
もしかして、変態金髪野郎でアースベルの名前を出したのがいけなかったんだろうか。
しかし、まず俺の記憶で金髪の講師はアースベルしか知らなかったのだ。
決して変態という部分で判断したわけではない。
それだけは・・・・後で言っておこう。何を言われるか分からないからな。
「で、蘭は鈴すずだ」
忍のような服を着た蘭と同じくらいの背格好の少女だ。
髪は茶色で一つに縛っている。
「では、このペアで特訓をする。午後にこの教室に集合!では解散!」
武良久の言葉でみんなそれぞれの講師について教室を出て行った。
午前の個人特訓メニューがそれぞれ終わり、教室に集まってきた。
「どうだった?」
瑠衣がみんなに聞く。
その質問に一番に口を開いたのは意外にも潤だった。
「グルカ族の血を呼び起こしての特訓だったからあんまり覚えていないが・・・安心して任せられると思う。みんなは?」
「私は、みんなの想像通りよ!超スパルタ!今日は魔物が大量にいる檻に入れられたわ」
美衣奈の言葉に、俺たちはゾゾッと背筋を振るわせる。
さすが武良久。期待を裏切らない特訓だ。
「・・・・大変だな。そういう瑠衣は?あのチャラ男先生はどうよ?」
「うーん、ずーっと僕の顔を見て『女だったら・・・』って言うんだ。嫌になるよ」
「・・・・そうか」
「でも、僧侶の基礎はしっかり教えてもらった」
ニッコリとVサインをした。
ずっと僧侶になりたかったって言ってたもんな。
「で?戒斗は?」
「あ、俺も魔法使いの基本を教えてもらったよ」
「そっか~。早くお互い高等魔法使えるようになるといいね」
「おう」
そう言って、俺はチラリと蘭を見た。
「蘭はどうだったんだ?」
「・・・・・すごかった」
「え?」
「姿が見えないくらいスピードが速かった」
よく分からないが、きっと鈴が見せた技が早すぎて蘭には見えなかったってことだろう。
「そっか。蘭も、頑張ろうな」
「・・・・うん」
そう話していると、ガラッと教室のドアが開いた。
入ってきたのは黒髪のショートカットが良く似合うの女の人だ。
見た目はアジア美人といった感じだが、耳が尖った形で長かった。
「こんにちは。私がこれからみなさんにベアリス語を教えるガイです。よろしくお願いします」
まともそうな先生だ。
が、騙されてはいけない!
なんたって、武良久も最初は真面目そうな先生を演じていたのだ。
この学園にまともな先生がいるとも思えない。
「では、授業を始めていきます」
しかし、俺の警戒も虚しくベアリス語の授業は終了した。
いたって普通の授業だった。
変わっているのはあの武良久の周りの奴らだけか。
ホッと安心し、今日一日の授業は終了した。
それから半年、個人の特訓は続いた。
そしてある日、特訓も大分慣れてきたということで今の実力を披露すべく広い部屋にみんな集まっていた。
高い天井にはそんな実力を披露する場所に相応しくないような豪華なシャンデリアがぶら下がっている。
「では、これまでの特訓の成果を見せてもらう。じゃ、まず蘭から」
「・・・・・はい」
武良久が呼ぶと蘭が一歩前に出る。
蘭はそのまま部屋の中央に移動し深呼吸をする。
そして思いっきりしゃがみ込み、そのままジャンプした。
パッと俺たちの視界から蘭の姿が消えた。
どこに行ったのかキョロキョロしていると天井から吊り下げられているシャンデリアに乗っていた。
「え・・・・」
みんな絶句した。
あのシャンデリアまではざっと20mはある。
それを助走無しのジャンプで乗っているのだ。まぁ、助走あっても乗れる自信はないが。
「おぉ!」
先生方は蘭のジャンプ力を見て歓声を上げている。
「さすがだな。どうだ?鈴」
「・・・・まだまだです」
まだまだって・・・厳しいな。
鈴も蘭と同じあまり感情を出さないようだ。
ずっと無表情だ。忍だからだろうか?
