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34.この世界が終わっても
しおりを挟むまた、静かな夜がきた。
眠れない俺には、何もすることがない退屈な時間が刻々と過ぎてゆく。
今、目を瞑ればきっと一瞬で夢の中だ。
でも、目を瞑ることが今は酷く怖い。
もしかしたら、眠って目が覚めたら、武尊はここにいないんじゃないか。
元の世界に戻りたいとも思う、
でも、武尊とも離れたくはない。
このシナリオが終わった後、
俺たちは元の世界に戻るのか、
それとも記憶を消されてそのままちがう世界に転生させられるのか。
どっちにしても、俺たち2人にとっての
ハッピーエンドは待っていない。
俺たちが番になった事で、このシナリオは
さらに進んだはずだ。
もし、この時間が最後なら、
俺は寝る時間よりも武尊を想う時間が欲しい。
もっと、違う出会い方だったら───
ふと、俺の布団に誰か(この部屋は武尊と2人部屋なのだから武尊しかいないが)が、
モゾモゾと音を立てて入ってきた。
「…………たけ……る?」
?!
布団の中で武尊の胸に、俺の体が引き寄せられる。
心臓の音………………すごい落ち着く。
「………………これでも、寝れないか?」
頭の上から響く声が酷く優しいから、
俺は目を閉じたくなってしまう。
でも、俺の心がそれを許さなかった。
「…………っ……いゃ……だ。」
武尊が俺の頭を撫でながら言う。
「……………………何が嫌なんだ?」
「………………た……けるとっ……もっと一緒にいたいのにぃっ…………っ…………」
胸からの痛みがじんと広がって息苦しい。
「…………ん……そうか………………それで?」
「……今眠ったら…………もう、一生会えないんじゃないかっ…て。」
とん、とん、と頭を撫でていた武尊の手が止まり、その手は俺の背中にまわる。
「………………………………そうか。」
その手が少し強く俺を掴み、
俺の髪をワサワサと触りながら頭にもどす。
「……………じゃあ、俺も寝ない。」
「……え?」
子供をあやすように慰めていたはずの大人が
こんな拗ねたような言い方をするとは思わなかった。
「………………俺も、お前と一生会えなくなんのは嫌だから。」
「……そっ…かぁ…一緒…………よかっ……た」
まるで、気を失うかのように、
深く、深く沈むように、俺は眠ってしまった。
⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻ ⿸
「…………………………ふわぁっ」
武尊が眠そうにあくびをする。
「……武尊、授業中寝てただろっ」
「…………まぁなっ誰かさんのために俺、
朝まで起きてたんで。」
「……?!えっ……俺が寝たあとも結局起きてたのっ」
「……………………ん、お前の寝顔みてた。」
おぉっ……………
ワァァァァァァァァァァァァァッ?!
ぬっ、ぬぁんと……恥ずか死ぬぅっ……
「俺はさ、この世界が終わっても、
またお前に会える気がしてるよ。」
「……そ、その根拠は?」
「………んー?お前、眠れなくなるくらい
俺の事好きだし。」
ちょっ、やめてくださいぃっ…………
「そ…そんなの、根拠になってねーよっ
ばかっ。」
実は今、俺もそんな気がしたことなんて、
こいつには一生いってやらねぇー
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