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第三章 出会い
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「いくよ?」
「いつでもこい。」
そういう京介に、俺はボディブローが妥当かと考えて右腕を繰り出す。
それを京介は左腕で難なく受け止めた。
俺の拳にはずしりと筋肉にぶつかる衝撃が走る。
人を殴ったことのない薄い皮膚にじんわりと痛みが広がった。
「お前それ本気じゃねぇだろ。本気で来いよ。俺はお前のポテンシャル見てんだから。」
「そんなこと言われたって、何もないのに人を殴るのなんて初めてだから怖いよ。」
「だから遠慮すんなって。それとも何、俺を倒せるとでも思ってんの?」
「違うよ。そんなに煽らないでよ。」
「いいからこいって。俺を柿原だと思ってみろ。遠慮もなくなるだろ?」
「俺は思い込みは激しいタイプじゃないよ。」
俺は柿原を揶揄しながらまた構え、京介も楽しそうにまた構える。
本気で来いと言っているので、本気でいかなければ許してもらえないのだろう。
先程の状態が本気でないと分かるくらいだからここでまた手加減すれば、本気を出すまで繰り返されるのだろうと察する。
相手が京介であることが忍びないが、俺は覚悟を決めて対峙した。
空手や合気道で得た知識、子供同士の喧嘩であれど実戦での知識、本能的に相手の隙を探り、拳を繰り出す。
先ほどはボディーブローにしようと思って出した拳だったが、今は相手が一番脆いと思ったところに拳を放っていた。
足を踏み込んで顔面に向かって放たれた右ストレート。
振りぬく勢いで放たれた拳を、京介は左腕で俺の腕を払い落とすように叩き落し、防がれたという認識が脳に届く頃には京介の右の拳が俺の顔面に向かってきていた。
殴られると思っても体は防御が間に合わないし動かない。
俺は衝撃に備えてギュッと硬く目を瞑った。
「っつ、わっり!あっぶねぇ、殴るとこだった。」
俺は痛みに備えて体も硬くしたが、痛みは走らず京介の慌てた声だけが聞こえてくる。
そっと目を開ければ京介は降参したかのように両手を上げていた。
「大丈夫か?」
「嘘吐きっ。やり返さないって言ったのにっ。」
俺は怖さにへたり込みながら文句を垂れる。
「悪ぃ悪ぃ。いやさっきのはマジで本能だった。間に合ってよかった。」
「いやもう本当に怖かった。勘弁してよ。俺そんな風に殴られたことないんだから。」
「マジでごめん。つかお前、本当に素人か?何か習ってただろ?」
「あぁ、まぁ空手と合気道を。小中で。」
「どーりで。お前それならそうと言ってくれよ。俺別にアドバイスする必要ねぇじゃん。」
「何でだよ。俺やり方なんて何も知らないのに。」
「さっきので十分だわ。お前普通に強いぞ。」
京介が俺を起こすように手を差し出してくれるので、素直にそれを握って立ち上がらせてもらう。
「いつでもこい。」
そういう京介に、俺はボディブローが妥当かと考えて右腕を繰り出す。
それを京介は左腕で難なく受け止めた。
俺の拳にはずしりと筋肉にぶつかる衝撃が走る。
人を殴ったことのない薄い皮膚にじんわりと痛みが広がった。
「お前それ本気じゃねぇだろ。本気で来いよ。俺はお前のポテンシャル見てんだから。」
「そんなこと言われたって、何もないのに人を殴るのなんて初めてだから怖いよ。」
「だから遠慮すんなって。それとも何、俺を倒せるとでも思ってんの?」
「違うよ。そんなに煽らないでよ。」
「いいからこいって。俺を柿原だと思ってみろ。遠慮もなくなるだろ?」
「俺は思い込みは激しいタイプじゃないよ。」
俺は柿原を揶揄しながらまた構え、京介も楽しそうにまた構える。
本気で来いと言っているので、本気でいかなければ許してもらえないのだろう。
先程の状態が本気でないと分かるくらいだからここでまた手加減すれば、本気を出すまで繰り返されるのだろうと察する。
相手が京介であることが忍びないが、俺は覚悟を決めて対峙した。
空手や合気道で得た知識、子供同士の喧嘩であれど実戦での知識、本能的に相手の隙を探り、拳を繰り出す。
先ほどはボディーブローにしようと思って出した拳だったが、今は相手が一番脆いと思ったところに拳を放っていた。
足を踏み込んで顔面に向かって放たれた右ストレート。
振りぬく勢いで放たれた拳を、京介は左腕で俺の腕を払い落とすように叩き落し、防がれたという認識が脳に届く頃には京介の右の拳が俺の顔面に向かってきていた。
殴られると思っても体は防御が間に合わないし動かない。
俺は衝撃に備えてギュッと硬く目を瞑った。
「っつ、わっり!あっぶねぇ、殴るとこだった。」
俺は痛みに備えて体も硬くしたが、痛みは走らず京介の慌てた声だけが聞こえてくる。
そっと目を開ければ京介は降参したかのように両手を上げていた。
「大丈夫か?」
「嘘吐きっ。やり返さないって言ったのにっ。」
俺は怖さにへたり込みながら文句を垂れる。
「悪ぃ悪ぃ。いやさっきのはマジで本能だった。間に合ってよかった。」
「いやもう本当に怖かった。勘弁してよ。俺そんな風に殴られたことないんだから。」
「マジでごめん。つかお前、本当に素人か?何か習ってただろ?」
「あぁ、まぁ空手と合気道を。小中で。」
「どーりで。お前それならそうと言ってくれよ。俺別にアドバイスする必要ねぇじゃん。」
「何でだよ。俺やり方なんて何も知らないのに。」
「さっきので十分だわ。お前普通に強いぞ。」
京介が俺を起こすように手を差し出してくれるので、素直にそれを握って立ち上がらせてもらう。
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