甘える君は可愛い

希紫瑠音

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年下ワンコはご主人様が好き

13・久世

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 会話をしながら暖かい食事を好きな人と一緒に食べる。楽しい時間はあっという間に過ぎ、片づけをし終えて三木本の部屋を後にする。

 途中、八潮と別れて波多と二人きりになった。

「料理、楽しかったです。作ったご飯も美味しかったし」

 ほぼ波多と三木本で作ったようなものだが、少しは手伝えたと思う。

「そうか。なら、帰ったら米を研いでセットしておけよ」
「はーい、先生」
「よし。なら家まで送ってけ」
「はい、喜んで」

 もともと家まで送るつもりだった。だが、波多からそう言いだしてくれるとは思わなかった。

 波多も、もう少し一緒にいたいと思ってくれたのだろうか。だったらいなと、気分よく歩く。

 部屋の前までおくり、離れるのが寂しいけれど「おやすみなさい」と言って帰ろうとすれば、待てと言って呼び止められ、この後の事を期待してしまうのは仕方がないと思う。

「波多さん」

 抱きつこうとしたら、波多の手が顔を掴んで止めた。

「うう、なんで」

 誘ってきたのは波多の方。なのに何故止めるのかというように見れば、

「夜のお誘いとか、そんなんじゃねぇし。ここで待ってろ」

 中へと入り、手に持っていた紙袋を手渡された。

「これは?」
「中身、見て良いぞ」

 そう言われて袋の中を見るとクッキーとマフィンが入っており、ほんのりと甘いにおいがする。

「もしかして、手作りですか!!」
「あぁ。所詮、素人の作る菓子だからなッ。前の彼女のとは比べんなよ?」
「そんなことしませんよ! 俺の為に作ってくれたんでしょう」
「……まぁ、な」

 自分の為にお菓子を作ってくれたのだ。嬉しくない訳がない。

「波多さん、嬉しい」

 大好きですと抱きついて、波多の頬に自分の頬を摺り寄せる。

 何度もしていたら、

「大輝、鬱陶しい!」

 と肩を押しやられて、それでも波多に甘えたくて、つい口に出る。

「あの、キスしていいですか?」

 その瞬間、波多が眉間にシワをよせた。

 調子に乗りすぎたかと、断られるかと覚悟すれば、

「……一回だけな」

 との返事に気分がよくなる。

「はい」

 がぶがぶと食らいついて、しつこくキスしていたらやりすぎだと怒られた。

 脚に少しきたのか波多がふらつき、腰に腕を回してその身を支える。

「平気だから、お前はもう帰れよ」

 全然平気そうには見えない。部屋の中まで連れて行くといったら、駄目だと言って手を払われた。

「うう、わかりました。明日、またお迎えにあがりますね」
「わかった。じゃぁ、おやすみ」
「おやすみなさい」

 部屋に入っていく波多を見送り、久世はドアを見つめながらキスした感触の残る唇を撫でる。

 今、誰かに顔を見られたら、不審者だと思われるくらいだらしない表情をしていることだろう。

「うう、駄目だ、駄目だ」

 頬を叩いて緩んだ顔を引き締める。

 ひとまず家に帰ろう。部屋の中ならどんな顔をしていても構わないのだから。

 紙の袋を目の高さまで持ち上げて見れば、波多の気持ちが嬉しくて、また久世の表情が緩みだした。





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