心を惑わす紅い華、気持ちを静める蒼い華

niyuta

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第3章 親友の苦悩

残った華は?

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3人が夢の中で悪魔に出会った翌々日の朝、室町はいてもたってもいられなかった。

今日の講義は午後からしか無いというのに朝一番には、テニスサークルのある棟の裏庭に向かっていた。

室町には悪魔の言った「明後日」という言葉と「もしかしたら紅い華は無くなっているかもしれない」という言葉が気になっていた。

いったいどういうことなんだろう?室町は考えずにはいられない。

もちろん室町としても悪魔の言う通りに翔子に惚れ薬を使ってやろうと思っている訳では無い。

やはり薬で翔子の気持ちをどうこうしようという卑怯なことは室町には出来なかった……

ではなぜその場所に向かうのか? 

逆に言えば、悪魔の「無くなっているかも……」の言葉が室町を裏庭に向かわせていたのだ。

室町の翔子に対する気持ちは本物である。少しは「薬を使ってでも翔子と……」と思ったものだ。紅い華を……翔子を諦めきれない気持ちも強い。だから裏庭に行く。

そして裏庭にもう紅い華が残っていない事を室町は願っていた。

悪魔も言っていた。「紅い華が無ければ縁が無かったと思って諦めて下さい」と。

紅い華が裏庭から無くなっていれば諦めよう。田上より早く翔子に出会わなかったのも、田上と俺が親友なのも、それは翔子とは縁が無かったからだ……室町は紅い華が無いことを強く願い、裏庭に着いた。

そして残った一本の華を見て室町は言った。

「やはり無い……」

室町は安堵の吐息を漏らし続けて言う……

「紅い華は無くなっている」

室町は何故か清々しい気持ちで最後に残った一本の華、蒼い華を見た。

感じるところがあったのか室町は少し考えた後、独り言のように言った。

「悪魔の言ったとおりだ。紅い華は無くなっている。俺と翔子はもとから縁が無かったんだ。昨日の朝、ここに来た時には確かに紅い華が1本と蒼い華が2本あったというのに……今は蒼い華が一本しかない……」
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