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3.ナニソレ
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そう、この物語での俺の恋のお相手は
優しく爽やかな好青年。安藤悠斗…………
だったはずなんですがぁぁあ?!
「…………ゆっ、ゆう?
なんか…その、性格変わってない?」
「……チッ…めんどくせぇなぁ…」
だからっ?!誰なんだよあんたは!!
「…………俺は、この世界で唯一。
これが物語だと知っている人間だ。」
先程まで鬼のような顔をしていたが、
真剣な表情で真っ直ぐ俺を見つめる。
ほぇ?…………
今なんて!?
「……え?…ってことは………俺が死ぬ前に見た、あんなことやこんなことは、しなくていいってこと!?」
おぉっ!なんてこった!
これは、以外に普通の生活が送れそうなのではないか?!
「…………死ぬ前って、やっぱり…
お前も死んでここに来たのか。」
表情がスロットのようにコロコロとかわり、
今度はなんとも、見ているだけで心が締め付けられるような表情をする。
なっ、なんだよ。いきなり…そんな顔。
「…………ぇ………あぁ、うん。」
そうか、今まで死んだってしっかり自覚してなかったけど…。
…………大丈夫かな、姉貴、母ちゃん、父ちゃんも。
せめて最後に、感謝くらいは…言いたかった。
そう思うが、俺が何を思おうともう後には戻れないのだと自分に言い聞かせる。
「…………おい、辛いのは分かるけどなぁ
お前が思ってるような普通の生活は、
この世界じゃおくれねぇよ」
おっ、お前がしんみりさせたんだろうが!!
でも……
そっか……こいつも、俺と同じ…なのか。
っと、それは置いといて。
「?……なんで?だって俺らがそぉーゆう事しなきゃいいんじゃねぇの?」
「…………はぁ…あのなぁ、俺たちが中心に回っているこの物語の世界で、俺たちが何もしなかったらどうなると思う?」
? ? ?
どーなるっ………て
「…………どうなるんだ?」
ダメだぁー言ってることがよくわかんねぇー
脳が変わっても中身が自分であることを改めて実感するが、安心したような、どこかで悲しいような、なんとも複雑な気持ちだ。
「………………チッ…これだから馬鹿はっ
…………俺達が何もしなければ、この世界は崩壊するんだよ。」
崩壊……………………
崩壊ぃぃい?!
「えぇっ…どっ、どどっ、どうしたら?!」
この世界で、崩壊を止められるような能力なんて持ち合わせていないし、物語的にも
主人公が最強なわけでもなさそうだ。
なのに…崩壊を止める???
「……まだ分かんねぇのかよ………………
俺達が演じ切るんだよ。自分の役を。」
「…………役?って平塚誠をってこと?」
「そっ、まぁ、本の内容を覚えてなくても
この世界に流されれば無理やり進むから、
俺の経験上は、だけど。」
「……ぇ、と、そうしたら……、今のこの状況って物語としてやばいんじゃねぇの?」
もう一度死ぬとかもう勘弁なんだよっ!!!
「あぁ、それなら。
例えば、テレビの放送で『カット』するとかよく言うだろ?」
「あっ、あぁ?そうだね」
「俺たちが今過ごしている時間は、その『カット』をしている分の時間って訳だ。」
「…………あぁっ…もう、訳わかんないぃっ」
なんだよ、この面倒な世界っ…………。
しっ、しかもっ、こんな恐ろしい奴とずっと一緒に居なきゃいけないなんて…。
「………って、ことは俺も、そうやってお前みたいにニコニコしなきゃだめってことか?」
試しにニコニコしてみるが、表情筋がそれを嫌がって笑顔がひきつる。
「…………あぁ、それは問題ない。
お前は、主人公に選ばれただけあって性格ほとんどそのまんまだからな。」
「…………へ?」
嬉しいのか、嬉しくないのかよく分からないけど…手間は省けた?
「まぁ、少しヘマしても『カット』されるから心配すんな、さっきみたいに。」
………………っこいつ!
まださっきの、出席の時の根に持ってるのかよっ
あぁ…でも、体育館裏に来てはじめのセリフでこいつがカバーしてくれたみたいだし、
全くあのシーンが使えなくならなかったみたいだ。
案外優しいところもっ…………て
信じたら終わりだっ!ダメダメっ
「あっ、でさぁ、お前」
「ん?」
「『オメガバース』って知ってる?」
うんっ、ナニソレ。
優しく爽やかな好青年。安藤悠斗…………
だったはずなんですがぁぁあ?!
