20 / 28
デート
しおりを挟む
「ん……ふわぁ…」
「くくっ、まだ眠いか?」
暖かくて心地良いベッドの中で、僕はまだ半分夢の中に居た。大きなあくびをすると誰かの笑い声が聞こえる。何とか瞼を開けるとアルが優しく微笑んでいた。
「ある、おはよぉ」
「なんだか今日は眠そうだな」
「うん?ん……んー」
旅の疲れが出たのか、いつもは朝が来たらスッキリと目を覚ますのに、今日はまだ眠い。アルは僕より先に起きていたようでベッドに腰掛けていた。
そんな僕を見て笑っているアルを掴まえて引きずり込む。暖かくていい匂いがする……
「つかまえた…」
「まだ寝るのか?」
「だって眠いから…ふぁ……」
そんな会話をしているうちに、だんだん目が覚めてきた。窓の外を見るともうすっかり日は高くなっている。
「ほら、今日は昨日言っていた通りに行ってみるんだろ?」
「うん、よし!着替えるからちょっと待ってて」
寝るとき用のラフな格好から着替えて、下に降りる。受付にはヒルダさんが居た。
「おはよう!」
「ヒルダさん、おはようございます」
「朝食はもうできてるから食堂で早く食べてきな!」
「はい!ありがとうございます」
朝ごはんはパンと野菜のスープ、焼き魚だった。やっぱりこの街の料理には魚介類がよく使われているのかもしれない。今日行く予定の通りには飲食店が多くあるらしいから、他の海の幸を使った料理を見ることができそうだ。
アルと僕は朝ごはんを食べ終わって、ヒルダさんの宿を出た。
「もし時間が余ったらこの街のギルドに行ってもいいか?」
「うん、依頼受けるの?」
「ギルド長と知り合いだから、ただ顔を出すだけだ。まぁ、最終日の明後日にやることが無かったら依頼を受けるのもいいかもな」
「そっか、明日はどこに行くの?」
「出来れば海に行きたいと思ってる。ソラも近くで海見たいだろ?」
「海!家族で昔行ったことはあるらしいけど…その時は小さかったしあんまり覚えてないんだ」
「それなら海で決まりだな」
「ふふっ、楽しみ!」
アルはイーゼルの街のギルド長とも知り合いらしい。Sランク冒険者だからかな?
そして、明日は海に行くことが決まった。僕が住んでいた場所からは、海はそう簡単に行ける距離じゃ無かったから嬉しい。街からでも海は見えるんだけど、この街は見晴らしの良い高台のような場所にあるから、海の方へ下りてみるみたいだ。
そんな事を話しているうちに行く予定だった通りに出た。時間が昼近くということもあるだろうけど、人がたくさんいる。屋台みたいなものも出ていて、歩きながら食べている人もいる。
やっぱり、ここの通りを教えてくれたおじさんのお店がある場所の周りより観光客が多いようだ。
この世界の地理は全然分からないけど、ラスロとイーゼルは栄えているのかもしれない。そもそも国とかがどうなっているのかも知らないな。
ラスロだってまだ行けていない場所の方が多いし、多分大きめの街なんだと思う。並んでいる家も出口にあった門も立派なものだった。
「色々あるな。何が食べたい?」
「お店で食べるのもいいけど…屋台で売ってるものも気になるな…」
「屋台と店の両方で少しづつ食べるか?」
「いいね!そうしよう、何があるかな?」
テラスがあるお店もあって、お客さんが食べているのが見える。あれは…パスタかな?女の人がすごく美味しそうに食べている。屋台で売ってるのは、串焼きの肉、果物で作られた飲み物やデザートのような軽く食べられるものだ。
まずはお店に入って席に着く。僕とアルが頼んだのはさっき見たパスタ。アサリのカラフルバージョンみたいな貝がたくさん入っていて、味もアサリに似ていた。
「これ美味しいね!」
「ああ、まだ屋台でも食べられるか?」
「うん!大丈夫、僕甘いものが食べたいな」
お店で食べ終わった後に、僕は果物のシャーベットを買ってもらった。すっぱめのフレーバーで、凍った果肉も入っているのがとても美味しかった。氷魔法で作っているらしい。そこが異世界らしくてワクワクした。
アルはパスタだけじゃ足りなかったのか、屋台でお肉を買っていた。シャーベットと交換して食べさせてもらったお肉も出来たてで美味しかった。
異世界は食べ物がまずいとか、小説なんかではよくある話だけど、まだそう思ったことは無い。この世界は食べ物のレベルが高いのかもしれない。
素材が新鮮で美味しいって言うのもあるだろうしね。
ここの通りにあったのは飲食店の他に、冒険者用の防具や武器のお店や服とアクセサリーのお店だった。
「じゃあ、ギルド行く?」
「ああ、ギルドはあっちの方向だな」
道を進んで行くと、ラスロのギルドよりも一回り小さい似たような建物があった。中の作りもかなり似ていた。もう夕方なので冒険者の人達も、依頼達成の報告に帰って来ているようだった。
「こんにちは、依頼を受けますか?」
「いや、ギルド長に挨拶をしに来たんだ」
「ギルドマスターに…?カードを提示いただけますか?」
「ああ、これだな」
「はい。……っ!Sランク冒険者でしたか、申し訳ありませんでした。少々お待ちください。そちらの方は…?」
「俺の連れだ。彼も一緒に会わせて欲しい」
「かしこまりました」
ギルド嬢のお姉さんが色々確認してから、ギルド長を呼ぶために行ってしまったのでカウンターから離れて2人で待つ。その時、声が掛けられた。
「おい、あんたらどこから来たんだ?」
振り返ると、何故かニヤニヤとした3人の冒険者の人達がいた。
「くくっ、まだ眠いか?」
