心を惑わす紅い華、気持ちを静める蒼い華

niyuta

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第4章 もつれた糸

勝負の時

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その頃、自宅に戻っていた室町はボーっと、大学から持って帰った蒼い華を眺めていた。室町は悪魔が夢に出てきた日の朝、実は例の花壇に行っていた。

そして紅い華と蒼い華が、1本と2本あるのを確認していたのだ。ではなぜ、その時紅い華、もしくは蒼い華を持ち帰らなかったのか?

悪魔の言った「明後日」という言葉を室町は素直に信じてしまったのだ。

すでに悪魔の現れた翌朝には華は咲いていたが、悪魔は「明後日」を強調していた。だから華が咲いてから1日たたないと、悪魔の言ったような効果はあらわれないのかもしれない。不用意に一日目で抜いてしまっては効果があらわれないのだろうと。

そして二日目にその場所に行ってみると既に蒼い華しか残ってはいなかった。

室町は最初から紅い華も蒼い華も持ち帰るつもりはなかった。ただ、悪魔の言った「縁が無かったと思って諦めて下さい」というのだけが気になり、二日目の朝早くに裏庭に行ってみたのだ。

やはり紅い華は無かった……

そのまま帰ろうとした室町だったが、最後に残った蒼い華が室町の気にかかった。

どこかへ行ってしまった紅い華が翔子とダブり、同じく消えてしまった蒼い華が田上とダブった。そして寂しく取り残された蒼い華が自分とダブったのだ。

取り残された蒼い華が可哀そうになり、室町はその華を家に持ち帰った。



一方こちらは、田上と翔子のいる居酒屋である。

翔子は既に準備万端であった。席に戻ると田上は「ぬるくなっただろう?」と新しく翔子に飲み物を注文して、自分も飲みかけのビールを脇に置き、新しいビールを注文した。

店員が飲みかけのビールを下げようとすると「まだ飲むから!」と言って飲みかけのビールを下げさせなかった。

頭が爆発しそうな程に緊張していた翔子は田上の不自然な態度には気付かず、とりあえず楽しい会話を心がけようとした。

新しいカクテルがくると翔子は切羽詰まった特攻隊よろしく次の行動にでた。

田上の目を盗んで、カバンの中の蒼い華の蜜を指ですくい、新しく来た自分のカクテルに溶かして入れたのだ。

玉砕をしたらすぐに飲めるようにである。

翔子の気分はもう負けることが分かっている勝負に挑むギャンブラーのようであった。

会話に微妙な間が出来た。翔子が田上を見つめる。

これはくる!?と思い、田上はとうとう飲みかけのビールのグラスに手をかけた。これを飲めば俺も人並みの恋が出来る。

悪魔の言ったことを忘れずに、しっかりと翔子の方を見た。そして田上は一息に紅い華の蜜が入ったビールを飲んだ!!
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