「では、次は潤」
「はい」
潤も部屋の真ん中へ行き、目を閉じ気を集中させる。
「まだ、完璧にグルカ族の血をコントロール出来ているわけではないからな。俺の後ろからみな離れるなよ」
そう言って、コーダは俺たちを自分の背中に移動させた。
潤の身体の周りに一瞬にして赤いオーラが纏う。
そして、潤の髪も瞳も赤色に変色していた。
「え?髪も目も赤くなってる・・・」
「そうだ。あれが潤のグルカ族の姿だ」
俺は、ジッと潤の姿を見る。
普段の潤からは考えられない姿になっている。
「ぐ・・・・・うわぁ・・・あぁぁ!」
潤は急に苦しそうな声をあげだした。
「潤!」
「・・・・くっ!」
いつもは強気な美衣奈はあの時を思い出すのか、潤の姿から目を逸らした。
「目を逸らすな。潤の頑張った姿をお前たちが見ないでどうする」
「・・・っ?!」
コーダは潤から視線を逸らさずに俺たちにきっぱりと言い切った。
確かにそうだ。
これは全員の成長を見せる場だ。
先生たちに見せることが目的であっても俺たちが見ないでどうする。
大事な仲間のこの半年の頑張りと成長を。
俺はグッと拳を握り締めた。
「ぐ・・・・・うううう・・・」
「潤!頑張れ!負けるな」
「・・・・潤!!頑張れ!」
俺の言葉に瑠衣も一緒に応援してくれる。
きっと潤ならグルカ族の血に勝てる・・・・そう信じて。
「う・・・・うぅ・・・」
「潤!」
「潤・・・・」
俺と瑠衣は不安そうに潤を見る。
美衣奈はまだ視線を逸らしたままだ。
しかし、しばらくして決心がついたのか美衣奈はグッと拳に力を込めて潤の方へ顔を向けた。
「・・・・・っ!潤!何してるのよ!そんな力くらい制御しなさいよ!」
美衣奈は潤に向かって大きな声で叫ぶ。
「・・・・・・うっ・・。み・・・・いな」
潤が意識を戻しかけているようだ。
「美衣奈!もっと潤に声をかけて!意識が戻りかけてる」
俺は美衣奈に叫ぶと、コクリとうなずいた。
「・・・・・打ち勝って!グルカ族の血に!・・・・お願い」
美衣奈は潤の方へ視線を向けながら必死に手を組み願っていた。
「美衣奈・・・・」
グルカ族の姿のまま、潤がいつも美衣奈に見せる優しい表情を向ける。
「やった!潤の意識がグルカ族の血に勝った!」
俺と瑠衣は抱き合って喜ぶ。
コーダもフッと笑って潤の元に歩いていった。
「良くやった。どうだ?」
「・・・・はい。何だか体中が熱いですが・・・なんとか」
「まぁ、今回はこれでいい。次はこの力を自在に操れるようにしよう」
「はい」
気が抜けたのか、潤はガクッと膝から崩れ落ちた。その時、髪も瞳ももとの黒色に戻った。
その身体をコーダが抱きとめる。
「・・・・すみません」
「今はゆっくり休め」
「いえ・・・・みんなの成長を見届けたいんです」
「・・・・そうか」
コーダは潤の身体を肩に担ぎ、部屋の隅に座らせた。
俺、瑠衣、美衣奈は慌てて駆け寄る。
「大丈夫か?」
「・・・うん。みんなありがとう」
潤の額には汗が光っていた。
「どうした?蘭」
「・・・・・あの人たちは自分の宿命に立ち向かってる。そしてそれを支え合ってる。私は・・・・」
蘭はそこまで言うと顔を伏せた。
武良久はポンポンと蘭の頭を優しく叩く。
「お前にもきっと・・・・そう思える日がくるさ。でもあいつらはお前も支えようとしているぞ?」
「・・・・」
蘭は武良久のその言葉に、喜んでいる4人をジッと見つめた。
「じゃ、次は増田」
「はい」
俺は部屋の中央に移動する。
これまでのクラス全員での特訓では今まで力を抑えての練習をしていたが、この個人特訓の半年間は自分の力を限界まで引き出す特訓をしていた。
【魔力全放出】
それをまだ何も戦う術を知らない俺はその術を使って意識を無くした。
しかし、今は魔力全放出を10分間保てるようになった。
特訓初日は一瞬にして記憶を失ったのだが。
アースベルはこの魔力全放出を3時間以上も出来るらしい。
魔力は鍛えれば鍛えるほど増えるようだ。
しかし、その為には自分の魔力を毎回0《ゼロ》に近い状態にしないといけない。最悪、特訓中に死ぬ魔法使いもいるみたいだ。魔力もそうだが、根性も魔法使いには必要なようだ。
だから魔法使いはなかなかなりたいと思ってなれるようなものじゃないのか?
