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05&06:食事、どうする?

Bパート

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「じゃあ、一日の摂取カロリーを千八百キロに、とりあえずしてみましょう」
 何事もなかったかのように言う百目鬼君を無視して、猫耳っぽいカチューシャを外している山崎さんに聞いた。
「それも私物?」
「はい、もちろん。以前からの私物」
 うん、似合ってたけど、似合って可愛かったけど私物って、しかもどこから出したのそれ?
「運動を始めてますから、どのくらい減るかで、運動量や摂取量をコントロールしていきましょう」
 戸惑う私の方がおかしい、とばかりに話を進める百目鬼君。
「喜んでください。運動経験が少ない分、効果が出るのも早いと思いますよ」
 その前に、どうして体重を知っているの?
 体脂肪率も計れる体重計を手配しているらしいけど、まだ届いていない。
 体重が、白日の元、特に佐伯さんに知られるのは、まだまだ先だと思っていたのに。
「着替えで見て」
 確かに、ウェアに着替えるときに、山崎さんに身体は見られている。
 でも、私だって、ロッカールームを、下着姿でウロウロしたりしない。
 あんな、短時間で?
「デッサンとかで、慣れてるから」
 そういえば、芸大に落ちたとか、言ってた。
「佐伯先輩には、言ってないから」
 二人でサムズアップしてきたが、それ反応が違う。
 いろいろな意味で、私は肩を落とし、
「焼肉」
「「え?」」
「同じカロリーなら、焼肉食べるの!毎日!」
 佐伯さんを振り向かせるために、綺麗にはなりたい。
 でも、食べるのだって諦めたくない。
 その妥協点が、毎日焼肉だった。
「「ああー」」
 二人が、視線を上にやりながら、ため息をついていた。
 その視線の先には毎朝、前日の焼肉で、顔をテカテカにして出金する、想像上の私が視えているのだろうか。
 二人はカクン、と視線を現実の私に戻して、口を揃えて言った。
「「PFCバランス」」
 なんで、そんなに息が合ってるの?
 つい最近、聞いたような?
 でも、なんだっけ?
 ???
 アナタハ、ナニヲイッテイルノデショウカ?
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