甘える君は可愛い

希紫瑠音

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年下ワンコはご主人様が好き

17・久世

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 ごく普通のカレーで良いと言われたが、そう簡単に作れるものではなかった。

 はじめの頃は具が煮たりないとか、ルーが多かったり少なかったり、ネットの情報をみて自分なりに試したりして色々と試したが、ごく普通の家庭的なカレーには程遠い絶望的な味しかしなかった。

 市販のカレールーを使いよくぞここまでまずいモノが出来るものだ。

 料理の才能が無いのではと、落ち込んだりもしたけれど、ルーのパッケージに書かれている分量通りに作ると美味いというのをネットで読み、素直にその通りに作ることにした。

 その結果、なんとか普通のカレーが出来たと思う。

「見た目と匂いはカレーだな」

 と鍋の中身を覗き込みながら三木本がポツリと言う。

「味もちゃんとカレーですよっ!」

 食べてから言ってくださいと、皿に米を盛ってカレーをかける。

「召し上がれ」

 席に座る三人の前にカレーを盛った皿を置き、自分も席の着いて頂きますと食べ始める。

 久世は感想が気になってカレーに手を付けずに待つ。

「うん、カレーだ」
「あまり辛くはないんだね」
「あ、はい。中辛と甘口のルーを入れたので」

 しかも甘口の方が多めだ。

「野菜は不格好だし、ルーを入れ過ぎだが……」

 まぁ、美味いとは言えないが良いんじゃないか、と、波多からおまけの合格を貰った。

「よかったです。練習したかいがありました」
「そうか」

 三木本が波多を見て、何かを促すように顔を動かす。

「後は波多が久世に教えるということで」
「料理教室は今日で卒業だ」

 実は三人で話し合って決めたそうだ。

「えぇっ、そうなんですか。なんか、寂しいですね」

 皆で料理をするの、楽しかったですと見わたす。

「たまに四人で集まって料理すればいいじゃない?」

 と八潮の提案に、皆は頷く。

「それまでにもっと腕を磨いておけよ」

 三木本に背中をおもいきり叩かれ、波多に視線を向ける。

「はい。波多さん、よろしくお願いします」
「あぁ。お前の面倒は一生見るつもり……、あっ」

 そう口にした後、口元を押さえる。

「波多君、言うねぇ」

 その言葉の意味に気が付いた八潮が、にやにやとした表情を浮かべている。

 三木本は傍観者にまわり、久世は二人の目の前で波多を抱きしめた。

「はい、俺も一生、翔真さんを愛しますから!!」

 スリスリと頬に頬を摺り寄せて、見えないハートを沢山とばす。

「えぇぃ、鬱陶しいわ、バカ犬」

 頬を掌で押し除けられ、体が離れる。

「はいはい。二人とも、後片付けはしておくからお帰りなさいな。色々とあるんだろう?」

 とウィンクをして見せる八潮に、

「……はい。後のことはよろしくお願いします。大輝。行くぞ」

 頬を染めた波多が、久世のネクタイを掴まれて引っ張る。

「八潮課長、三木本さん、失礼します」
「あぁ」
「ワンコちゃん、後でメール頂戴ね」
「はい、必ず!」

 手を振る八潮に振り返し、波多と二人きりになった所で、

「余計なことは書くなよ?」

 と釘をさす。

「はい。嘘は書きませんから」

 そう返事をしたら、何か言いたそうに口をパクパクとさせた後、肩を落として「もう、いい……」と何かをあきらめたかのように呟いた。
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