俺は深呼吸をして、自分の身体に力を込める。
「オーバーグエム」
静かにそうつぶやくと、青い光りが俺を包み一気に魔力が部屋中に広がる。
「きゃっ!」
「うあっ!」
凄い爆風が瑠衣たちに襲い掛かる。
「まったく・・・末恐ろしいよね」
アースベルはいつの間にか瑠衣たちの前に立っていた。
すると、さっきまでの爆風は来なくなっていた。
「え?」
「もしかしたら死んじゃうかもしれないからね。一応防御壁作っといた」
そういい残してアースベルは先生たちが集まる場所に戻っていった。
「すごい。あの時の光りだ」
「・・・・よくこんな大量の魔力をずっと放出し続けれるわね。戒斗って何者なの?」
呆気にとられている潤と美衣奈は青い光りを放っている俺を見ていた。
瑠衣はチラリと自分の手の甲にある契約印を見た。
「はい、そこまで」
「・・・・・っ!」
アースベルの声で俺は魔力放出を止めた。
俺は倒れそうになるのを必死に堪える。
「10分経っても倒れなかった。自己新記録だね」
「はは・・・・よかった・・・です」
フラフラと瑠衣たちがいる場所に向かい、潤の横にドカッと座った。
「凄いじゃないか。戒斗」
「そんなことないよ・・・まだまだだ」
「では、次。西園寺」
「は、はい」
急に名前を呼ばれて美衣奈はビクッと身体が跳ねる。
部屋の真ん中には武良久が用意したと思われる大きな岩が置いてある。
どうやって持ってきたのか不思議だが、家一軒ぐらいある大きさの岩だ。
これをどうするつもりなのか。
グッと美衣奈は拳に魔力を集中させる。青い光が美衣奈の拳を包む。
俺の身体はビリビリと美衣奈の魔力に反応している。凄い魔力なのだろう。
「はぁっ!」
思いっきり美衣奈が岩を殴ると岩は粉砕した。
「うわぁ!」
岩の粉砕した欠片が物凄い勢いで飛んでくる。
「くっ!」
瑠衣は俺たちの前に立ち、手を伸ばす。
「アタックディフェンス」
すると、さっきのアースベルが作った防御壁の様なモノが瑠衣の前に現れた。
アースベルのモノに比べると小さいが、俺たちを守るには十分だ。
「瑠衣・・・」
「大丈夫?戒斗も潤も今動けないんだから。僕がしっかり守るよ」
「心強いな」
「えへへ」
潤に褒められて顔が緩む瑠衣。
すると大きな岩が瑠衣に向かって飛んでくるのが見えた。
「・・・・っ!瑠衣、危ない!」
とっさに俺は叫んだ。
防御壁が耐えれるのかは分からないが凄い大きさだ。
「え・・・?」
くそっ!魔法で岩を破壊したいけどもうほとんど魔力が残ってねぇ・・・。
体も上手く動かない。
隣を見ると、潤も同じみたいだ。
ガンっと凄い音が響く。
防御壁に岩がぶつかったのだ。
なんとか耐えたのか?
「くっ!」
瑠衣の苦しそうな声が聞こえてくる。
「ぐあっ・・・・」
ピシピシと何かヒビが入る音が聞こえる。
「瑠衣!」
すると、ドコォっと凄い音がまた鳴り響く。
瑠衣が影になってよく見えないが、どうなったのだろうか?
「はぁ・・・・蘭ちゃん・・・」
瑠衣が安心したのか、その場に座り込む。
そこには蘭が立ってた。
どうやら瑠衣の防御壁が壊れる前に蘭が岩を破壊したみたいだった。
「蘭ちゃーん!駄目だよ。これは瑠衣の実力を見る為でもあったんだから」
クリスが蘭に近づいて言う。
「・・・・そうなのか?」
蘭は少し申し訳なさそうに瑠衣を見る。
「ううん。ありがとう蘭ちゃん。助かった」
「まさかあんな大きな岩が飛んでくるとは思わなかったけどね~。まぁ、よく頑張ったよ」
クリスは瑠衣に向かってパチンとウインクをした。
「あ・・・・・はぁ、ありがとうございます」
瑠衣は青い顔をしながらクリスから目を逸らす。
「・・・・瑠衣、あの先生いつもあれ?」
「うん・・・・」
本当に・・・・大変だな。
俺だったら耐えられねぇわ。
とりあえず、これで全員の実力披露は無事終了した。
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