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第1章 憂鬱な男
脇役の人生
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「俺の送ってきた人生は映画や小説に出てくる脇役みたいな人生だよ。何もありはしない……」
「へー、そうなの?」
「……燃えるような恋も、ドキドキするような事件も……」
ちょっと聞くと含蓄があるのか、無いのか分からない妙な発言をしたのは#田上勇太_たがみゆうた_#である。
ここは、少し騒がしいが雰囲気と料理の値段で若者に絶大な人気を誇る洋風居酒屋だ。
田上は今宵、コンパの為にこの居酒屋に来ていた。
「……ふ~ん、田上君は何かすごい恋愛とかした経験は無いの?」
今日のコンパに出席をしている女の子の一人が田上に質問をした。
すごい恋愛とはどんな恋愛なのか聞いてみたいものだが……田上は真面目な性格なのだろう、女の子の大雑把な質問に対してにこやかに答えた。
「実はそれが全く無いんだよ」
すると田上の横に座る人物がしゃしゃり出てくる。
「田上―!!人生をもっと楽しもうぜ!!彼女とか作ってドンドン遊ぼうよ!!」
大声を出したのは田上の高校からの親友で#室町友也_むろまちともや_#だ。
真面目な性格の田上が性懲りも無く面白味の無い話をしだしたので会話に割り込んで来たのだろう。
女性に奥手で免疫のない田上を心の底から心配している室町は、嫌がる田上を無理やりこのコンパに連れて来たのだ。
「そんな恥ずかしいことを言ってるから22年間も彼女がいないんだよ。お前は!!」
室町は酔っぱらっているのか、はたまた田上を酒の肴にでもしたいのか大声で田上の彼女いない歴22年を暴露した。
その言葉に驚いたのはコンパに出席している女性陣3人である。
「えーっ!!」
もし田上の風貌が神様の悪戯としか思えないような残念な容姿であれば、彼女達もこうまで驚きはしなかっただろう。
しかし彼の風貌は決して絶世のハンサムと言うわけでは無いが、どちらかと言えば整った顔立ちで生まれてこのかた彼女が一度も出来たことが無いと言うのはちょっと信じられない話であった……
もしや肉体か精神に著しい欠陥でもあるのでは?と彼女達が思い、ビックリするのも頷ける話だろう……
「田上さんは彼女が欲しいなぁとか思ったりしないんですかぁ?」
コンパに出席している女の子の一人が田上に聞いた。
よく考えると22歳の健康な男性を捕まえてするにはなんとも失礼な質問ではあるが……田上は真面目にその問いにも答える。
「そりゃ、もちろん欲しいよ。欲しいに決まっている……けど、なかなかなってくれる人がいないんだ」
謙遜なのか真剣なのか分からない口調でしどろもどろに田上はそう言う。
「嘘だ!嘘だ!こいつ、ものすごい面食いで、理想が高いんだぜ!!」
またも室町が横から口を出す。
「えっ?そうなの?」
女の子の一人が興味津々に室町に聞いた。
「それでなかなかおめがねに適う子がいなくて彼女を作らないんだ。嫌味な奴なんだよ」
本気なのか冗談なのか分からない口調で室町は言う。
「お、おいっ、室町……」
「それが証拠に大学の同じサークルで石原翔子っていう可愛い子がいて田上にゾッコンなんだけど、こいつ全然相手にしないんだぜ!!」
果たして田上を陥れて楽しいのか、それとも何も考えていないのか室町は冗談混じりに女の子に話す。
こんなコンパの席でそんなことを言われて照れたのか、田上は慌てて弁解をする。
「別に石原のことをここで出すことはないだろう。別に俺は石原のことをどうとも思って無いよ」
「……」
室町は田上のこの発言には何故かブスッとした表情をした。しかし#僻_ひが_#んでいる訳では無さそうだ。
「石原のことを思うと、俺の事は早く諦めて他にいい人を見付けた方がいいのにと思うくらいだ」
訳の分からない弁解である。ちょっと聞いた所では、かなり男として思い上がった発言にも聞こえる。
しかし田上には決してそんなつもりは無かった。田上は、本当に石原という女性に対して申し訳無いと思っているのである。
