【1クール終】恋愛で痩せますか?いいえ痩せるならXXX運動です

まみ夜

文字の大きさ
17 / 59
05&06:食事、どうする?

Aパート

しおりを挟む
 きっかけは、昼食時の会話だった。
 その日は、佐伯さんが出張でいないのと、外が雨だったので、ビル内にあるコンビニで買って、食べることにした。
 佐伯さんがいれば、ランチに誘ってくれるのだけど、意外に百目鬼君や山崎さんとも仕事でのスレ違いが多く、一人で食べることが、何度かあった。
 百目鬼君は弁当男子で、いつもお弁当を持参している。
 山崎さんが、ちょうど出先から戻ってきたので、三人で会議室で食べることにした。
 ちなみに、予定が入っていなければ、会議室は開放されていて、食事をしたり、休憩に使ったりできるようになっている。
 転職したこの会社には、社員食堂はなく、昼食補助金が出ていた。
 一人で食べるのではないので、自分的にちょっとカッコつけて、サンドイッチとショートパスタ入りのスープにした。
 自分だけだったら、オニギリに一応小さ目のカップラーメンにしたりしていた。
 綺麗になる?
 痩せる?
 その前に、お仕事をしなければいけないのだ。
 空腹は、お仕事の敵だ。
「相変わらず、味気ない弁当」
 お豆腐入りで色鮮やかなサラダのパッケージを開けながら、山崎さんが言うので見る、と百目鬼君がプラスチック製のお弁当箱のフタを取ったところだった。
 むむ、私が高校生のときのお弁当箱より、小さいんじゃないか?
 中身は、豚肉の生姜焼きっぽいのがメインで、ブロッコリーの緑はあるが、見た目が華やかとは言えなかった。
 その中でも、
「ご飯、味付けなの?」
 全体を茶色い印象にしているのが、茶色いご飯だった。
「白米じゃなくて、玄米なんですよ、これ」
「玄米って、美容系のタレントさんとかが食べてるやつ?」
「タレントがどうかは知らないですけど、食物繊維が多くて、便秘とかにもいいんですよ」
 山崎さんが、眉根を寄せた。
「食べてるときに、ソッチの話は止めて」
 確かに食事中だ。
 だがしかし、便秘にいいとか、興味あるぞ。
「ご飯に混ざっているのは、胡麻?」
「チアシードです。肌にいいし、これも食物繊維が多いんですよ」
 ちあしーど?
 初めて聞いた言葉だ。
 これも便秘によさそうだから後で、ググってみよう。
「お肉、ササミじゃないんだね?」
 生姜焼きっぽい豚肉を箸でつまむ百目鬼君に聞く、と彼は首を傾げた。
 山崎さんも頭の上にクエスチョンマークを浮かべ、すぐそれをビックリマークに変えた。
「まさか、鍛えてる人は、ササミしか食べないイメージ?」
 はい、その通りです。
「だって、前にテレビで視たもん」
 その番組では、ひたすら茹でただけで味もつけないササミを貪っていたのだ。
「ま、まあ、そういう人もいますけど、僕は今、そんなに絞っているわけではないですから。カロリー的にも、PFCバランス的にも範囲内なんですよ」
 ぴーえふしー?
「プロテイン、ファット、カーボ」
「つまり、タンパク質、脂質、炭水化物をどうバランス良く食べるか、ということですね」
「ああー、糖質制限とかのこと?」
 百目鬼君が目を逸らし、山崎さんが遠い目をした。
「糖質制限、それを盲信した時期もあった」
 なんだか、言ってはいけないことを口にしてしまったようだ。
「それ、糖質」
 山崎さんが、テーブルに置かれた私のサンドイッチのパンを指さした。
「それも糖質」
 プラスチックのフォークですくっていたショートパスタに指を移動させた。
 思わずスープに落としたネジネジのパスタが、飛沫を上げる。
「そのトロミも糖質」
 会議室が静まりかえった。
 山崎さんが咀嚼する、サラダの水菜だろうか、シャクシャクいう音が、響くようだ。
「あの、ショージさん。糖質制限って、何でするか知ってますか?」
 えーと、血糖値がどうとかで、
「糖質が、太りやすいからでしょ」
「ぶぶー」
 山崎さんの口効果音に苦笑しながら、
「極論を言えば、何を食べても、消費カロリーより、摂取の方が多ければ、体重は増えます。糖質制限は、面倒くさいカロリー計算を諦めて、糖質つまり炭水化物を減らすことで、摂取を減らして痩せよう、という考え方です」
 あれ?
 なんだか聞いたのと違う。
「糖質を制限すれば、何でも食べていいんじゃない?」
「最近は、錬金術でも等価交換。たくさん摂れば、たくさん体重も増える」
 糖質制限って、お肉食べ放題じゃないの?
 食べ終わったサンドイッチの空パッケージが目に入る。
 できてないけど、糖質制限。
「ショージさん、ご自分が、どのくらい食べたらいいか、知ってますか?」
「腹八分目くらい?」
「ナイスボケ」
「え?」
「え?」
 真面目に答えたのに、山崎さんのリアクションの意味がわからない。
 山崎さん、驚いてるのに、無表情に目だけを見開くの止めて、怖い。
「ショージさん、基礎代謝って知ってますか?」
「排卵日とかがわかるやつ?」
「それ基礎体温です」
 ???
 アナタハ、ナニヲイッテイルノデショウカ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...