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7.抑制剤
しおりを挟む「ゆっ…ゆう……ヒートって……」
クラス中が騒ぎ出し、
入学したばかり学校へのの不安と、
まだ慣れないこの世界への不安を同時に感じる。
「…………っくっそ…甘ったりぃ匂いでしやがって………おい…お前、お前は何も感じないのか?」
さっきから、ゆうが匂いがどうとか言っているから、気になってはいたが……
空中をスンスンと嗅いでみる。
「…………うぅん、何もしないぞ?」
「………………そうか…たまにいるらしいぞ
Ωのフェロモンに誘惑されないβっ…」
まじ?!すげーじゃん俺っ!!
自分がそのたまにいるβだと言う言葉に、
少し特別感があって嬉しいと思ってしまう。
この状況でなんとも不謹慎。
初めは今ヒート中のΩの愚痴でいっぱいだったクラスは時間がたちはじめ、少しずつ可哀想だという声があがってきた。
この世界もそこまでクソでは無いかもしれない。
「…………おい…まだ、先生何も対処してないらしいぜ。」
「まじかよ……誰か行ってやれよ」
「……お前が行けばいいじゃん。」
「はぁ?……なんで俺がたかがΩの為にそんなことっ」
前言撤回。
やはり胸糞悪い会話しか聞こえてこない。
もぉ…………イライラするなぁ…
可哀想って言うだけで誰も助けに行かないし
って……………俺も一緒だよなぁ…
よし、行ってくるかぁ……
勇気を振り絞ってと言うほど不安では無いが、やはり一歩を踏み出すのに一瞬躊躇ってしまった。
「…………ぇ…あっ、おい!誠?
どこ行くんだよお前!」
心配してくれてるのかしていないのか分からないが、ここから動けないこいつに俺を止める資格はない。
おっとぉ?今俺正義のヒーローっぽくね?
「………………ちょっと行ってくる。」
ふっ、決まったっ……!
「………………!っばか、待てって!」
ヒーローは振り返らないのさっ
俺は華麗に扉を開けて、教室の外に出る。
さてと……とりあえずヒートを起こしてるΩを探すかぁ~
と、廊下を歩いていると、変に静まり返ったところについた。
ここに誰もいないってことは…居るのはこの近くか。
聞こえるのは遠くの生徒たちの声と、
廊下に響く俺の足音……それと、
小さな泣き声。
「………ぅっ…っ…………うぅっ……」
どうやら資料室からのようだ。
ドアノブにてをかける。
少しばかり緊張しているが、
今はそれどころではない。
そして、キィィー……という音がして
ドアが開く。
「…………?!…ひぃっ…こ、来ないでくださっ……」
誰かが来たのかと、泣き声の主は尋常では無いほど怯えている。
ドアゆっくり開けたのが不味かったかな…
「…………ぇえっと、君…だよね?
今ヒート中の子って…」
彼の息は荒く、瞳は潤んでいた。
顔だけじゃなく、耳、首まで赤くなっていて……俺はこの時やっと、ヒートについて理解した気がした。
「……はぁっ……っ…匂いで…わかるっ…でしょ?」
「……あぁ…いや、それが俺…分からないんだわ…はは」
「…………はぁ?……そんなっ…わけっ」
まぁ、疑ってくれて結構。
この状況だから、逆にその反応で安心した。
「……なんだっけ?あの、抑…制剤?
ないの?」
「…………あるっ…けどっ…はぁっ、教室のっ…カバンの中っ…で」
なっ……なんだろう。
見てはいけないものを見せられてるような、
変な気持ちになる。
「……よし、取ってきてやるよ。」
「…………ぇ?…………どうし…て」
どうしてって…言われてもなぁ???
「…………ふふんっ、なんかかっこいいだろ?」
「…………ははっ…そうだね。かっこいいかもっ…」
⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻ ⿸
彼の教室へ行き、抑制剤は手に入った、
後は…資料室に持っていくだけだ。
廊下を歩いていると、大きな声が聞こえた。
さっきの彼の声だ。
「…………あぁっ!ちょっ……はぁっ…んっ!
やぁっ……めっ………はぁっ」
ぎゃぁあああああ?!
姉貴の本で見たやつみたいになっとるっ…
早く止めねぇ~と!!!
正気を失った男が荒い息をしながら彼に襲いかかっている。
あのガタイの良さはきっとαだろう。
「………大丈夫かっ?!…」
彼が助けを求めるようにこっちを見る。
「…………んっ……あぁっ!…は…やくっ
抑制剤っ……んっ」
「……………っくそ!」
ガタイいい男が邪魔をしていて渡せない。
しかも…渡せたとしてもこんな状況じゃ…
そうだ!粒をあらかじめ出しといて、口に放り込めばいいじゃん!
「…………よしっ!ちょっと口開けて待ってろ!」
「…………はぁ?……んっ…あぁっ……声っ出ちゃうからっ…はやくっ!」
うぅっ……なんかえっちぃなそのセリフ。
俺は至って真面目なんだけど……
よしっ…一瞬でもあの男をどかせればっ
なんかないか…
辺を見渡すとちょうどいい所にデッキブラシがあった。
これでっっつ!!!
「…………っどりゃあっ!!!」
ブラシの持ち手の部分で男の腹を突き、
男が苦しがっている間に抑制剤を口へ放り込む。
「…………んっ……」
「…………はやくっ!そこの教室なら鍵が閉まる!」
「………………っ、ありがとう!!!」
彼はまだふらふらしながらも、急ぎ足で端の教室へむかった。
「邪魔すんじゃねぇぇええ!!!!」
ゴッ……っと鈍い音がして
視界がフェイドアウトしていく。
おっと…………こ…れは…
ギャルゲーに転生っ…………できるんじゃ……
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