こんな言い方で田上の本心がコンパに来ている3人の女性に伝わったかどうか疑問ではある。
いつもこのような感じで田上は何かにつけて不器用であった。
そこに室町が追い討ちをかけるかのように付け加えた。
「田上は格好良くてちょっと成績も良いからといっていい気になっている!!」
これでは田上をけなしているのか褒めているのか分からない。室町は室町でかなり酔っ払っているのだろう。
その夜のコンパは今後どうすれば田上に彼女が出来るのか?と言う話題になり、田上からしてみれば大きなお世話だ!と言う内容でみんなは盛り上がっていた。
室町にあれだけのブーイングを受けたにも関わらず、田上もちゃっかりと女の子とメアドの交換をしてコンパは終了した。
今日のコンパでボロボロに言われた田上は帰りの電車の中で物思いに#耽_ふけ_#る。
ああ、俺も本当は人並みに彼女が欲しいさっ!デートというやつだってしてみたい。
田上はここで一つため息をついた。
「だけど好きというのはどういうことかが分からない……」
田上も今までの長い人生では一時的にとはいえ、女の子に好意らしいものをもった事はある。
しかし、どういう訳か好きと思える程は発展しないのだ。
しかし田上の困ったところはそれでも人を好きになりたいと思ってしまうことだろう。そしてそのジレンマに陥ってしまうのだ。
そう、田上は心の底から女性を好きになるという行為に多大な憧れを持っていた。それは幻想と言える程に……田上は人を好きになる気持ちに期待していた。
出来ることなら自分も映画やドラマの主人公のような大恋愛がしたいと思っているのである。
大学生の田上は親元から離れて大学の近くで一人暮らしをしていた。
自分のアパートに戻ってきた田上は軽くシャワーだけ浴びるとさっさと寝る準備をする。
そして案外変なところで真面目な田上は寝る前に、今日のコンパで携帯のメアドを交換した女性にメールを送ってからベッドに入った。
「あ~、俺も本気の恋がしたい。神様、こんな俺でもそういう相手が現れるでしょうか?」
ベッドの中で田上は無意味な呟きをもらすと深い眠りについた。
そして出会ったのである。
夢の中で、自分を悪魔と名乗るソレに……
「へー、そうなの?」
「……燃えるような恋も、ドキドキするような事件も……」
ちょっと聞くと含蓄があるのか、無いのか分からない妙な発言をしたのは#田上勇太_たがみゆうた_#である。
ここは、少し騒がしいが雰囲気と料理の値段で若者に絶大な人気を誇る洋風居酒屋だ。
田上は今宵、コンパの為にこの居酒屋に来ていた。
「……ふ~ん、田上君は何かすごい恋愛とかした経験は無いの?」
今日のコンパに出席をしている女の子の一人が田上に質問をした。
すごい恋愛とはどんな恋愛なのか聞いてみたいものだが……田上は真面目な性格なのだろう、女の子の大雑把な質問に対してにこやかに答えた。
「実はそれが全く無いんだよ」
すると田上の横に座る人物がしゃしゃり出てくる。
「田上―!!人生をもっと楽しもうぜ!!彼女とか作ってドンドン遊ぼうよ!!」
大声を出したのは田上の高校からの親友で#室町友也_むろまちともや_#だ。
真面目な性格の田上が性懲りも無く面白味の無い話をしだしたので会話に割り込んで来たのだろう。
女性に奥手で免疫のない田上を心の底から心配している室町は、嫌がる田上を無理やりこのコンパに連れて来たのだ。
「そんな恥ずかしいことを言ってるから22年間も彼女がいないんだよ。お前は!!」
室町は酔っぱらっているのか、はたまた田上を酒の肴にでもしたいのか大声で田上の彼女いない歴22年を暴露した。
その言葉に驚いたのはコンパに出席している女性陣3人である。
「えーっ!!」
もし田上の風貌が神様の悪戯としか思えないような残念な容姿であれば、彼女達もこうまで驚きはしなかっただろう。
しかし彼の風貌は決して絶世のハンサムと言うわけでは無いが、どちらかと言えば整った顔立ちで生まれてこのかた彼女が一度も出来たことが無いと言うのはちょっと信じられない話であった……
もしや肉体か精神に著しい欠陥でもあるのでは?と彼女達が思い、ビックリするのも頷ける話だろう……
