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アイディアの出し方、文章の書き方の練習法

写真で一話書いてみる

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今回は、アイディアを出す練習法のご紹介です。
オレが悩んでるのは、そんなレベルじゃねえんだよ、という方にとっては駄文です。

題名の通り、写真をお題にショートショートを一話、書く方法です。
起承転結やオチを求める必要はありませんし、物語にならずに、断片的なメモでも十分。

写真は何でも結構。
簡単なのは、Twitterのタイムラインから適当に選ぶか、google等での検索を「画像」でするか、などです。
検索ワードは、それこそ「あ」と打って変換された言葉で十分ですし、「今日は××の日」からなど、もバラつき具合が適当でいいです。

あとは、その写真(イラストでもいいですが)を元にサクサクっ、とアイディアを考えて、書きましょう。
アイディア3分、書くの5分くらいでしょうか。
更に2分で、自己評価です。

では、具体的にやってみましょう。
お題の写真は、仮に「蝶に手を伸ばす少女」としましょう。

<例>
私の能力は「蝶」。
電撃を蝶の形にし、飛ばすことができる。
本物の蝶程度の速度でしか飛ばせないが、そこは使いようだ。
もちろん一匹であれば、簡単に避けられる。
では、多数だったら?
アナタは、周りを漂う「蝶」に、動かないことを選択するかもしれない。
ただそれでは、私の思う壺だ。
この手の銃が、狙っているのだから、動かなければ、ただの的だ。
銃弾を避けた先には、「蝶」が待っている。
触れれば痺れ当然、射撃の的だ。
そう、私の「蝶」は、絡めとる蜘蛛の側なのだ。

異能の暗殺者なお話です。
能力が静的なので、主人公よりは脇役や敵っぽいですが、いろいろ応用が利きそうな能力です。
電撃からのレベルアップや、「××の陣!」とか、変化もつけやすそう。


慣れてきたら、同じ写真で、更に複数のアイディアを出します。
「喜怒哀楽」などの方向性をつけて考える方法もありますが、限定してアイディアの幅が狭まるよりは、自由に考えた方がよろしいかと。
逆に浮かばないときに、「喜怒哀楽」だったら、どうだろう程度で。

では、例えば、

<例2>
蝶は、人の魂の化身だ、というのは中国の物語だったろうか。
私は、蝶を殺すことで、人の魂を殺すことができる。

ちょっと、先の異能の暗殺者に引きずられすぎですね。
蝶=>魂=>それで殺す、という発想は意外ではありますが、出オチ感が強いです。
じゃあ、人類と蝶は同じ数いるのかよ、とツッコミたくなりますし、どう人と蝶が結びついているのか?
条件をクリアするタイプの話にしても、展開は難しそうです。
ので、早々に書くのを諦めてまして、短いです。

<例3>
私には、蝶の幻影が見える。
その蝶は「痛み」で、色が白ければ軽い。
ああ、あの女性の指に巻かれた絆創膏に、白い蝶が止まっている。
調理中に包丁で切ったのだろうか。
色が濃くなるほど、「痛み」は強くなる。
黒い蝶は、死に至るほどだ。
私は、その蝶に触れられる。
そう、蝶を取り除くことで、その「痛み」を取り除くことができるのだ。

蝶=>死=>病=>取り除いて癒し、という発想です。
見えるだけなら、展開が難しいですが、取り除くことで、いろいろ書けそうです。
それを別の人に移したら、どうなるか、とか。
取り除く代償、とか。
「世界の痛み」が見えてきたり、とか。
ほっこりした話から、ダークな方面まで、幅広くやれそうです。

<例4>
その蝶で、人類は滅んだ。
正確には、文明は滅んだ。
その蝶の燐粉によるアナフェラキシーショックの発症率は百パーセントで、瞬く間に、人は死んでいった。
唯一の救いは、アナフェラキシーショックは、燐粉との二度目の接触で起こることだ。
僅かに生き残った人々は、蝶に怯えて、隠れるように暮らしている。
蝶が飛べない雨の日を待ち望みながら。

蝶という弱い生物に怯える世界観です。
まあ、出オチではありますが、一度では死なず二度目で、というのが、特色でしょうか。
一度、接触したから後がない人と、未接触者の目線の違いとか。
蝶を世界の代弁者で人は害毒、とみなす宗教とか。
世界崩壊設定のアイディアであって、物語には影響しにくいので、逆に手軽に使えるかもしれません。

<例5>
蝶を追った幼い私は、運命の人と出会った。
もちろん、その腰にしがみついてしまった私も、しがみつかれた親ほども年の離れた彼も、そんな運命だとは、そのときは思いもしなかったけど。

・・・すみません。
この分野は苦手なので、書いたものの進みません。

<例6>
バタフライ効果。
それは、小さな出来事が、大きな影響を与える現象。
そんな風に、彼はソッ、と私の心に染み込んできた。

言葉の響きだけですね。
そろそろ苦しくなってきました。

<例7>
蝶に手を伸ばした少女が、空を見上げる、と無数のドラゴンが舞っていた。

もはや蝶がほぼ関係ないです。
30分ほどでは、このくらいが限界でしょうか。

こうやって書き出す、と良いアイディアだ、と思っても使いにくかったり、適当な発想が、意外な広がりをもっていたりすることに気がつきます。
頭の中にあるだけだ、とトテモとても素晴らしいアイディアにしか思えないのですが。
そのうち、あまり書かずに、「使えなさそう」はわかってくるので、思いつきのアイディアで突っ走って書いて困る、といった失敗をしにくくなります。

この手法は、練習だけでなく、物語の閑話休題や、番外編にも使えます。
写真(イラスト)の人物を登場人物に置き換えて、考えるだけです。

いきなり長編を書こう、として失敗した経験のある方は、お試しください。

要約すると「写真で一話書いてみる」でした。
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