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第3章 親友の苦悩
私はあなたの味方です
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室町は呆然としていた。
「あなたは石原翔子さんが好きですね」
そう言ったのは悪魔だった。
「そして石原翔子が田上勇太の事を好きなのも知っている。だから、あなたは今日のコンパの席での田上君の発言を石原翔子に伝えた。違いますか?」
室町は焦った。悪魔なんぞに人の色恋沙汰を追及されようとは……
それに言わせてもらえば、室町が石原翔子の事を好きなのは確かだが、それが狙いで田上の発言を石原に伝えるような、室町はそんな卑怯な男では無かった。
室町が何か言うより早く悪魔は続けた。
「いや待って下さい。別に私はあなたを非難しようと思って、ここに来たんじゃないんです。言うなれば、私はあなたの味方です」
「味方?」
「あなたは苦しんでいる。親友と好きな相手との板ばさみに、だから優しい悪魔があなたの願いをかなえてあげようと言うのです。くっくっくっ」
悪魔は薄気味悪く楽しそうに笑う。
「悪魔が俺の願いをかなえる?」
「そうです。嬉しく無いですか?」
室町は唸った。少し考え込んでから試しに聞いてみた。
「つまりはどうしてくれるんだ?」
室町は知らないことだが、悪魔はいつもはもったいぶった喋り方で相手を翻弄し、相手の反応を見て楽しむのだが、今はその余裕すら無いように見えた。
「惚れ薬ですよ。惚れ薬」
「ホレグスリ?」
「そう、飲むと相手の事を好きになってしまうという惚れ薬。それをあなたに差し上げますから、石原翔子に使ってしまいなさい」
悪魔の言葉を聞いた室町は息をのんで言った。
「なっ!?馬鹿な!!俺に親友の彼女を横取りしろと言うのか!?」
「まだ親友の彼女ではありませんよ」
悪魔は言葉巧みに続ける。
「これは人助けです。石原翔子が可哀そうだと思いませんか?いくら好きでも、あの田上という男性は感情が無さすぎます」
「いや、田上はいい奴だ。問題は無い……」
「いくらいい人でも彼には人を好きになるという感情が分からない。このままだと彼女が不幸になってしまうだけです」
「いや、しかし……」
悪魔は室町の言葉にかぶせるように言った。
「なにを迷っているんです?私は知っているんですよ。あなたが初めて石原翔子と会った時にはもう、石原翔子は田上勇太のことを好きだった」
「……」
「あなたはそれを知っていたにもかかわらず、どんどん石原翔子を好きになった。好きになる自分を止める事が出来なかった。そして苦しんだ」
室町の顔が一瞬だが苦しそうに歪んだ。
悪魔は普段の調子を取り戻したのか楽しそうに続ける。
「もうやめましょうよ。自分を偽るのは……あなたはよく頑張りました……もしここであなたが石原翔子に惚れ薬を使ったとしても誰もあなたを責めません」
いつもは自由奔放に振舞い快活だが、実際はナイーブで友人思い。それが室町の人柄だった。
室町は今までのことを思い出し苦悩した。本当につらい2年間であった。
悪魔の言うように室町が翔子に初めて会った時には、もう翔子は田上のことが好きだった。室町にとってこれはつらいことだった。
せめて同じスタート地点に立ち、競いあった結果、翔子が田上を選んだのであれば室町もこんなに苦しくはなかっただろう。
「あなたは石原翔子さんが好きですね」
そう言ったのは悪魔だった。
「そして石原翔子が田上勇太の事を好きなのも知っている。だから、あなたは今日のコンパの席での田上君の発言を石原翔子に伝えた。違いますか?」
室町は焦った。悪魔なんぞに人の色恋沙汰を追及されようとは……
それに言わせてもらえば、室町が石原翔子の事を好きなのは確かだが、それが狙いで田上の発言を石原に伝えるような、室町はそんな卑怯な男では無かった。
室町が何か言うより早く悪魔は続けた。
「いや待って下さい。別に私はあなたを非難しようと思って、ここに来たんじゃないんです。言うなれば、私はあなたの味方です」
「味方?」
「あなたは苦しんでいる。親友と好きな相手との板ばさみに、だから優しい悪魔があなたの願いをかなえてあげようと言うのです。くっくっくっ」
悪魔は薄気味悪く楽しそうに笑う。
「悪魔が俺の願いをかなえる?」
「そうです。嬉しく無いですか?」
室町は唸った。少し考え込んでから試しに聞いてみた。
「つまりはどうしてくれるんだ?」
室町は知らないことだが、悪魔はいつもはもったいぶった喋り方で相手を翻弄し、相手の反応を見て楽しむのだが、今はその余裕すら無いように見えた。
「惚れ薬ですよ。惚れ薬」
「ホレグスリ?」
「そう、飲むと相手の事を好きになってしまうという惚れ薬。それをあなたに差し上げますから、石原翔子に使ってしまいなさい」
悪魔の言葉を聞いた室町は息をのんで言った。
「なっ!?馬鹿な!!俺に親友の彼女を横取りしろと言うのか!?」
「まだ親友の彼女ではありませんよ」
悪魔は言葉巧みに続ける。
「これは人助けです。石原翔子が可哀そうだと思いませんか?いくら好きでも、あの田上という男性は感情が無さすぎます」
「いや、田上はいい奴だ。問題は無い……」
「いくらいい人でも彼には人を好きになるという感情が分からない。このままだと彼女が不幸になってしまうだけです」
「いや、しかし……」
悪魔は室町の言葉にかぶせるように言った。
「なにを迷っているんです?私は知っているんですよ。あなたが初めて石原翔子と会った時にはもう、石原翔子は田上勇太のことを好きだった」
「……」
「あなたはそれを知っていたにもかかわらず、どんどん石原翔子を好きになった。好きになる自分を止める事が出来なかった。そして苦しんだ」
室町の顔が一瞬だが苦しそうに歪んだ。
悪魔は普段の調子を取り戻したのか楽しそうに続ける。
「もうやめましょうよ。自分を偽るのは……あなたはよく頑張りました……もしここであなたが石原翔子に惚れ薬を使ったとしても誰もあなたを責めません」
いつもは自由奔放に振舞い快活だが、実際はナイーブで友人思い。それが室町の人柄だった。
室町は今までのことを思い出し苦悩した。本当につらい2年間であった。
悪魔の言うように室町が翔子に初めて会った時には、もう翔子は田上のことが好きだった。室町にとってこれはつらいことだった。
せめて同じスタート地点に立ち、競いあった結果、翔子が田上を選んだのであれば室町もこんなに苦しくはなかっただろう。
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