9 / 17
進
しおりを挟む
街灯がないと男であっても1人で出歩くのは怖いな。そう思いながら一応繁華街とも呼べなくもない商店街を歩いている。目的は特にないがなんとなく惹かれる店があった。
Fantom
煌々と暗闇に水色のネオンが浮かび上がるら黒塗りの壁に真っ白のドア。躊躇せずに足を踏み入れる。
「いらしゃいませ」抑揚のない声で軽く微笑みかけるように黒服の男が言った。
「お一人様ですか」と黒服。そうですがと進は頷くとすぐ横のソファーに案内される。
「ご指名とかはありますか、本日出勤している者のリストでございます」少し厚めの本を出しながら問うてきた。本を見ながら進はソープを思い浮かべるが、フロアは見えているのでその考えは打ち消し名前に目を遣る。
最初の頁に記載されているのは売れっ子だと、一目で分かる。進は一通り順に本を捲っていく、後半の頁で「凛」とゆう名前に手が止まる。この子を指名しますと告げると、意外だったのか少し黒服があたふたしながら言った。「かしこまりました」ではこちらへ。と小さなボックス席に案内される。
浅く腰掛け他の席を見渡す。水曜日と時刻のせいもあってか混雑している様子もなく空いてる席が目立った。程なくして黒服の男と共に指名の女がやって来た。
「ご指名ありがとうございます。凛です」幼さが仄かに残る顔立ちで化粧の下の肌は綺麗だった。
どうして指名してくださったのですかと問うてくる。
ただ名前が目に留まったと伝え、いけなかったかと逆に問い返した。
少し戸惑う様子を見せそんな事はないですよと手を振って否定して、ありがとうございますと微笑んだ。その笑顔が作っていると分かっていても吸い寄せられるようだった。
手際も程々によくブランデーの水割りをすっと差し出し「お名前教えていただいてもいいでしょうか」さりげなく聞いてくる。
進と下の名前だけボソッと呟く。
そこからはマニュアル本でもあるかのような言葉のキャッチボールが続いた。それもどちらかとゆうと進が積極的に質問していた。
あっとゆう間に時間が過ぎていく。
店を出たのは24時を少し過ぎた頃だった。
ありがとうございましたとゆう声を背に受け、タクシーも呼ばず商店街の店の灯りも次いでいない道を歩きだす。帰り際に凛が「よければ連絡下さいね」と言った時、待ってましたとばかりに内心でガッツポーズをする。手渡された名刺には個人の携帯が書かれてあった。ポケットにしまっていたそれを取り出し携帯にメモリ登録する。今日はもう遅い。「明日以降にでも連絡するか」1人で呟きながら別の番号をプッシュし発信する。コール音が聞こえると共に仕事の始まりだな。とまたしても1人呟やいた。
Fantom
煌々と暗闇に水色のネオンが浮かび上がるら黒塗りの壁に真っ白のドア。躊躇せずに足を踏み入れる。
「いらしゃいませ」抑揚のない声で軽く微笑みかけるように黒服の男が言った。
「お一人様ですか」と黒服。そうですがと進は頷くとすぐ横のソファーに案内される。
「ご指名とかはありますか、本日出勤している者のリストでございます」少し厚めの本を出しながら問うてきた。本を見ながら進はソープを思い浮かべるが、フロアは見えているのでその考えは打ち消し名前に目を遣る。
最初の頁に記載されているのは売れっ子だと、一目で分かる。進は一通り順に本を捲っていく、後半の頁で「凛」とゆう名前に手が止まる。この子を指名しますと告げると、意外だったのか少し黒服があたふたしながら言った。「かしこまりました」ではこちらへ。と小さなボックス席に案内される。
浅く腰掛け他の席を見渡す。水曜日と時刻のせいもあってか混雑している様子もなく空いてる席が目立った。程なくして黒服の男と共に指名の女がやって来た。
「ご指名ありがとうございます。凛です」幼さが仄かに残る顔立ちで化粧の下の肌は綺麗だった。
どうして指名してくださったのですかと問うてくる。
ただ名前が目に留まったと伝え、いけなかったかと逆に問い返した。
少し戸惑う様子を見せそんな事はないですよと手を振って否定して、ありがとうございますと微笑んだ。その笑顔が作っていると分かっていても吸い寄せられるようだった。
手際も程々によくブランデーの水割りをすっと差し出し「お名前教えていただいてもいいでしょうか」さりげなく聞いてくる。
進と下の名前だけボソッと呟く。
そこからはマニュアル本でもあるかのような言葉のキャッチボールが続いた。それもどちらかとゆうと進が積極的に質問していた。
あっとゆう間に時間が過ぎていく。
店を出たのは24時を少し過ぎた頃だった。
ありがとうございましたとゆう声を背に受け、タクシーも呼ばず商店街の店の灯りも次いでいない道を歩きだす。帰り際に凛が「よければ連絡下さいね」と言った時、待ってましたとばかりに内心でガッツポーズをする。手渡された名刺には個人の携帯が書かれてあった。ポケットにしまっていたそれを取り出し携帯にメモリ登録する。今日はもう遅い。「明日以降にでも連絡するか」1人で呟きながら別の番号をプッシュし発信する。コール音が聞こえると共に仕事の始まりだな。とまたしても1人呟やいた。
0
あなたにおすすめの小説
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月るるな
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる