寿命希望制

のほほ

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刻々と

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残り100日
 数字にすると多く見えるけどあと約3ヶ月と10日で俺は死ぬ
 かといって生きたいか?と言われればよくわからない
 来年も頑張るビジョンがわかない
 前に入れたチャットアプリも大分話す人が増えた
 俺と同様傷付き病んでいる人がたくさんいる
 そんな人と話すのも楽しい
 はたまた好きな人と付き合えたとか結婚するとかの
 投稿もある 羨ましいな いいね幸せを噛み締めて
 今までたくさん頑張ってきたんだろうから
 でも俺だって頑張ってきたのにな
 結構人に尽くして頑張ってきたんですけどね
 まあ世の中難しいですわ
 来世に期待でもしとこうかな
 頑張ったら頑張っただけ
 辛かったら辛かった分いいことが起こる世界ならいいのに
 3回人を助けたら3回いいことがあって
 3回辛いことがあったなら4回いいことがある
 そんな世の中なら今よりみんな生きやすいのに
 でもそんな都合のいい世界なんてない
 だから腹が立つ
 こんなことを考えるのはどんどん死が迫ってきてるからなのかな


 そして残り3ヶ月になった
 俺はまた夢を見た
 見慣れた光景だ

「残り3ヶ月でーす やり残してることあるならちゃんとやるんだよ」

「ハイテンションうざいんでやめてください」

「ごめんごめん」

「俺一度倒れてから体の不調とかないですけど本当に死ぬんですか?」

「あー あれね死ぬのにちょこちょこ倒れてたら可哀想かなって思ってやめた」

「あ でもちゃんと死ぬから心配しないで」

 心配はしていないしそんな優しさはいらない

「俺どんな死に方するんですか」

「何死にたくなくなった?笑 心配しなくても苦しんで死ぬことはないよ」

「ほんとですか?あんま信じられないです」

「ひどいなぁ 僕は嘘はつかないよ」

「とりあえずあと3ヶ月楽しんで~」

 起きた 時計を見る
 遅刻はしてない よかった
 いつも通り出勤して朝礼をやる

 あれ知らない人がいる
 新しく入ってきた人か
 
「よろしくお願いします」

 笑顔が素敵な女性
自分より3つ年上らしい
 大人びた見た目の中に可愛らしさが残っている人
 いつものように声をかける
 年上だろうが関係ない
 少しでもここに慣れてくれれば
 そう思い話しかける
 他愛もない話だ
 今日はどうでしたかとか 慣れましたかとか
 そんな話をしていた
 向こうも俺を見つけたら話しかけてくれるようになった
 そして業務的な内容からどんどん別の話もするようになった
 なにが好きなのか 趣味とかあるのか
 日を追うごとに仲が深まっていった
 この人に3ヶ月後に死ぬことを告げたらどんな顔するんだろ
 そんなことを考えていた
 
 

 
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