暖かくて心地良いベッドの中で、僕はまだ半分夢の中に居た。大きなあくびをすると誰かの笑い声が聞こえる。何とか瞼を開けるとアルが優しく微笑んでいた。
「ある、おはよぉ」
「なんだか今日は眠そうだな」
「うん?ん……んー」
旅の疲れが出たのか、いつもは朝が来たらスッキリと目を覚ますのに、今日はまだ眠い。アルは僕より先に起きていたようでベッドに腰掛けていた。
そんな僕を見て笑っているアルを掴まえて引きずり込む。暖かくていい匂いがする……
「つかまえた…」
「まだ寝るのか?」
「だって眠いから…ふぁ……」
そんな会話をしているうちに、だんだん目が覚めてきた。窓の外を見るともうすっかり日は高くなっている。
「ほら、今日は昨日言っていた通りに行ってみるんだろ?」
「うん、よし!着替えるからちょっと待ってて」
寝るとき用のラフな格好から着替えて、下に降りる。受付にはヒルダさんが居た。
「おはよう!」
「ヒルダさん、おはようございます」
「朝食はもうできてるから食堂で早く食べてきな!」
「はい!ありがとうございます」
朝ごはんはパンと野菜のスープ、焼き魚だった。やっぱりこの街の料理には魚介類がよく使われているのかもしれない。今日行く予定の通りには飲食店が多くあるらしいから、他の海の幸を使った料理を見ることができそうだ。
アルと僕は朝ごはんを食べ終わって、ヒルダさんの宿を出た。
「もし時間が余ったらこの街のギルドに行ってもいいか?」
「うん、依頼受けるの?」
「ギルド長と知り合いだから、ただ顔を出すだけだ。まぁ、最終日の明後日にやることが無かったら依頼を受けるのもいいかもな」
「そっか、明日はどこに行くの?」
「出来れば海に行きたいと思ってる。ソラも近くで海見たいだろ?」
「海!家族で昔行ったことはあるらしいけど…その時は小さかったしあんまり覚えてないんだ」
「それなら海で決まりだな」
「ふふっ、楽しみ!」
アルはイーゼルの街のギルド長とも知り合いらしい。Sランク冒険者だからかな?
そして、明日は海に行くことが決まった。僕が住んでいた場所からは、海はそう簡単に行ける距離じゃ無かったから嬉しい。街からでも海は見えるんだけど、この街は見晴らしの良い高台のような場所にあるから、海の方へ下りてみるみたいだ。
そんな事を話しているうちに行く予定だった通りに出た。時間が昼近くということもあるだろうけど、人がたくさんいる。屋台みたいなものも出ていて、歩きながら食べている人もいる。
やっぱり、ここの通りを教えてくれたおじさんのお店がある場所の周りより観光客が多いようだ。
この世界の地理は全然分からないけど、ラスロとイーゼルは栄えているのかもしれない。そもそも国とかがどうなっているのかも知らないな。
ラスロだってまだ行けていない場所の方が多いし、多分大きめの街なんだと思う。並んでいる家も出口にあった門も立派なものだった。
「色々あるな。何が食べたい?」
「お店で食べるのもいいけど…屋台で売ってるものも気になるな…」
「屋台と店の両方で少しづつ食べるか?」
「いいね!そうしよう、何があるかな?」
テラスがあるお店もあって、お客さんが食べているのが見える。あれは…パスタかな?女の人がすごく美味しそうに食べている。屋台で売ってるのは、串焼きの肉、果物で作られた飲み物やデザートのような軽く食べられるものだ。
まずはお店に入って席に着く。僕とアルが頼んだのはさっき見たパスタ。アサリのカラフルバージョンみたいな貝がたくさん入っていて、味もアサリに似ていた。
「これ美味しいね!」
「ああ、まだ屋台でも食べられるか?」
「うん!大丈夫、僕甘いものが食べたいな」
お店で食べ終わった後に、僕は果物のシャーベットを買ってもらった。すっぱめのフレーバーで、凍った果肉も入っているのがとても美味しかった。氷魔法で作っているらしい。そこが異世界らしくてワクワクした。
アルはパスタだけじゃ足りなかったのか、屋台でお肉を買っていた。シャーベットと交換して食べさせてもらったお肉も出来たてで美味しかった。
異世界は食べ物がまずいとか、小説なんかではよくある話だけど、まだそう思ったことは無い。この世界は食べ物のレベルが高いのかもしれない。
素材が新鮮で美味しいって言うのもあるだろうしね。
ここの通りにあったのは飲食店の他に、冒険者用の防具や武器のお店や服とアクセサリーのお店だった。
「じゃあ、ギルド行く?」
「ああ、ギルドはあっちの方向だな」
道を進んで行くと、ラスロのギルドよりも一回り小さい似たような建物があった。中の作りもかなり似ていた。もう夕方なので冒険者の人達も、依頼達成の報告に帰って来ているようだった。
「こんにちは、依頼を受けますか?」
「いや、ギルド長に挨拶をしに来たんだ」
「ギルドマスターに…?カードを提示いただけますか?」
「ああ、これだな」
「はい。……っ!Sランク冒険者でしたか、申し訳ありませんでした。少々お待ちください。そちらの方は…?」
「俺の連れだ。彼も一緒に会わせて欲しい」
「かしこまりました」
ギルド嬢のお姉さんが色々確認してから、ギルド長を呼ぶために行ってしまったのでカウンターから離れて2人で待つ。その時、声が掛けられた。
「おい、あんたらどこから来たんだ?」
振り返ると、何故かニヤニヤとした3人の冒険者の人達がいた。
37
あなたにおすすめの小説
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる