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第1部
第7章:伸びかけの黒い点と、再び鳴るバリカンの音
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第7章:伸びかけの黒い点と、再び鳴るバリカンの音
1|三ヶ月後、指先にざらりと触れた朝
スキンヘッドにしてから、三ヶ月。
朝の光が差し込む寝室。
澪は寝起きに無意識で頭に手を伸ばし、
“ざらり” とした感触にふっと微笑んだ。
短い黒い毛が、
指を押し返す程度の硬さになっている。
(伸びてきたな……)
三ヶ月前、剃りたてのつるりとした頭皮は、
今では 5~8mmほどの“くすぐったい短毛”に覆われていた。
鏡の前に立つと、
頭頂部は黒い点が密集して影のようになり、
側頭部は少しだけ立ち上がりを見せている。
(こんなふうに生えるんだ……)
髪は一度すべて剃り落とすと、
根元からまっすぐ新しい方向へ伸びてくるらしく、
昔のクセはほとんど見当たらなかった。
手櫛を入れようとすると、
指が途中で止まる。
(入らない……)
髪が短すぎてすり抜けない。
けれど、その引っかかりが心地よい。
“これからどうする?”
という問いかけが、毎朝のように浮かんでいた。
⸻
2|会社の同僚の反応は、もはや日常になっていた
通勤電車の窓に映る自分のシルエットを見ても、
澪はもう驚かなくなっていた。
短毛の影は、丸く、潔く、凛としている。
会社に着くと、後輩の女の子が駆け寄ってきた。
「澪さん! なんかまた印象変わりましたね。
前より短い感じします!」
「三ヶ月伸びたんだよ。逆に前より“丸く見える”のかもね」
「わかる! 前はツルッとしてて、なんか強い感じだったけど、
今は……スポーティっていうか、かっこいいです!」
その言葉に胸が少し跳ねた。
(スポーティ……)
それは、澪が最近気になっていた言葉でもあった。
⸻
3|風が入ってくる角度が変わる
昼休み、ビルの屋上庭園で風に当たっていると、
髪が伸びたぶん、風の入り方が変わっていることに気づいた。
スキンヘッドのときは、
風がそのまま頭皮に触れて、
冷たさが直撃していた。
今は――
短毛が風を受けてわずかにざわめき、
その振動が頭皮に柔らかく伝わる。
(草が揺れるみたい……)
それが妙に気持ちよくて、
何度も風上に向き直ってしまう。
そのたびに、
ある光景が頭をよぎった。
――巴理髪店の椅子。
――圭介の落ち着いた声。
――バリカンの低い振動音。
――剃刀の冷たさと、終わったあとの軽さ。
(また……あの椅子に座りたいな)
ふと、そう思った。
⸻
4|街のガラスに映った“丸い影”に違和感が生まれた
帰り道、ショーウィンドウの前を通ったとき、
澪はふと立ち止まった。
映ったのは――
三ヶ月分伸びた短髪で、
丸くもふくらみもある頭。
(悪くないけど……なんか違う)
スキンヘッドの時のような
潔さや線のシャープさが少し薄れている。
(この半端な長さで止まるなら……)
心の奥で、静かに答えが形をとる。
(いっそ、刈り込んでしまいたい)
その瞬間、
身体が勝手に動いた。
駅とは逆方向の路地へ。
赤・白・青のサインポールが、視界に入る。
⸻
5|三ヶ月ぶりの巴理髪店
扉を開けると、
金属ベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃい」
奥から現れた巴圭介は、
澪を見るなり、目尻をわずかに緩めた。
「お、来たね」
「来ちゃいました」
「三ヶ月、ちょうどいい頃合いだ」
澪は髪を手で軽く触りながら言った。
「なんか、今の長さ……中途半端で」
「まあね。伸びかけって、いつもそうなる。
“どっちにも行ける”分、迷うやつ」
圭介の声は、いつもよりどこか楽しげだった。
「で、今日は? ショートにする?
それとも、また剃る?」
澪は、椅子に座りながらゆっくりと答えた。
「ショートでも、スキンでもないです」
圭介の眉が少し動いた。
「……ほう?」
ケープがかけられ、金具が首元で締まる。
そのカチリという音が、
澪の胸の奥に一気にスイッチを入れる。
「今日は――」
深呼吸をして、言った。
「スポーツ刈りにしたいです。」
圭介は、満足げに笑った。
「いいね。
短髪の中でいちばん“芯のある髪型”だ」
澪の背筋が、ぞくりとした。
⸻
6|“坊主とは違うバリカンの入り方”が始まる
圭介はバリカンを手に取り、
カチリと3mmのアタッチメントを装着した。
「前回は“全剃り”だったから、
今回は“形を作る”って作業になる」
澪は少し緊張する。
「スポーツ刈りって、どう違うんですか?」
「坊主は“均一に短く”。
スポーツ刈りは“ラインを作って、段差をつける”。
頭の形を引き締める髪型だ」
バリカンのスイッチが入る。
ブゥン……
以前よりも低く、落ち着いた振動音。
圭介はまず、
右の側頭部にバリカンを縦に当てた。
ジョリジョリジョリ……ッ
3mmのガードが髪を拾い、
短毛が均等に削り取られていく。
三ヶ月伸びた髪が、
落ちるというより “舞う” ように散った。
ぱら……ぱら……
(この音……久しぶり……)
澪は、自然と目を細めた。
⸻
7|側頭部の凹凸を削る――“形を作る快感”
圭介は続けた。
「スポーツ刈りは、
こめかみから後ろにかけて“締める”のが決め手」
右側頭部を、
上に向かって短く、
下はより短く。
段差をつけるため、
何度も角度を変えてバリカンが入っていく。
ジョリ……ジョリッ……ジョジョッ……
生え方の方向によって、
音が微妙に変わるのがわかるほど
澪の感覚は鋭くなっていた。
「頭のライン、すごく綺麗だから、
スポーツ刈り似合うと思ったんだよな」
「ほんとに……?」
「俺は、そういうの見ればわかる。
この後、頭頂部は少しだけ長めに残す。
そうすると丸みが強調されて、
“美しい短髪”になる」
澪は鏡越しに頷いた。
(美しい短髪……)
その言葉が新鮮だった。
⸻
8|後頭部――“ざくっ”と入る太い線
続いて後頭部。
圭介はバリカンを横に構えた。
「じゃあ、後ろ行くよ。
顎を引いて」
「はい」
澪が顎を引くと、
背後で刃が大きく動く。
ガリッ……ジョリジョリジョリ……!
坊主よりも“太い線”が入る。
(わ……これ……気持ちいい……)
伸びかけの髪が一気に刈られ、
床にふわっと落ちる。
圭介は、段差がきれいに出るように
上・中・下と三段に分けながら刈り込んでいく。
「後頭部に段差つけると、
首のラインがすごく綺麗に見えるよ」
「たしかに……すごく軽い……」
刈られるたび、
長さと重さが変わるのがはっきりわかる。
⸻
9|頭頂部――“立たせる”ために残す部分
圭介はアタッチメントを交換し、
少し長めの10mmにした。
「ここは、ほんの少し残す」
頭頂部にバリカンが触れると、
短くも柔らかい毛が押し込まれる。
ジョリ……ジョッ
ここは側頭部と違って、
“削る”というより“整える”音がした。
「スポーツ刈りは、
ここが1cmくらい残ってると形が出る。
