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第5章 親友
つらい質問
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朝、大学へ向かいながら翔子が室町のことを考えていると、なんと室町から翔子の携帯に電話がかかってきた。
電話の内容は、室町が翔子に「話がある。これから会わないか?」と言ってきたのである。
翔子はドキドキした。
そしてここは大学からそう離れていないファーストフードのお店である。二人は向かい合って座っている。
翔子は室町の表情を見た瞬間、話は田上先輩のことだろうと予感した。
一昨日の今日である。考えてみれば当たり前のことだろう。少しでも舞い上がった自分が馬鹿みたいに思えてきた。
しかし、翔子を呼び出した室町はなんと話したものか悩んでいた。
室町は無粋なことが嫌いなタイプである。田上が傷ついた以上、翔子だって傷ついているはずである。
どう切り出したものか考えていると、もしかして、田上先輩のことですかと翔子の方から核心に迫ってきた。
「いや、まあ……そうかな?」
室町が曖昧に返事をすると、翔子は言いにくそうに言った。
「はい。田上先輩には昨日告白をされました。しかし断りました」
「……」
「……」
「……」
「……」
それで終わりかい!!と室町は突っ込みたかったが、この時、室町はあることに気付いた。
……昨日までと今日では、翔子の自分を見る目が違う!
最初は田上のことを追及されるのが嫌でモジモジしているのかと思ったが、翔子の自分を見る目がいやに熱っぽい。
どういうことだ!?訳の分からないことばかりだ!
しかし室町は翔子の変化には触れずに言う。
「えーと、石原はてっきり田上のことを好きだと思ったんだが……俺の勘違いだったのかな?」
勘違いなものか!何かがおかしい!?と室町は心の中で叫ぶ。
「……」
翔子は迷った。翔子は自分が他人から見て分かりやすい性格だということを知っていた。
室町にはどんな嘘をついてもばれてしまうだろう。
しかし信じてくれる訳が無い。悪魔のことをここで話したら頭がおかしいと思われてしまう。室町先輩にそう思われたら……
仕方なく翔子は悪魔のことを伏せて話をすることにした。
「……以前は確かに田上先輩の事が好きでした。しかしそれは以前の話です。今は少しずつですが、違う人を好きになって……」
翔子はここで言葉をとめた。「今まで私は田上先輩のことを好きだったのに、いきなり今は室町先輩が好きなんて言ったら、室町先輩は私が軽い女だと思ってしまうかしら」と内心、不安になったからだ。
室町は軽い頭痛の人がよくやる、自分のこめかみを片手の人差し指と親指でマッサージをする仕草をしたままちょっと考え込んだ。
「ではもう石原は田上を好きではないんだね?」
「……」
翔子は下を向いて答えない。
「それとも、まだ田上が好きなの?」
室町自身にもつらい質問である。
「……いいえ」
「では、もう石原は田上が好きでは無いんだね?」
翔子はつらそうに答える。
「……はい」
「そして石原には新しく好きな人が出来るかもしれないと?」
「……はい」
室町は、なぜ自分がこの立場で今この場所にいるのか、そして好きな人に対して、こんな質問をしなければいけないのか、疑問に思いつつも聞く。
「……では、なんで泣いているの?」
「わ……たし、泣いていますか……?」
翔子は大粒の涙をこぼし、ボロボロと泣いていた。
次第に翔子は涙を止めることが出来ず、それどころか声を出して子供のように泣き出してしまったではないか!?
室町は田上のようにオロオロしたりはせず、頭の中でまず冷静に情報を整理していた。
もちろん、泣いている翔子へのフォローも忘れない。
翔子の態度から、室町は思う。
自惚れではなく、まず間違い無く翔子は自分の事を好きになりつつあるんだろうと。
翔子のことを前から好きだった室町には願っても無いことだが、昨日の田上の様子が思い出されてここでこれ以上話をする気にはなれなかった……
電話の内容は、室町が翔子に「話がある。これから会わないか?」と言ってきたのである。
翔子はドキドキした。
そしてここは大学からそう離れていないファーストフードのお店である。二人は向かい合って座っている。
翔子は室町の表情を見た瞬間、話は田上先輩のことだろうと予感した。
一昨日の今日である。考えてみれば当たり前のことだろう。少しでも舞い上がった自分が馬鹿みたいに思えてきた。
しかし、翔子を呼び出した室町はなんと話したものか悩んでいた。
室町は無粋なことが嫌いなタイプである。田上が傷ついた以上、翔子だって傷ついているはずである。
どう切り出したものか考えていると、もしかして、田上先輩のことですかと翔子の方から核心に迫ってきた。
「いや、まあ……そうかな?」
室町が曖昧に返事をすると、翔子は言いにくそうに言った。
「はい。田上先輩には昨日告白をされました。しかし断りました」
「……」
「……」
「……」
「……」
それで終わりかい!!と室町は突っ込みたかったが、この時、室町はあることに気付いた。
……昨日までと今日では、翔子の自分を見る目が違う!
最初は田上のことを追及されるのが嫌でモジモジしているのかと思ったが、翔子の自分を見る目がいやに熱っぽい。
どういうことだ!?訳の分からないことばかりだ!
しかし室町は翔子の変化には触れずに言う。
「えーと、石原はてっきり田上のことを好きだと思ったんだが……俺の勘違いだったのかな?」
勘違いなものか!何かがおかしい!?と室町は心の中で叫ぶ。
「……」
翔子は迷った。翔子は自分が他人から見て分かりやすい性格だということを知っていた。
室町にはどんな嘘をついてもばれてしまうだろう。
しかし信じてくれる訳が無い。悪魔のことをここで話したら頭がおかしいと思われてしまう。室町先輩にそう思われたら……
仕方なく翔子は悪魔のことを伏せて話をすることにした。
「……以前は確かに田上先輩の事が好きでした。しかしそれは以前の話です。今は少しずつですが、違う人を好きになって……」
翔子はここで言葉をとめた。「今まで私は田上先輩のことを好きだったのに、いきなり今は室町先輩が好きなんて言ったら、室町先輩は私が軽い女だと思ってしまうかしら」と内心、不安になったからだ。
室町は軽い頭痛の人がよくやる、自分のこめかみを片手の人差し指と親指でマッサージをする仕草をしたままちょっと考え込んだ。
「ではもう石原は田上を好きではないんだね?」
「……」
翔子は下を向いて答えない。
「それとも、まだ田上が好きなの?」
室町自身にもつらい質問である。
「……いいえ」
「では、もう石原は田上が好きでは無いんだね?」
翔子はつらそうに答える。
「……はい」
「そして石原には新しく好きな人が出来るかもしれないと?」
「……はい」
室町は、なぜ自分がこの立場で今この場所にいるのか、そして好きな人に対して、こんな質問をしなければいけないのか、疑問に思いつつも聞く。
「……では、なんで泣いているの?」
「わ……たし、泣いていますか……?」
翔子は大粒の涙をこぼし、ボロボロと泣いていた。
次第に翔子は涙を止めることが出来ず、それどころか声を出して子供のように泣き出してしまったではないか!?
室町は田上のようにオロオロしたりはせず、頭の中でまず冷静に情報を整理していた。
もちろん、泣いている翔子へのフォローも忘れない。
翔子の態度から、室町は思う。
自惚れではなく、まず間違い無く翔子は自分の事を好きになりつつあるんだろうと。
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