【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第四章 力の格差

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幸い車は走っておらず、俺は反対側の歩道に先ほどと同様に柵を飛び越えて一番近い曲がり角へ向かって走り出す。
相手も俺と同じように飛び越えて追ってきているが、先に行動し始めた俺のほうが早い。

角を曲がり、只管走る。
その間に、俺は京介に電話をかけた。
今回は電話を掛ける余裕がある。

『もし?どした?』

「京介っ、助けてっ。俺追われてるっ。」

『はっ?お前今どこ?相手は何人だ?』

「バイト終わりで、家の反対方面に逃げてる。住宅街しかないよ。相手も何人かわからない。いっぱい。」

『直ぐ向かうから。つないだままにできるか?』

「イヤホンだから、何とか。多分、3年だよ。」

『だろうな。お前走ってんのか?』

「歩道で挟み撃ちにされて、自転車捨ててきた。そんなに長くは走れない。」

『直ぐ行くから。がんばれ。』

俺は京介のその声を聞きながら、背後を確認するように振り返った。
相手も同様に走って追いかけてきている。

バイクでもなく自転車でもなく徒歩で俺を探していたのだろうか。
あまりにも効率が悪すぎる。
それとも、何か目的があるのか?
徒歩のほうが効率がいい理由でもあるのだろうか。

前を向き、何か京介に伝えるのにいい目印がないか周囲を目を配らせながら走るが、ただの住宅街であるこの辺に目印になるようなものはない。

その時、俺の横を車が走り抜けた。追い越した先でワンボックスカーが止まる。
あまりに変な所で止まるので嫌な予感がした。
そして、人が降りてくるのを見て俺は察してしまった。

「京介やばいっ、相手は車だっ。」

『はっ?お前何が何でも逃げろ!』

そう言われても、背後からの追っ手と目の前の車。
その間に脇道はない。
せめてもの思いで車を避けようと車道に飛び出して斜め前に向かって走る。
しかし、相手が直線で先回りするほうが早い。

「黒のワンボックス、3657っ。」

俺は特徴と車のナンバーを伝えるのが限界だった。
俺の逃走はむなしく捕まってしまう。

「離せっ。っざけんな!卑怯だろ!」

「うるせぇガキだな。口塞げ。」

そして俺は口に布を噛まされ、腕も縛られて車の中に押し込められる。
3年もこの時期になるとほとんどの奴らが車の免許を取得している。

車は親のものを拝借してくれば難しいことではないだろう。
アイツ等が歩きだったのも、後に合流して車に乗り込むためだったのだ。

全員が乗り込めないにしても、他に車を用意したなら気にすることでもない。
俺は車に押し込められたら暴れられないように足も縛られ身動きは取れなくなる。

この車がどこに向かっているのか、俺には皆目見当もつかない。
その時、俺は鼻と口を覆うように袋が当てられた。
逃れようにも頭を押し付けられ、俺はその袋内の空気を吸う羽目になる。

何が入っているのか分からないそれからは、独特な刺激臭がした。
逃れられないまま何度か呼吸を繰り返すと、俺の意識はまどろみ始め、いつしか意識を失った。
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