全部短いと坊主になる」
「なるほど……」
「短くても“髪型”として成立させる。
それがスポーツ刈り」
圭介の説明は、
いつ聞いてもどこか職人の哲学を感じる。
⸻
10|全体のバランスを整える“仕上げのハサミ”
最後に圭介はハサミを手に取る。
シャキ……シャキ……
ここまで短くても、
細部の調整にはハサミが生きる。
耳の周り、
生え際のちょっとした段差、
頭頂部のほんの数ミリ。
「少し前下がりにしておくと、
顔立ちがシャープに見える」
「そんなことまで考えてくれるんだ……」
「髪型は“性格の輪郭”でもあるからな」
(性格の……輪郭……)
澪の胸に、その言葉が深く沈む。
⸻
11|鏡に映った“スポーツ刈りの女”
圭介がハサミを置く。
タオルで細かな毛をはらい、
ケープが外される。
鏡の中の澪。
短いのに、丸みがある。
クールなのに、どこか柔らかい。
まっすぐで、迷いがない。
3mmで刈られた側頭部はシャープで、
10mm残った頭頂部は自然に立ち上がり、
全体のフォルムが美しいバランスに整っている。
(……すごい……私、こうなるんだ……)
声が漏れた。
圭介が腕を組んで言う。
「似合ってるよ。“強いけど優しい”って感じがする」
澪は頬が自然と熱くなるのを感じた。
「ありがとう……ございます」
⸻
12|巴理髪店を出て、風が変わった
店を出ると、
風が側頭部をすり抜ける。
スキンヘッドの時とも、
伸びかけの時とも違う。
“短髪が風を切る感触”だった。
(これだ……これが欲しかった)
風を受けるたび、
スポーツ刈りの短毛がふるふると震える。
軽い。
でも、ただ軽いだけじゃない。
(私、ちゃんと“形がある”んだ……)
自分の輪郭を、
髪型が支えてくれる感覚。
⸻
13|ふと、圭介の声が背中に残る
歩きながら、澪は思い返していた。
「髪型は、性格の輪郭でもあるからな」
(……そうかもしれない)
スキンヘッドは“まっさら”だった。
そこから時間が経ち、
澪は新しい形を求めるようになった。
自分のために、
“次の輪郭”が欲しくなったのだ。
スポーツ刈りという形が、
今の自分にしっくりくる。
(これからの私は……どうなるんだろう)
ふと、ワクワクする感情が胸を満たした。
1|三ヶ月後、指先にざらりと触れた朝
スキンヘッドにしてから、三ヶ月。
朝の光が差し込む寝室。
澪は寝起きに無意識で頭に手を伸ばし、
“ざらり” とした感触にふっと微笑んだ。
短い黒い毛が、
指を押し返す程度の硬さになっている。
(伸びてきたな……)
三ヶ月前、剃りたてのつるりとした頭皮は、
今では 5~8mmほどの“くすぐったい短毛”に覆われていた。
鏡の前に立つと、
頭頂部は黒い点が密集して影のようになり、
側頭部は少しだけ立ち上がりを見せている。
(こんなふうに生えるんだ……)
髪は一度すべて剃り落とすと、
根元からまっすぐ新しい方向へ伸びてくるらしく、
昔のクセはほとんど見当たらなかった。
手櫛を入れようとすると、
指が途中で止まる。
(入らない……)
髪が短すぎてすり抜けない。
けれど、その引っかかりが心地よい。
“これからどうする?”
