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帰ってきました

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「あー。我が家が一番だな」
 俺は、小屋で毛皮とクッションにまみれて、ごろごろしていた。
「いっちばーん」
 ヤトも、ごろごろしている。
 ヨウコは、土間の竈でご飯の調理をしているので、少しだけ悪い気はしたが、俺たち二人だって、がんばったのだ。

 ワー・ウルフ兄妹の小屋から帰ったが、彼らが来るまで、特にやることはない。
 のだが、露天風呂の拡張工事を行った。
「男女、交代制にすれば良いかと思いますけど、お父様」
「それだと、全員が入り終わるのに時間がかかるからな。交代と思うと、のんびりできないだろう?」
「のんびり?大丈夫だよ。パパ」
「お姉様は、もうちょっと、ちゃんと身体洗いましょう」
 少なくとも、兄妹がいる間は、男女別にする必要があるだろう、ともうひとつ湯舟をつくり、間に壁をつくった。
 その壁を利用して、一部だけだが、屋根もできた。
 これで、雨でも安心だ。
 ので、俺たちには、ごろごろする権利がある。

 別に、ヨウコは、怒ってないし、むしろごろごろしている俺たちを、調理の合間に楽しそうに見ているのだが、ついつい言い訳してしまう。
「ご飯、できましたよー」
 テーブルに運び終えたヨウコを、抱きしめておく。
「え、きゃ?」
「ヨウコ、お疲れ様。ありがとう」
「ありがとー」
 ヤトも抱き着いた。
「どういたしまして、お父様。お姉様」
 とてもいい笑顔だったので、調子にのって、二人を抱きしめたまま、床をごろごろした。
「パパ、お腹へった」
「お父様、ご飯が冷めます」
 前は喜んでくれたのに、タイミングが娘たちには不評で、反省した。
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