「…………ゆっ、ゆう?
なんか…その、性格変わってない?」
「……チッ…めんどくせぇなぁ…」
だからっ?!誰なんだよあんたは!!
「…………俺は、この世界で唯一。
これが物語だと知っている人間だ。」
先程まで鬼のような顔をしていたが、
真剣な表情で真っ直ぐ俺を見つめる。
ほぇ?…………
今なんて!?
「……え?…ってことは………俺が死ぬ前に見た、あんなことやこんなことは、しなくていいってこと!?」
おぉっ!なんてこった!
これは、以外に普通の生活が送れそうなのではないか?!
「…………死ぬ前って、やっぱり…
お前も死んでここに来たのか。」
表情がスロットのようにコロコロとかわり、
今度はなんとも、見ているだけで心が締め付けられるような表情をする。
なっ、なんだよ。いきなり…そんな顔。
「…………ぇ………あぁ、うん。」
そうか、今まで死んだってしっかり自覚してなかったけど…。
…………大丈夫かな、姉貴、母ちゃん、父ちゃんも。
せめて最後に、感謝くらいは…言いたかった。
そう思うが、俺が何を思おうともう後には戻れないのだと自分に言い聞かせる。
「…………おい、辛いのは分かるけどなぁ
お前が思ってるような普通の生活は、
この世界じゃおくれねぇよ」
おっ、お前がしんみりさせたんだろうが!!
でも……
そっか……こいつも、俺と同じ…なのか。
っと、それは置いといて。
「?……なんで?だって俺らがそぉーゆう事しなきゃいいんじゃねぇの?」
「…………はぁ…あのなぁ、俺たちが中心に回っているこの物語の世界で、俺たちが何もしなかったらどうなると思う?」
? ? ?
どーなるっ………て
「…………どうなるんだ?」
ダメだぁー言ってることがよくわかんねぇー
脳が変わっても中身が自分であることを改めて実感するが、安心したような、どこかで悲しいような、なんとも複雑な気持ちだ。
「………………チッ…これだから馬鹿はっ
…………俺達が何もしなければ、この世界は崩壊するんだよ。」
崩壊……………………
崩壊ぃぃい?!
「えぇっ…どっ、どどっ、どうしたら?!」
この世界で、崩壊を止められるような能力なんて持ち合わせていないし、物語的にも
主人公が最強なわけでもなさそうだ。
なのに…崩壊を止める???
「……まだ分かんねぇのかよ………………
俺達が演じ切るんだよ。自分の役を。」
「…………役?って平塚誠をってこと?」
「そっ、まぁ、本の内容を覚えてなくても
この世界に流されれば無理やり進むから、
俺の経験上は、だけど。」
「……ぇ、と、そうしたら……、今のこの状況って物語としてやばいんじゃねぇの?」
もう一度死ぬとかもう勘弁なんだよっ!!!
「あぁ、それなら。
例えば、テレビの放送で『カット』するとかよく言うだろ?」
「あっ、あぁ?そうだね」
「俺たちが今過ごしている時間は、その『カット』をしている分の時間って訳だ。」
「…………あぁっ…もう、訳わかんないぃっ」
なんだよ、この面倒な世界っ…………。
しっ、しかもっ、こんな恐ろしい奴とずっと一緒に居なきゃいけないなんて…。
「………って、ことは俺も、そうやってお前みたいにニコニコしなきゃだめってことか?」
試しにニコニコしてみるが、表情筋がそれを嫌がって笑顔がひきつる。
「…………あぁ、それは問題ない。
お前は、主人公に選ばれただけあって性格ほとんどそのまんまだからな。」
「…………へ?」
嬉しいのか、嬉しくないのかよく分からないけど…手間は省けた?
「まぁ、少しヘマしても『カット』されるから心配すんな、さっきみたいに。」
………………っこいつ!
まださっきの、出席の時の根に持ってるのかよっ
あぁ…でも、体育館裏に来てはじめのセリフでこいつがカバーしてくれたみたいだし、
全くあのシーンが使えなくならなかったみたいだ。
案外優しいところもっ…………て
信じたら終わりだっ!ダメダメっ
「あっ、でさぁ、お前」
「ん?」
「『オメガバース』って知ってる?」
うんっ、ナニソレ。
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