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26.末路
しおりを挟む「…………ちょっとは落ち着いた?」
そう言いながらなおが、俺の背中を
痛いところをさするように撫でる。
「……………………うん。」
色々なことが一気におきすぎて…
もうよく分からない。
学校でなおがヒートになった時、
俺が何も感じなかったのは……俺がΩだったからか。
そういえば、あれから何時間たっただろう。
俺が追い出したのに、ここには帰ってこないとわかっている武尊のことを考えて、勝手に傷つけられた気持ちになって……。
もし、武尊が俺の事を好きだったとしても、
この世界では、そうなるように変な力が働いているんじゃないかとか……
俺は今、自分が生きる世界すら
信じられない。
「………………あんまり考えすぎないほうがいいよ。とりあえず、今日はもう寝よう?
俺も一緒に寝てあげるっ」
なんの事情も話していないのに……
本当こいつって奴は勘がよすぎる。
まぁ、今はその勘に助けられているんだけど。
「……うん。ありがとう…なお。」
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まことが実はΩだってこと、あいつは
周りの人間にも公表するのだろうか。
それはとっても……上尾が喜びそうだ。
俺たちが付き合ってるっていったって、
あいつは空気を読まずにアタックしにくるだろう。
三角関係…いや、なおも入れたら……カオスだなこれは。
もし、公表をした場合、
学校の寮部屋も変えることになるだろうな。
この世界は、こんな展開になってしまっても崩壊しないのだろうか。
そもそも、中身(役者)が色恋沙汰で揉める事などこの世界を作った神は想像していたのだろうか。
その「神」とやらは、それを許すのだろうか。
考えてもどうしようもない、永遠に答えの出ない『………だろうか。』の繰り返しで精神を安定させる……。
前世では煙草が精神安定剤だったんだが、
この年齢ではそうもいかない。
手の届く範囲にあいつが居ないと、
こんなにも不安になるだなんて思ってもみなかった。
あんな風に謝って、逃げて…………
傷付けた俺には、あいつに向けられる顔がない。
もういい歳のおっさんがもう一度もらえた
青春に、はしゃぎすぎた末路だな。
もし、俺があいつの気持ちに応えるといったら…………あの人は許してくれるだろうか。
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「………………まこ、まだ起きてる?」
もうとっくに寝たと思っていたなおが、
いきなり話しかけてくる。
狸寝入りがバレてたのかっ…………
「…なお?…………………起きてるけど」
まぁ、同じ布団で寝ていればバレるか。
「…………………俺達さ、付き合わない?」
「え?」
ちょっ、ちょちょ、ちょぉ~っと待て?!
なおさぁぁぁん???
ワタクシ今現状失恋(?)中なんですけどっ
現状てか、今さっき!!!
展開早すぎて俺の豆腐おつむじゃ
ついていけねーよ!!
あぁぁ……もう、ただでさえヒートで頭まだ
ぼーっとしてるのにっ……
「……ん……………………まことっ………ねぇ」
「…んっ…ひぁっ……………………お……まえ」
よくも耳元でぇぇっ!!!!
わざとらしいっ……てか、あざといっ……てか
計算高いっ……小悪魔ぁぁぁぁあっ
「……あざとい?計算高い?小悪魔?……」
「おっと、わざとらしいが抜けて……って」
……………………誰か助けて。
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