という問いかけが、毎朝のように浮かんでいた。
⸻
2|会社の同僚の反応は、もはや日常になっていた
通勤電車の窓に映る自分のシルエットを見ても、
澪はもう驚かなくなっていた。
短毛の影は、丸く、潔く、凛としている。
会社に着くと、後輩の女の子が駆け寄ってきた。
「澪さん! なんかまた印象変わりましたね。
前より短い感じします!」
「三ヶ月伸びたんだよ。逆に前より“丸く見える”のかもね」
「わかる! 前はツルッとしてて、なんか強い感じだったけど、
今は……スポーティっていうか、かっこいいです!」
その言葉に胸が少し跳ねた。
(スポーティ……)
それは、澪が最近気になっていた言葉でもあった。
⸻
3|風が入ってくる角度が変わる
昼休み、ビルの屋上庭園で風に当たっていると、
髪が伸びたぶん、風の入り方が変わっていることに気づいた。
スキンヘッドのときは、
風がそのまま頭皮に触れて、
冷たさが直撃していた。
今は――
短毛が風を受けてわずかにざわめき、
その振動が頭皮に柔らかく伝わる。
(草が揺れるみたい……)
それが妙に気持ちよくて、
何度も風上に向き直ってしまう。
そのたびに、
ある光景が頭をよぎった。
――巴理髪店の椅子。
――圭介の落ち着いた声。
――バリカンの低い振動音。
――剃刀の冷たさと、終わったあとの軽さ。
(また……あの椅子に座りたいな)
ふと、そう思った。
⸻
4|街のガラスに映った“丸い影”に違和感が生まれた
帰り道、ショーウィンドウの前を通ったとき、
澪はふと立ち止まった。
映ったのは――
三ヶ月分伸びた短髪で、
丸くもふくらみもある頭。
(悪くないけど……なんか違う)
スキンヘッドの時のような
潔さや線のシャープさが少し薄れている。
(この半端な長さで止まるなら……)
心の奥で、静かに答えが形をとる。
(いっそ、刈り込んでしまいたい)
その瞬間、
身体が勝手に動いた。
駅とは逆方向の路地へ。
赤・白・青のサインポールが、視界に入る。
⸻
5|三ヶ月ぶりの巴理髪店
扉を開けると、
金属ベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃい」
奥から現れた巴圭介は、
澪を見るなり、目尻をわずかに緩めた。
「お、来たね」
「来ちゃいました」
「三ヶ月、ちょうどいい頃合いだ」
澪は髪を手で軽く触りながら言った。
「なんか、今の長さ……中途半端で」
「まあね。伸びかけって、いつもそうなる。
“どっちにも行ける”分、迷うやつ」
圭介の声は、いつもよりどこか楽しげだった。
「で、今日は? ショートにする?
それとも、また剃る?」
澪は、椅子に座りながらゆっくりと答えた。
「ショートでも、スキンでもないです」
圭介の眉が少し動いた。
「……ほう?」
ケープがかけられ、金具が首元で締まる。
そのカチリという音が、
澪の胸の奥に一気にスイッチを入れる。
「今日は――」
深呼吸をして、言った。
「スポーツ刈りにしたいです。」
圭介は、満足げに笑った。
「いいね。
短髪の中でいちばん“芯のある髪型”だ」
澪の背筋が、ぞくりとした。
⸻
6|“坊主とは違うバリカンの入り方”が始まる
圭介はバリカンを手に取り、
カチリと3mmのアタッチメントを装着した。
「前回は“全剃り”だったから、
今回は“形を作る”って作業になる」
澪は少し緊張する。
「スポーツ刈りって、どう違うんですか?」
「坊主は“均一に短く”。
スポーツ刈りは“ラインを作って、段差をつける”。
頭の形を引き締める髪型だ」
バリカンのスイッチが入る。
ブゥン……
以前よりも低く、落ち着いた振動音。
圭介はまず、
右の側頭部にバリカンを縦に当てた。
ジョリジョリジョリ……ッ
3mmのガードが髪を拾い、
短毛が均等に削り取られていく。
三ヶ月伸びた髪が、
落ちるというより “舞う” ように散った。
ぱら……ぱら……
(この音……久しぶり……)
澪は、自然と目を細めた。
⸻
7|側頭部の凹凸を削る――“形を作る快感”
圭介は続けた。
「スポーツ刈りは、
こめかみから後ろにかけて“締める”のが決め手」
右側頭部を、
上に向かって短く、
下はより短く。
段差をつけるため、
何度も角度を変えてバリカンが入っていく。
ジョリ……ジョリッ……ジョジョッ……
生え方の方向によって、
音が微妙に変わるのがわかるほど
澪の感覚は鋭くなっていた。
「頭のライン、すごく綺麗だから、
スポーツ刈り似合うと思ったんだよな」
「ほんとに……?」
「俺は、そういうの見ればわかる。
この後、頭頂部は少しだけ長めに残す。
そうすると丸みが強調されて、
“美しい短髪”になる」
澪は鏡越しに頷いた。
(美しい短髪……)
その言葉が新鮮だった。
⸻
8|後頭部――“ざくっ”と入る太い線
続いて後頭部。
圭介はバリカンを横に構えた。
「じゃあ、後ろ行くよ。
顎を引いて」
「はい」
澪が顎を引くと、
背後で刃が大きく動く。
ガリッ……ジョリジョリジョリ……!