「田上さんは彼女が欲しいなぁとか思ったりしないんですかぁ?」
コンパに出席している女の子の一人が田上に聞いた。
よく考えると22歳の健康な男性を捕まえてするにはなんとも失礼な質問ではあるが……田上は真面目にその問いにも答える。
「そりゃ、もちろん欲しいよ。欲しいに決まっている……けど、なかなかなってくれる人がいないんだ」
謙遜なのか真剣なのか分からない口調でしどろもどろに田上はそう言う。
「嘘だ!嘘だ!こいつ、ものすごい面食いで、理想が高いんだぜ!!」
またも室町が横から口を出す。
「えっ?そうなの?」
女の子の一人が興味津々に室町に聞いた。
「それでなかなかおめがねに適う子がいなくて彼女を作らないんだ。嫌味な奴なんだよ」
本気なのか冗談なのか分からない口調で室町は言う。
「お、おいっ、室町……」
「それが証拠に大学の同じサークルで石原翔子っていう可愛い子がいて田上にゾッコンなんだけど、こいつ全然相手にしないんだぜ!!」
果たして田上を陥れて楽しいのか、それとも何も考えていないのか室町は冗談混じりに女の子に話す。
こんなコンパの席でそんなことを言われて照れたのか、田上は慌てて弁解をする。
「別に石原のことをここで出すことはないだろう。別に俺は石原のことをどうとも思って無いよ」
「……」
室町は田上のこの発言には何故かブスッとした表情をした。しかし#僻_ひが_#んでいる訳では無さそうだ。
「石原のことを思うと、俺の事は早く諦めて他にいい人を見付けた方がいいのにと思うくらいだ」
訳の分からない弁解である。ちょっと聞いた所では、かなり男として思い上がった発言にも聞こえる。
しかし田上には決してそんなつもりは無かった。田上は、本当に石原という女性に対して申し訳無いと思っているのである。
こんな言い方で田上の本心がコンパに来ている3人の女性に伝わったかどうか疑問ではある。
いつもこのような感じで田上は何かにつけて不器用であった。
そこに室町が追い討ちをかけるかのように付け加えた。
「田上は格好良くてちょっと成績も良いからといっていい気になっている!!」
これでは田上をけなしているのか褒めているのか分からない。室町は室町でかなり酔っ払っているのだろう。
その夜のコンパは今後どうすれば田上に彼女が出来るのか?と言う話題になり、田上からしてみれば大きなお世話だ!と言う内容でみんなは盛り上がっていた。
室町にあれだけのブーイングを受けたにも関わらず、田上もちゃっかりと女の子とメアドの交換をしてコンパは終了した。
今日のコンパでボロボロに言われた田上は帰りの電車の中で物思いに#耽_ふけ_#る。
ああ、俺も本当は人並みに彼女が欲しいさっ!デートというやつだってしてみたい。
田上はここで一つため息をついた。
「だけど好きというのはどういうことかが分からない……」
田上も今までの長い人生では一時的にとはいえ、女の子に好意らしいものをもった事はある。
しかし、どういう訳か好きと思える程は発展しないのだ。
しかし田上の困ったところはそれでも人を好きになりたいと思ってしまうことだろう。そしてそのジレンマに陥ってしまうのだ。
そう、田上は心の底から女性を好きになるという行為に多大な憧れを持っていた。それは幻想と言える程に……田上は人を好きになる気持ちに期待していた。
出来ることなら自分も映画やドラマの主人公のような大恋愛がしたいと思っているのである。
大学生の田上は親元から離れて大学の近くで一人暮らしをしていた。
自分のアパートに戻ってきた田上は軽くシャワーだけ浴びるとさっさと寝る準備をする。
そして案外変なところで真面目な田上は寝る前に、今日のコンパで携帯のメアドを交換した女性にメールを送ってからベッドに入った。
「あ~、俺も本気の恋がしたい。神様、こんな俺でもそういう相手が現れるでしょうか?」
ベッドの中で田上は無意味な呟きをもらすと深い眠りについた。
そして出会ったのである。
夢の中で、自分を悪魔と名乗るソレに……
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