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ワンコな部下と冷たい上司
2・杉浦
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杉浦は行くとは返事をしていないが、きっぱりと断らなかったのも悪い。
いつもなら言えた言葉も、相手が八潮だと言えなくなってしまう。
「杉浦課長とご一緒出来るなんて嬉しいです」
やたらと楽しそうな松尾にウンザリしながら、杉浦はいつものようにつれない対応をする。
「食事をするだけですよ。貴方と会話を楽しむようなことはありませんので」
「えぇ。では、俺が勝手に話すのは良いでしょうか?」
それこそ迷惑な話だ。
「食事中は静かにお願いします」
「……解りました」
それは、渋々と承知するといった感じであった。
食事をするところは任せて欲しいと言われたが、何処へ連れて行かれるのかとヒヤヒヤした。
だが、向かった先は雰囲気の良い料理屋で、仕切りがついていて他人の目を気にしなくていい。
「ほぅ」
意外だと松尾を見れば、小さくガッツポーズをして見せる。
「何を食べます?」
メニューを手渡され、興味深い料理名が並ぶ。
「ここは独創性のある創作料理が多いんですよ」
「そうですか」
確かに興味がそそられるような料理名が並ぶ。だが、杉浦の目はついデザートの部分に向けられてしまう。
「美味そうですね」
それに気が付いた松尾がメニューを指さし、
「季節のものを使った和菓子はお勧めですよ」
と、前に食べた時はこんなだったと説明をする。
「それは楽しみです」
注文を済ませて料理を待つ。
会話をするつもりなどなかったのに、短いながらも話をしていた。
はっと我に返り相手を見れば、口元を緩めていた。
「何、にやにやとしているんですか。調子に乗らないでください」
睨みつけるがそれでも嬉しそうな顔をやめない。これではうまくペースにのせられてしまいそうだ。
もう話さないとばかりに唇をきつく結ぶ。拳を握りしめ身動きもせずに料理を待つ。
そんな杉浦のことを黙って松尾は見ていて、その視線が鬱陶しくて顔をそむける。
重苦しくて嫌な空気だ。
ここに座っているのが苦痛になってきて煙草を吸いたくなってきたが、
「失礼します」
襖が開き、給仕が料理を運んできた。その瞬間、落ち着かなかった気持ちが消えた。
「頂きます」
と手を合わせる松尾の声に、合わせるように杉浦も手を合わせた。
「う~ん、おいしい」
本当に美味そうな表情をしていて、それをみた杉浦も一口料理を運ぶ。
「本当ですね」
「ですよね、あ、これも良い味ですよ」
意外な組み合わせが、互いの味を邪魔せずに上手く混ざり合う。
「えぇ、そうですね」
あっという間に平らげてデザートを堪能する。松尾が言う通りで見た目も味も最高であった。
支払いは別々に済ませて店を出た所で別れたかったが、駅まで向かうのは同じなので松尾が後ろからついてくる。
「課長とこうして並んで歩いているのが夢のようです」
「そうですか」
くだらないと思ったが、美味い料理を食べた後で気分が少し良い。なのでそれを口にするのはやめた。
「八潮課長に感謝しないといけませんね」
「私は迷惑していますけどね」
あの時、あんなことを言いださなければ、今、こうして彼と一緒に歩いてはいないだろう。だが、あの店を知ることはできなかった。
「ですが、あの店は気に入りました」
「そう言って貰えてよかったです」
「よい仕事をするので」
「……杉浦課長って仕事ができるかできないかですよね」
それ以外に何があると言うのだろうか。
訳が分からないと顔を顰めれば、松尾はそれに対して何も答えない。
特に答えが欲しいわけではないので、後は黙って駅まで向かった。
いつもなら言えた言葉も、相手が八潮だと言えなくなってしまう。
「杉浦課長とご一緒出来るなんて嬉しいです」
やたらと楽しそうな松尾にウンザリしながら、杉浦はいつものようにつれない対応をする。
「食事をするだけですよ。貴方と会話を楽しむようなことはありませんので」
「えぇ。では、俺が勝手に話すのは良いでしょうか?」
それこそ迷惑な話だ。
「食事中は静かにお願いします」
「……解りました」
それは、渋々と承知するといった感じであった。
食事をするところは任せて欲しいと言われたが、何処へ連れて行かれるのかとヒヤヒヤした。
だが、向かった先は雰囲気の良い料理屋で、仕切りがついていて他人の目を気にしなくていい。
「ほぅ」
意外だと松尾を見れば、小さくガッツポーズをして見せる。
「何を食べます?」
メニューを手渡され、興味深い料理名が並ぶ。
「ここは独創性のある創作料理が多いんですよ」
「そうですか」
確かに興味がそそられるような料理名が並ぶ。だが、杉浦の目はついデザートの部分に向けられてしまう。
「美味そうですね」
それに気が付いた松尾がメニューを指さし、
「季節のものを使った和菓子はお勧めですよ」
と、前に食べた時はこんなだったと説明をする。
「それは楽しみです」
注文を済ませて料理を待つ。
会話をするつもりなどなかったのに、短いながらも話をしていた。
はっと我に返り相手を見れば、口元を緩めていた。
「何、にやにやとしているんですか。調子に乗らないでください」
睨みつけるがそれでも嬉しそうな顔をやめない。これではうまくペースにのせられてしまいそうだ。
もう話さないとばかりに唇をきつく結ぶ。拳を握りしめ身動きもせずに料理を待つ。
そんな杉浦のことを黙って松尾は見ていて、その視線が鬱陶しくて顔をそむける。
重苦しくて嫌な空気だ。
ここに座っているのが苦痛になってきて煙草を吸いたくなってきたが、
「失礼します」
襖が開き、給仕が料理を運んできた。その瞬間、落ち着かなかった気持ちが消えた。
「頂きます」
と手を合わせる松尾の声に、合わせるように杉浦も手を合わせた。
「う~ん、おいしい」
本当に美味そうな表情をしていて、それをみた杉浦も一口料理を運ぶ。
「本当ですね」
「ですよね、あ、これも良い味ですよ」
意外な組み合わせが、互いの味を邪魔せずに上手く混ざり合う。
「えぇ、そうですね」
あっという間に平らげてデザートを堪能する。松尾が言う通りで見た目も味も最高であった。
支払いは別々に済ませて店を出た所で別れたかったが、駅まで向かうのは同じなので松尾が後ろからついてくる。
「課長とこうして並んで歩いているのが夢のようです」
「そうですか」
くだらないと思ったが、美味い料理を食べた後で気分が少し良い。なのでそれを口にするのはやめた。
「八潮課長に感謝しないといけませんね」
「私は迷惑していますけどね」
あの時、あんなことを言いださなければ、今、こうして彼と一緒に歩いてはいないだろう。だが、あの店を知ることはできなかった。
「ですが、あの店は気に入りました」
「そう言って貰えてよかったです」
「よい仕事をするので」
「……杉浦課長って仕事ができるかできないかですよね」
それ以外に何があると言うのだろうか。
訳が分からないと顔を顰めれば、松尾はそれに対して何も答えない。
特に答えが欲しいわけではないので、後は黙って駅まで向かった。
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