坊主よりも“太い線”が入る。
(わ……これ……気持ちいい……)
伸びかけの髪が一気に刈られ、
床にふわっと落ちる。
圭介は、段差がきれいに出るように
上・中・下と三段に分けながら刈り込んでいく。
「後頭部に段差つけると、
首のラインがすごく綺麗に見えるよ」
「たしかに……すごく軽い……」
刈られるたび、
長さと重さが変わるのがはっきりわかる。
⸻
9|頭頂部――“立たせる”ために残す部分
圭介はアタッチメントを交換し、
少し長めの10mmにした。
「ここは、ほんの少し残す」
頭頂部にバリカンが触れると、
短くも柔らかい毛が押し込まれる。
ジョリ……ジョッ
ここは側頭部と違って、
“削る”というより“整える”音がした。
「スポーツ刈りは、
ここが1cmくらい残ってると形が出る。
全部短いと坊主になる」
「なるほど……」
「短くても“髪型”として成立させる。
それがスポーツ刈り」
圭介の説明は、
いつ聞いてもどこか職人の哲学を感じる。
⸻
10|全体のバランスを整える“仕上げのハサミ”
最後に圭介はハサミを手に取る。
シャキ……シャキ……
ここまで短くても、
細部の調整にはハサミが生きる。
耳の周り、
生え際のちょっとした段差、
頭頂部のほんの数ミリ。
「少し前下がりにしておくと、
顔立ちがシャープに見える」
「そんなことまで考えてくれるんだ……」
「髪型は“性格の輪郭”でもあるからな」
(性格の……輪郭……)
澪の胸に、その言葉が深く沈む。
⸻
11|鏡に映った“スポーツ刈りの女”
圭介がハサミを置く。
タオルで細かな毛をはらい、
ケープが外される。
鏡の中の澪。
短いのに、丸みがある。
クールなのに、どこか柔らかい。
まっすぐで、迷いがない。
3mmで刈られた側頭部はシャープで、
10mm残った頭頂部は自然に立ち上がり、
全体のフォルムが美しいバランスに整っている。
(……すごい……私、こうなるんだ……)
声が漏れた。
圭介が腕を組んで言う。
「似合ってるよ。“強いけど優しい”って感じがする」
澪は頬が自然と熱くなるのを感じた。
「ありがとう……ございます」
⸻
12|巴理髪店を出て、風が変わった
店を出ると、
風が側頭部をすり抜ける。
スキンヘッドの時とも、
伸びかけの時とも違う。
“短髪が風を切る感触”だった。
(これだ……これが欲しかった)
風を受けるたび、
スポーツ刈りの短毛がふるふると震える。
軽い。
でも、ただ軽いだけじゃない。
(私、ちゃんと“形がある”んだ……)
自分の輪郭を、
髪型が支えてくれる感覚。
⸻
13|ふと、圭介の声が背中に残る
歩きながら、澪は思い返していた。
「髪型は、性格の輪郭でもあるからな」
(……そうかもしれない)
スキンヘッドは“まっさら”だった。
そこから時間が経ち、
澪は新しい形を求めるようになった。
自分のために、
“次の輪郭”が欲しくなったのだ。
スポーツ刈りという形が、
今の自分にしっくりくる。
(これからの私は……どうなるんだろう)
ふと、ワクワクする感情が胸を満たした。
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