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第七章 従順な俺
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「亀ちゃん、颯斗くん呼んでるよ。」
こういう場では話しかけてはこない智くんが珍しく俺を呼びに来た。
以前俺を颯斗が助けたこともあって許容範囲が広がったのかもしれない。
だから俺は言われるがまま颯斗のほうへと行き傍に座った。
おでこに腕を置いているためあまり表情は分からない。
「おめでと。大丈夫?」
「最後のは流石にキタ。あいつは?大丈夫か?」
「気分悪いって言ってるけど、多分大丈夫だよ。少しゆっくりしたらよくなると思う。」
「そっか。あぁ柚希抱きしめてぇ。」
腕を少しずらしたところからちらりと俺を見てそう零す颯斗は思ったより大丈夫そうだ。
「ダメだよ。また今度ね。颯斗も痛そうだね。今回は腫れるかな?」
颯斗は殴られることがあまりないというのもあるが、殴られたとしてもあまり腫れないタイプである。
しかし、今回は現段階で切れた頬辺りが少し腫れているので悪化するかもしれない。
「かもな。帰って冷やすよ。柚希は今日アイツ等と過ごすんだろ?」
「そうだね。負けた側だし。またお祝いしてあげるね。」
「楽しみにしとく。もうあっち行っていいぜ。」
そう言って颯斗は体を起こすので、俺は1つ頷いて京介の方へと戻る。
「京介起き上がれそう?」
「支えないと無理かな。亀手伝ってくれる?」
「うん。」
多田が先に片腕を通して粗方体を起こしてくれた反対側に入り込んで体を支える。
「くっそ、情けねぇ。あの時油断した。無敗の男だって分かってたのに、完全に倒れる前に勝ったって思っちまった。あの時油断してなかったら。」
「反省は後にしなよ。京介は十分やったよ。あの男に同じだけ拳を打ち込んだんだから。」
「悔しい。あと少しだったんだ。くそっ、くそっ・・・。」
多田の慰めなど聞こえていないかのように京介は悔やみながら涙を零した。
悔しくて悔しくて堪らないのだろう。
自分の油断が引き起こした敗北に後悔しているに違いない。
実際、あの時油断していなければ、ここまでまともに食らわなかっただろうし、もしかしたら倒れることもなかったのかもしれない。
それでも、あの最後の反撃の拳は重すぎた。
構えていたとしてもかなりのダメージだったはずだ。
まだ少しだけ、颯斗のほうが強いのかもしれない。
俺たちが京介を運び始めたことによって周りも解散ムードになり、各々感想なりを話しながら散っていった。
俺たちはとりあえず京介を斜面のほうへと連れて行き、その斜面に横たえて安静にさせた。
こういう場では話しかけてはこない智くんが珍しく俺を呼びに来た。
以前俺を颯斗が助けたこともあって許容範囲が広がったのかもしれない。
だから俺は言われるがまま颯斗のほうへと行き傍に座った。
おでこに腕を置いているためあまり表情は分からない。
「おめでと。大丈夫?」
「最後のは流石にキタ。あいつは?大丈夫か?」
「気分悪いって言ってるけど、多分大丈夫だよ。少しゆっくりしたらよくなると思う。」
「そっか。あぁ柚希抱きしめてぇ。」
腕を少しずらしたところからちらりと俺を見てそう零す颯斗は思ったより大丈夫そうだ。
「ダメだよ。また今度ね。颯斗も痛そうだね。今回は腫れるかな?」
颯斗は殴られることがあまりないというのもあるが、殴られたとしてもあまり腫れないタイプである。
しかし、今回は現段階で切れた頬辺りが少し腫れているので悪化するかもしれない。
「かもな。帰って冷やすよ。柚希は今日アイツ等と過ごすんだろ?」
「そうだね。負けた側だし。またお祝いしてあげるね。」
「楽しみにしとく。もうあっち行っていいぜ。」
そう言って颯斗は体を起こすので、俺は1つ頷いて京介の方へと戻る。
「京介起き上がれそう?」
「支えないと無理かな。亀手伝ってくれる?」
「うん。」
多田が先に片腕を通して粗方体を起こしてくれた反対側に入り込んで体を支える。
「くっそ、情けねぇ。あの時油断した。無敗の男だって分かってたのに、完全に倒れる前に勝ったって思っちまった。あの時油断してなかったら。」
「反省は後にしなよ。京介は十分やったよ。あの男に同じだけ拳を打ち込んだんだから。」
「悔しい。あと少しだったんだ。くそっ、くそっ・・・。」
多田の慰めなど聞こえていないかのように京介は悔やみながら涙を零した。
悔しくて悔しくて堪らないのだろう。
自分の油断が引き起こした敗北に後悔しているに違いない。
実際、あの時油断していなければ、ここまでまともに食らわなかっただろうし、もしかしたら倒れることもなかったのかもしれない。
それでも、あの最後の反撃の拳は重すぎた。
構えていたとしてもかなりのダメージだったはずだ。
まだ少しだけ、颯斗のほうが強いのかもしれない。
俺たちが京介を運び始めたことによって周りも解散ムードになり、各々感想なりを話しながら散っていった。
俺たちはとりあえず京介を斜面のほうへと連れて行き、その斜面に横たえて安静にさせた。
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