【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

文字の大きさ
120 / 261
第五章 落ち着くのは

120

しおりを挟む
「本当に可愛いなぁ。でも、別に応えてもらおうとは思ってねぇから、安心しろよ。柚希が男にトラウマがあることも、男に興味がねぇことも理解してっから。これを言ったのは俺のただの我が侭。前も言ったけど、襲ったりはしねぇから。絶対に手は出さない。神は信じてねぇけど、誓ってもいい。俺のこと、怖がんないでくれよな。」

「怖くは、ないけど・・・。でも、この状態、結構つらいんじゃ・・・?」

「そうだな。でも大切にしたい奴を襲おうと思うほどの衝動でもないから。自制ぐらいはできるよ。」

颯斗の言う好きがどれほどのもので、どんな感情を抱いているのか分からないが、襲わないと断言してくれているということは、女性に対して思うことと大差ないのではないかと推測する。

好きな女性をベッドで抱きしめていたら、それは男としてかなりしんどいものだろう。
もし仮にそうだとして、1週間近く毎日俺を抱きしめて寝ている颯斗は相当つらいだろうと、同じ男として心境は理解できる。

しかし、颯斗はそのような素振りは今まで一切見せてこなかった。
俺が怖がると分かっていたから。
そのような素振りを少しでも見せようものなら、今の俺だったら突き飛ばしていただろう。

信じていたのにとパニックになっていたかもしれない。
颯斗の気持ちに気づかないぐらい鈍感だとしても、下心があって触られれば分かったはずだ。

それほどまでに、俺の中であれらの出来事は大きなトラウマとなっている。
そんな俺が今まで一切気づかなかった。
それは颯斗がきちんと自制をしてくれていたという、何よりの証拠である。

今現在も、俺は恐怖を抱いていない。
それに、告白を受けても尚、俺は颯斗に嫌悪感すら抱いていない。
男から寄せられた好意は、柿原の件で懲りている。
男など好きになるはずがないし、男の好意に応えられる自信もない。

でも、颯斗からの告白がどこか嬉しく感じているのは何故なのだろうか。
体が熱くなって心臓が大きく脈打っているのは何故だろうか。

もし柿原の時に、あのような結末ではなく、純粋な告白をされていたら、俺はどう感じたのだろうか。
好意に素直に嬉しいと感じていたのだろうか。

きっと、思うことはない。
性マイノリティに嫌悪するわけではないが、応えられるわけがないし面倒なことになったなと考えるだろう。
ならば、何故今俺はこんなにも胸が苦しいのだろう。
負の感情ではなく、正の感情を抱いているのはなぜなのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...