【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第七章 従順な俺

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「父親のようになりなさいっていうのが、俺の母親の教えだから。父親が卒業した大学を卒業することを強要されてるの。父親のように立派で、父親のようにルールを重んじ、父親のように清く正しく正義であれ。それを逸脱しようとすれば、説教。自分の敷いたレールを何が何でも歩ませる。
今回の試験は、俺がこっちに来て無断でバイトを始めて、欠席と遅刻、無断外泊をして、ルールも守らず遊びほうけて勉強もしてないんじゃないかっていう疑いから、俺を試したんだ。A判定を取れなければ、俺は実家に連れ戻される。そうなれば、きっと俺は遊ぶ暇もなく勉強漬けの毎日。警察官になるための習い事を詰め込まれるんだよ。」

「は?何それ。意味分かんねぇんだけど、何で父親みたいになんねぇといけねぇの?何の意味があんの?」

「母親は、そういう家で育ってきたんだよ。父親は絶対的存在で、尊敬して憧れる存在っていう認識だから。俺が父親を目指すのを当然だと思ってる。俺はその思想を小さい頃から刷り込まれて、父親のようになることが当然だと思ってたし、母親に従うことは正しいことだと思って生きてきた。

ただ、中学で俺は両親が俺を見てないことに気づいたんだ。教え込まれた正義感では自分を守れないことに気づいた。父親が警視総監っていう理由でいじめられて、正当防衛だと思って相手を殴った。だけど、両親が俺に何故そのようにしたのかを尋ねることはなかった。ただ、警視総監の息子として相手に手を上げるのは恥だと怒られた。物を壊されても、盗まれても、隠されても、殴られても、襲われても、どんなことをされても、俺が1つ仕返ししたら咎められるのはいつも俺だった。決まって警視総監の息子として正しい振る舞いをしろと言われた。両親が欲してるのは、自分たちにとって恥にならない従順な子供。俺はそれがしんどいってことに気づいて、ここに逃げてきた。

だけど、親に反抗する術を持たずにきたから、言われたら従わないといけないって思うんだ。親に逆らうには相当な労力を費やす。進路を決める時も、俺は何度も体調を崩して熱を出して寝込んで、常に吐き気とともに戦った。でも、もうあの体験をしてまで反抗する力はない。親の機嫌を取りながら、今回みたいにどうにか落としどころを見つけてここを守ることしか俺には出来ない。一歩踏み外せば実家に帰らせられるような危険な道を歩むしかない。」
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