短編集

希紫瑠音

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貴方と共に

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 意識を失っていた様で、気がつけば布団の上に寝かされていたようで、傍に人の気配を感じて身を起こす。

 すぐ傍に土佐の姿があり、文机で何かを書いていたらしく、墨のついた筆を置いた。

「とさ、さま」
「話は後でゆっくりと。今はその体を清めるために風呂に入ろうね」

 その身を抱き上げられて大我は目を見開く。

「自分で歩けます」
「駄目。私が連れて行くよ」

 大丈夫だと言っても聞き入れてもらえず、そのまま風呂場に向かうことになった。

 羽織を脱がされ、一糸まとわぬ姿になると腰掛けに座らされ土佐は出ていく。

 一人になって、ホッとした。

 流石に妖魔に犯された体を、土佐にこれ以上は晒していたくなかった。

 体中についた妖魔の欲を洗い流す為に浴槽に張ってある温かい湯を桶にすくい取る。

 それを体にかけようとした時、後ろからその桶を支える手がある。

「え?」
「大我、私がやるからじっとしていて」

 どうやら着流しを脱ぐために居なかっただけのようだ。

 背中に感じる土佐の熱に、初めて彼を強く拒否する。

「俺、一人で平気です」

 体を隠す為に手で覆い隠す。だが土佐は外には出てくれないようだ。

「土佐様、お願いですから」
「それが大我の望みでも聞いてあげられない」

 そう言うと、土佐は大我を抱きしめて唇に口づけをした。

「んっ、やぁ、ん!!」

 触手に乱された口内に土佐の舌が入り込む。

 嫌だと逃げ出そうとするが、後頭部を押さえつけられて口づけはさらに深くなる。

「土佐様っ」
「大我が嫌がっても、私が洗う」

 後ろに座り濡れた手拭に石鹸を泡立てて体を丁寧に洗っていく。

 首筋を撫で、乳首を摘まみながら拭き、腹を撫でながら下へと動き、マラを擦りあげる。

 触手に犯され続けた体は少し触れただけで感じて快楽を与えはじめる。

「おやめください」

 身を震わる程の快楽に、必死で耐えるように身をよじれば、今度は手ぬぐいが太腿の上を撫でる。

「あっ」

 あんなに欲を放ったというのに下半身のモノは反応してたちあがってしまった。

 感度い反応を見せる身体に、ヒュッと息をのむ音が聞こえる。

「こんなに浅ましくて汚い身体になど触れてはいけません」

 そう、土佐に微笑んで見せる。平気だという姿を見せないと心配してしまうから。

 だが土佐の表情はかたく、静かな怒りを感じる。

「大我、浴槽に掴まって腰を突き出して」
「土佐様!」

 話を聞き入れてもらえずに困惑する大我に、言われたとおりにしろと表情で訴える。

「土佐様、お願いですから……」
「良いから、言うとおりにして!!」

 言葉を重ねるように言われるが、それを拒否するように大我は首を横に振るうが、手を掴まれて無理やり浴槽の縁を掴ませられた。

「何を」

 後から腰を掴まれ、指が後孔をかすめる。

「だめ、そこはっ」

 汚い欲が、詰まりきった箇所。

 おさまりきれない欲は、とろとろと太腿をつたい流れ落ちていく。

 ぐちゅっと音を立て、土佐の指が中へとはいりこんでいく。

「ひぃ、あ、あぁぁ……」

 中から掻きだされるのは無色透明で、まるで精液のようだ。

 それを何度か繰り返し、その度に大我は切なく声を上げる。

「あぁっ、これ以上は」
「イっていい」

 前に手を伸ばして蜜で濡れた大我のマラを擦る。我慢できなくて欲を放つと、そこを優しく指で撫でる。

「ん、土佐様、もう、これ以上は」

 離してくださいと、今だ自分のマラを撫でいている手の上に手を重ねば、土佐の手は離れていった。

 ホッとしたのもつかの間。

「大我、少し痛いよ」

 そう言うと後孔に硬い何かを挿入される。

「な、何? 嫌、これ、いやぁッ」

 ぶすぶすと奥まで突っ込まれて、痛いし気持悪いしで土佐の方へ振り向いてやめてほしいと訴えるが、風呂のお湯の中に薬を溶かし入れていた。

 鼻にツンとくる独特の匂に、今から何をされるのか怖くてたまらない。

「今から妖魔の毒を洗い流すから。気持悪いかもしれないけど我慢して」

 と、杓子でお湯をすくい、大我の後孔に挿入たモノへと注ぎ込む。

 どうやらそれは筒状になっているようで、中へと薬湯が中へと入り込んできた。

「いやぁぁ、土佐様、やめてください!!」

 暴れて拒否しようとする大我に、

「我慢して」

 そう強い力で抑え込まれて、中をいっぱいにして筒を抜き取ると、土佐の指が中身を掻きだしていく。

「やだっ」
「大我、お願いだから大人しくして」

 暴れる大我を押さえつけながら、何度もそれを繰り返す。

 やっと解放され尻を抑えてふるふると震えながら土佐様を見上げる。

 治療の為に土佐がしてくれた事なのだが、はじめて味わう感覚と気持が高ぶっているせいもあってか、大我は我慢できずに泣いてしまった。

「ごめん、気持悪かったね」

 大我を落ち着かせるように頬に手を添えてかるく口づけをする。

「さ、お湯につかろうか」

 抱きかかえられ、薬を溶かした湯の中へとはいる。

 その湯と土佐の温かさに、やっと心は落ち着いてきた。

「土佐様、もう、あれは、や、です」

 ぎゅっと抱きついて子供のような態度をとる大我に、そんな頭を撫でながら土佐は甘やかしてくれる。



 それから風呂から上がり、布団に連れられ治療を受け、苦い薬を飲んで眠りについた。


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