討伐師〜ハンター〜

夏目 涼

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第11話

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「知ってた?今日入学式なんだって」

瑠衣は急に俺に向かって言ってきた。

「え?何の?」

俺は訳も分からずそんな返答を返す。

「なんのって・・・・新1年生の」
「え?もうそんな時期なのか?!」

今日は武良久に呼ばれて、普段午前中は個人の特訓に行く俺たち5人は久々に教室に集まっていた。
しかし、入学式ってことは俺たちが入学して1年が経つのか。全然実感が無い。
休みも無く、毎日学校で特訓して寮で疲れて爆睡の日々の繰り返しだったからだろうか?
それとも移動は全部魔法でしているから、外の景色を見ることはほとんど無いからだろうか。
しかし、どちらにせよもう1年が経つのは事実だ。

「信じられないな」
「そうだよね~・・・でもクリス先生が『今日は入学式だ!可愛い子いるかな~♪』って張り切って言ってるから間違いないと思う」
「・・・・・・そうだな」

このクリスの女に対しての発言の信頼度はなんだろうか。
普段の発言だったら絶対疑うのだが・・・・。

そんな話をしていると武良久が教室に入ってきた。

「おっす!こうやって会うのも久しぶりだな!んで、いきなりだが今日からお前たちは2年生になる」

武良久がいきなりそう発言する。
俺たち5人は武良久のいきなりの発言にそれぞれ顔を見合わせる。

「えっと・・・・それってどういう?」
「あ?今日から1年がこの教室を使うからお前らはこの教室を空けないといけねーんだよ」
「ということは?次の教室はどこになるんですか?」

その言葉を待ってましたと言わんばかりに武良久はニヤとする。

「2年生からはこんなところで甘く特訓なんてしねーよ。これからは裏世界で1年間特訓してもらう!もちろん暮らしも向こうでしてもらう」

その急な発言に俺たちは唖然として何も言葉が出ない。

裏世界で暮らす?
俺たちが?

「ただし!向こうの世界は時間が進むのがこっちよりも早い。こっちの1年は向こうでは6年になる」
「ろ・・・6年?!」

え・・・ってことは向こうじゃ21歳だけどこっちの世界じゃまだ16歳・・・?
わけが分からなくなってきたぞ・・・。

「え・・・・俺たちはどうなるんですか?」
「あ?・・・・まぁ、歳はこっちの世界のでいいと思うぞ。成長もそんなに急激にはしない。多分な」
「は・・・・はぁ」

多分かい。
んな無茶苦茶な。

「で、裏世界には明日から行ってもらうから今日は一日休みにする。実家に帰るなり好きにしろ。明日の朝8時にまたこの教室集合だ。いいな」

みんな頭がついてきてないのだろう。
呆然として武良久の言葉に反応出来ない。

「なんだ?休みがいらないのなら今からでも出発するが?」
「貰う!あ、いえ休み・・・・頂きます」
「俺も!お願いします」

武良久のその言葉に瑠衣と美衣奈は慌てて答えた。

本当に何もかもが急で・・・・・・心臓がもたない。
もっと先に予定は分からないんだろうか?

そう思いながら俺も美衣奈と瑠衣の言葉に同意した。











俺は、1年ぶりに実家に戻ってきた。
なんだか何年も帰っていなかったような気持ちだ。

「ただいま」

どうせ仕事で両親共にいないだろうと思っていたが、玄関のドアを開けると母親が笑顔で出迎えてくれた。

「戒斗!お帰り」

俺はびっくりして一瞬固まった。

学園の方から連絡でもしていたのだろうか?
急に帰ることになって迷惑がかかるからと思い、俺から連絡はしなかった。

いつも土日祝日関係なしに忙しいはずなのに家にいることを不思議に思ったが、優等生な俺は崩さない。

「ただいま、母さん」

俺はニッコリ笑顔でもう一度言った。
するとリビングから父親も顔を出した。

「戒斗。お帰り」
「え?父さん・・・・ただいま」

めったに家にはいない父親がいて俺の身体に緊張が走る。
俺は父親は昔から少し苦手なのだ。
あまり遊んだ記憶もないし、話した記憶すら数えるほどしかない。

「え・・・?今日はどうしたの?2人とも仕事は?」

俺の言葉に両親は顔を見合わせる。

「お前、明日から裏世界に行くんだろう?今日はすべてを話そうと思ってな。母さんと休みを取ったんだ」
「すべてって・・・・何?」

俺は今までに感じたこと無い不安を覚える。

何も問題を起こしたことがない俺に話ってなんだ?
実の息子じゃないっていうオチか?
でもそれだったらなんで父さんは俺が話をする前に裏世界の存在を知っているんだ?

