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第三章 出会い
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連絡通路を渡り終え、第一校舎の三階廊下を下校生徒を避けながら走っていると、窓の向こうに俺が渡った連絡通路ではない方の通路で2人の生徒が走っているのが見えた。
きっと、俺を追っている人たちだろう。
このままでは、この先の連絡通路を隔てる扉で鉢合わせをしてしまう。
それでも、俺は止まるわけには行かない。
背後は確認できていないが、同じように誰かが追ってきているはずだ。
俺は見えているそいつらの動向を伺っていたが、下駄箱でされたようにまた指をさされた。
向こうのやつらにも見つかってしまったらしい。
それでも俺は突き進む。
廊下の突き当りまでやってきた。
俺は壁スレスレで階段のコーナーを曲がり始めた直後、連絡通路から追ってきた奴らが開け放たれた扉から飛び出してくる。
相手の手が伸び、俺の手に触れた。しかし、俺は寸でのところで腕を振り払った。
相手の手は宙を霞め、俺は階段へと足をかける。
俺は一度も止まらず階段を駆け上がり、上がって直ぐの扉に手をかけた。
ちゃんと開いた。
「おねがいっ、助けてっ。」
俺は空き教室に飛び込みながら助けを求めた。
そこには、火神だけでなく市瀬も久我もいた。
俺は勢いのままに火神の座っているソファーに飛び込む。
「お前ら、行け。」
火神の短い命令が飛んだ。
2人が直ぐに動く。
「やばいっ、逃げろ!」
バタバタと駆け上がってくる足音が聞こえた後、直ぐに慌てた声が聞こえてきた。
「逃がすわけないのねーん。」
語尾に音符でも付きそうな陽気な声がしたと思えば、二つの駆け出した足音が遠ざかり始めた足音を追って遠ざかっていく。
「お前相当走ってきたんだな。ひっでぇ汗。」
全力疾走で何分も走り続けた挙句、階段も駆け上がり続けた俺はかなり息が上がり、あまり汗を掻く方ではないがまだ残暑がひどい今、首筋には汗が伝っている。
そしてそんな俺の汗を、火神は何故か自分の服の長袖で拭い始める。
「やめてよっ、汚いでしょっ。」
俺はびっくりして敬語も忘れて腕を引き剥がす。
「だって鬱陶しそうだったから。」
「ハンカチあるから、いいよ。」
俺は呼吸を上ずらせたまま、ハンカチで汗を拭う。
「今回は何があったんだよ?」
「知らないです。急に追っかけられて、逃げてきただけなんで。」
俺は敬語を忘れていたことを今思い出し敬語で喋りつつ、苦しさから咄嗟に飛び込んだソファーに深く身を預けた。
関わるなと言われたことはわかっているのだが、動く気力も残っていなかった。
一旦身を預けてしまえば寝不足も相まって疲労が一気に押し寄せ、瞼が重くなるのを感じた。
こんな所で寝てはいけないと分かっていても、隣に座っている火神の甘い匂いが、まるで睡眠薬のように俺の眠気を誘ってくる。
どうしてこの人からはこんなに甘く、安心する匂いが出ているのだろうか。
特に何も言わない火神の静かさと甘い安心感のある匂いに誘われるまま、俺は事切れるように眠りに落ちた。
きっと、俺を追っている人たちだろう。
このままでは、この先の連絡通路を隔てる扉で鉢合わせをしてしまう。
それでも、俺は止まるわけには行かない。
背後は確認できていないが、同じように誰かが追ってきているはずだ。
俺は見えているそいつらの動向を伺っていたが、下駄箱でされたようにまた指をさされた。
向こうのやつらにも見つかってしまったらしい。
それでも俺は突き進む。
廊下の突き当りまでやってきた。
俺は壁スレスレで階段のコーナーを曲がり始めた直後、連絡通路から追ってきた奴らが開け放たれた扉から飛び出してくる。
相手の手が伸び、俺の手に触れた。しかし、俺は寸でのところで腕を振り払った。
相手の手は宙を霞め、俺は階段へと足をかける。
俺は一度も止まらず階段を駆け上がり、上がって直ぐの扉に手をかけた。
ちゃんと開いた。
「おねがいっ、助けてっ。」
俺は空き教室に飛び込みながら助けを求めた。
そこには、火神だけでなく市瀬も久我もいた。
俺は勢いのままに火神の座っているソファーに飛び込む。
「お前ら、行け。」
火神の短い命令が飛んだ。
2人が直ぐに動く。
「やばいっ、逃げろ!」
バタバタと駆け上がってくる足音が聞こえた後、直ぐに慌てた声が聞こえてきた。
「逃がすわけないのねーん。」
語尾に音符でも付きそうな陽気な声がしたと思えば、二つの駆け出した足音が遠ざかり始めた足音を追って遠ざかっていく。
「お前相当走ってきたんだな。ひっでぇ汗。」
全力疾走で何分も走り続けた挙句、階段も駆け上がり続けた俺はかなり息が上がり、あまり汗を掻く方ではないがまだ残暑がひどい今、首筋には汗が伝っている。
そしてそんな俺の汗を、火神は何故か自分の服の長袖で拭い始める。
「やめてよっ、汚いでしょっ。」
俺はびっくりして敬語も忘れて腕を引き剥がす。
「だって鬱陶しそうだったから。」
「ハンカチあるから、いいよ。」
俺は呼吸を上ずらせたまま、ハンカチで汗を拭う。
「今回は何があったんだよ?」
「知らないです。急に追っかけられて、逃げてきただけなんで。」
俺は敬語を忘れていたことを今思い出し敬語で喋りつつ、苦しさから咄嗟に飛び込んだソファーに深く身を預けた。
関わるなと言われたことはわかっているのだが、動く気力も残っていなかった。
一旦身を預けてしまえば寝不足も相まって疲労が一気に押し寄せ、瞼が重くなるのを感じた。
こんな所で寝てはいけないと分かっていても、隣に座っている火神の甘い匂いが、まるで睡眠薬のように俺の眠気を誘ってくる。
どうしてこの人からはこんなに甘く、安心する匂いが出ているのだろうか。
特に何も言わない火神の静かさと甘い安心感のある匂いに誘われるまま、俺は事切れるように眠りに落ちた。
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