討伐師〜ハンター〜

夏目 涼

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第32話

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「とりあえず…休もうか…夜も遅いし…」

時計を見るともう23時を回っている。
いくらあの子の力で少し良くなったとはいえサクラの体力も心配だ。

「サクラさんは、私が部屋に送ります」

本当はツイン部屋にベッドを一つ増やして3人で寝れるようにしてもらっていたのだが1人増えてしまったので、空いていたツイン部屋をもう一部屋借りたのだった。

「サクラ1人は心配だから…ネルはサクラと一緒の部屋で休んでくれないか?」
「はっ?!そ、そんなこと出来るわけないでしょう?!私がお嬢様と…同室だなんてっ!」
「…別に俺が一緒でもいいがそれでもお前はいいのか?」

ネルの手がワナワナと震える。
少年は怯えたように俺の後ろに隠れてネルの様子を見ている。

「…分かりましたよ…さぁ、サクラさん…行きましょう」

諦めた様にサクラを連れて部屋を出て行く。



「さてと、お前に聞きたいことが山ほどあるんだが・・・どうしてこの町に現れていたんだ?しかも、魔法使いの前だけに」
「……」
「どんな事情で俺の使役になった?」

少年は沈黙を守る。
話す気は無さそうだ。

「おい…別にお前を責めている訳じゃない。ただ…理由を知りたいだけなんだ…ご主人になるなら必要だろ?」

少年の肩にポンと手を乗せる。
少年は俺の顔をじっと見つめて、ゆっくりと話し始めた。















「へへ~ん!こっちこっち!」
「こら!待て!」

杖を持って街中をバタバタと走る銀色の髪の少年。
その少年を追いかける青年も同じ銀色の髪をしていた。

「捕まえた!」
「う~…ちくしょう…」

がっくりと肩を落とす少年。

「何で杖をいつも持って行くんだ…レオン」
「俺だって、兄さんみたいに魔法を使いたいんだよ」
「お前はまだ幼い…もう少ししたら教えるよ」

その返答はもう聞き飽きたかのようにあからさまに不機嫌な顔を向ける。

「不機嫌な顔をしても無駄だ」

レオンの額に拳をコツンと当てて青年は笑う。
青年の笑顔を見て、レオンは顔を下に向ける。

「ロー兄さん…次はいつ旅に出るの?」
「ん~…そうだな…2、3日かな…近くに来たから少し寄っただけだからな」
「そう…なんだ」

レオンはがっくりと肩を落とす。

「まぁ、またすぐ戻るさ…」
「ロー!ここにいたの?」
「ルディ…どうかしたのか?」

ルディと呼ばれた金髪のポニーテールの少女がローに近づく。

「あ…レオンと話…してたのね…でもちょっといい?ミルヴォが呼んでる…」
「あぁ…ごめんなレオン、家で待っててくれるか?」
「…うん」

ルディの少し焦った顔と『ミルヴォ』の名前でレオンは何も言えなかった。


ローが帰ってきた時は、普通じゃなかった。
真夜中に家に来て、ローもルディも血だらけ…ミルヴォを担いで急いで入ってきた。

「に、兄ちゃん?!」
「レオン…ルディとミルヴォを頼む…」
「兄ちゃんは?」
「ちょっと…結界を張ってくる」
「え?兄ちゃん?!」
「レオン!申し訳ないけど手伝って!」

ローを追いかけようとしたがルディに呼び止められ、ミルヴォを2階の寝室へと運んだ。

「な、何があったの?」
「今は言えない…とりあえず止血しないと…タオルはある?」
「う、うん…」

ルディの支持でミルヴォの治療にあたる。

僧侶のミルヴォが負傷するとこんなに大変なのか。

家に置いてある薬草などで何とかミルヴォの様態は安定した。
レオンとルディは安心してルディと1階に降りる。

「兄ちゃん…大丈夫かな」
「…ローなら大丈夫よ…町全体に結界を張りに行っただけよ」
「なんで結界を張らないといけないの?…何かから逃げてるの?ねぇ…ルディ…」
「…何もないわ…ちょっと手強い魔物に襲われただけよ…」

レオンはこれ以上ルディに聞けなかった。
ルディの顔が真っ青だったのだ。











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