いろいろなことがグルグルと俺の頭を駆け巡る。

「まぁ、ここで立ち話もあれだからリビングに行きましょう」

その母さんの言葉で俺たちはリビングへ移動した。
それぞれ定位置のソファーへと腰を掛ける。

「で?何?話って」
「あ・・・ああ」

父さんは俺の催促の言葉に戸惑う。
まだ心の準備が出来ていないのだろうか。
俺は父さんが話し始めるのをジッと待った。

「・・・・実は戒斗、お前に黒主学園の入学を勧めたのには理由があるんだ」
「理由?」
「あぁ。俺と母さんは黒主学園の上級クラスの卒業生だ」
「え・・・・?」

まさか、父さんと母さんが黒主学園の上級クラスの卒業生だったなんて。
だから2人は違う職なのに出会っていたのか。

「それで・・・・俺を黒主学園に勧めた理由はそれだけ?」

俺の言葉に父さんの眉がピクリと反応する。

「・・・いや、他にある」

父さんは、チラリと母さんを見る。

「あなたは希少価値の子なの」
「は・・・?」

俺は首を傾げる。
こんないたって普通の俺に希少価値?

「今となっては特に厳しく言われなくなったと聞いたが、黒主学園の生徒同士での交際、結婚、子供を作ることは昔は禁忌とされていた」
「・・・え?どうして・・・」
「自分の魔力の膨大さで子供が生まれてもすぐ死んでしまうからだ。生存確率は10%」
「え・・・・」
「私たち甘く考えていたの」
「俺たちは大学を卒業してからもお互い違う討伐隊に所属していた。しかし、お互い普通の社会に戻ろうと討伐隊を脱退した。その時に俺たちの力は封印されたんだ」
「それで、いいと思ってたの。私たちの能力が封印されればもうその禁忌も大丈夫だって・・・でも、駄目だった」

父さんも母さんもとても辛そうに話を続ける。

「あなたの前に何回も妊娠した。・・・けど出産になる前にみんな流産してしまったの」
「やっぱり、駄目なのかと思ったときだ。お前を母さんが妊娠したときに黒主学園の学園長が家に来たんだ」

学園長・・・。
会った事ないな。

「この子を無事出産させてやる。その代わりにこの子が育ったたら黒主学園に入学させろ。それが条件だったわ」
「黒主学園はこの世界唯一の裏世界ベアリスへと繋がっている場所。学園長はより優秀な人材を欲しているからそんな条件を出してきたんだと思う」
「でも、どうして黒主学園はそんなに裏世界にこだわるんですか?ただのボランティアにしては力を入れすぎているというか・・・」

その俺の疑問に父さんと母さんは顔を見合わせた。

「・・・・俺たちも噂で聞いた話だから本当かどうかは分からないが、どんな理由かは知らないがベアリスでの道具や武器をこっちの世界にも持ち出せるようにしたいらしい。今のままだとこっちに持ち出したら道具が消えてしまうからな。まだその理由は解明されていないが。その実験をするためにはベアリスとこっちの世界を自由に行き来しないといけない。ベアリスに行き来できるように向こうの帝王と契約を交わしたみたいだ。魔物討伐を手伝う代わりに、自由に行き来する能力を授けると」
「帝王って・・・・王様みたいなもの?」
「いや、ベアリスを作った神だ」
「え?!神!?」

神様がいるのか!裏世界には。

「だから入学するときに必ず契約書を書いたでしょ?あれを身体の一部に無いと裏世界にいけないようになってるの」

あれ?瑠衣から聞いた理由と違う・・・?

「この契約印は俺たちの身体を守るものだって聞いたけど?」
「確かに守るものでもあるわ。ベアリスに行ったら効果が発揮するものだから。帝王の加護が受けられるの」

なるほど。
この契約印は学園との契約でもあるが、同時に裏世界の帝王との契約でもあるのか。

「ところで、学園長って誰なの?俺会った事無いんだけど」
「え?聞いた話によると特別にお前のクラスの担任をしていると聞いたが・・・・?」
「は・・・・・」

担任・・・・
担任って・・・
あの、武良久?!
嘘だろ。
あの武良久が学園長?!

俺は驚きで開いた口が塞がらない。

「なんだ、聞かされてないのか」
「聞かされてないよ!え・・・・?嘘でしょう?討伐隊Sクラスの討伐隊長してるって・・・」
「まぁ、学園一魔力が強いからね。それも兼任してるみたいだ。ベアリスでも有名だよ」
「・・・・・・」

ますます開いた口が塞がらない。

なんなんだ・・・・この真実は。
学園長で、俺たちの担任で、討伐隊Sクラスの討伐隊長で・・・・???

「まぁ、驚くことも無理は無い。普通ならそうやって教えてもらうどころか、会うことも困難な人だろうしな」
「なんでも、戒斗が入学する年だから絶対自分が受け持つって聞かなかったらしいわよ」

母さんはクスクスと笑う。

いやいや!笑い事じゃないでしょ!


「これが俺たちがお前に秘密にしていたことだ」


こんなことを聞かされるとは・・・・。
とんだ里帰り(?)になってしまったようだ
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