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02:一目惚れ、どうする?
Bパート
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「先輩が、ショージさんとは今日が初対面だって言ってたから、一目惚れでしょ?」
ナニヲイッテルノデスカ、アナタハ?
「あれ?もしかして、事前に写真とか、もらってました?」
うわ、それお願いしておけばよかった。
「まさか、」
驚き、うろたえ、が私の表情に出たのだろう。
それに「え?」という顔をしていた山崎さんが、恐る恐る、といった感じで、
「そんなに目からキラキラハートマーク飛ばしておいて、バレてないとでも?」
き、きらきら、はーと、まーく?
「え?いやだって、そんなはずは」
「策士ではなくて、天然か」
山崎さんは呟いて、ため息をつき、
「東海林さん、いえ香恋さんって、呼んでいい?腹を割って話そう?」
彼女の真剣な顔に、思わず頷いてしまう。
香恋という名は、「恋」の字が入っているのに、恋愛に縁がない私のコンプレックスを刺激してきて、嫌いだったのに。
「香恋さんは、処女?」
ぐぼっ、と朝ご飯に食べた、昨日スーパーで半額で買ったオニギリ二個を吐き出しそうになった。
もう、ほとんど消化吸収されているはずなのに。
しょ、処女ではない、ないけど経験は少ない。
いやあれは、勢いというか、若気の至りというか。
そんな反応に、山崎さんは、ほっとした顔をした。
「処女では、応援の難易度が高いから」
応援?
「僕も応援しますよ。先輩は年上で上司。お似合いです」
「でも、問題は、佐伯先輩の朴念仁さ加減。あのキラキラハートビームにまったく気がつかないんだから」
「そこが、先輩の魅力の一つなのが、分からないですかねえ」
「でた!佐伯教徒の魅力認定」
目から出るの、ビームになってますよ?
ビームの件はスルーされて、「うーん」と腕を組んで悩む二人。
あの、いったいナニが起きているんでしょうか?
なんということでしょう、勝手に恋愛作戦会議が始まり、いろいろ質問されて、シドロモドロに答えた。
「おや、随分と仲良くなったみたいだね」
電話から打ち合わせ室に戻った佐伯さんが言った。
「「はい」」
と二人は応えたが、私は事態に戸惑ったままだった。
あたしは、香恋さんが処女ではない、と聞いて、ほっとした反面、残念だったのを、必死に顔に出さないようにしていた。
処女同士だったら、もっとよかったのに、と思ったからだ。
周りからは、モテモテだとか、恋愛マスターとか、思われているようだけど、あたしは処女だ。
なぜなら、女性が好きだから。
そんな自分に気がつかされたのは、初潮前の小学校での性教育で。
男女で子供をつくる、そう聞かされて、女の子同士ではダメなのが、不思議だった。
正直あたしは、まだ自分のセクシャルを受け入れられてはいない。
だって、女性に、女性が性的に好きだ、と言った瞬間に、変わる表情を、ドラマなどで、何度も視てきたから。
とりあえず処女を捨ててみたりとか、考えないでもなかったけど、踏み切れていない。
だから、男女ともに恋愛経験も性的な経験もない。
初対面の香恋さんは、太めだけど、カワイイ人だ。
実は、一目惚れといってもいい。
もちろん、告白する気は、ない。
だけどもし、彼女を応援して、彼女の恋愛が成就したら、何かが変われるのだろうか?
でもそれって、あたし的には、失恋になるの?
僕は、同じ人を好きな者同士、ショージさんに親近感を覚えていた。
入社初日に、初対面の先輩に一目惚れしたのも、同じだった。
僕は、男女に関係なく、好きになる。
実は、サッキーも知らないだろうけど、彼女の入社前に、告白して、フラれていた。
僕を気遣ってか、セクシャルなことに触れた断固拒否ではなく。
「部下なので、弟というか、家族としか思えないので、ごめん」と柔らかに断られたから、どこか心の根っこで、まだチャンスがあるのでは、と思っている自分がいる。
先輩をアダ名で呼ばないのは、「家族」と言われたことへの甘え、とフラれた微妙な距離感からなのかも。
容姿に恵まれたせいか、男女ともに恋愛経験も性的な経験も豊富だ。
だけど、どこか満たされない。
女性は、男性にも興味がある、と知れば、自分との関係が「普通」を装うための遊びではないかと疑われ。
男性は、女性にも興味がある、と知れば、今に「普通」を求めて自分を捨てると非難され。
結局、僕のセクシャルをちゃんと受け止めた上でフってくれたのは、先輩だけだった。
そんな先輩には、幸せになってほしい。
その相手が僕でない、としても。
だから、ショージさんを応援したかったのかもしれない。
少しだけ、嫉妬もあるかもしれないけど。
だからもし、彼女を応援して、彼女の恋愛が成就したら、先輩を心底諦められるのだろうか?
でもそれって、僕的には、失恋になるのか?
ナニヲイッテルノデスカ、アナタハ?
「あれ?もしかして、事前に写真とか、もらってました?」
うわ、それお願いしておけばよかった。
「まさか、」
驚き、うろたえ、が私の表情に出たのだろう。
それに「え?」という顔をしていた山崎さんが、恐る恐る、といった感じで、
「そんなに目からキラキラハートマーク飛ばしておいて、バレてないとでも?」
き、きらきら、はーと、まーく?
「え?いやだって、そんなはずは」
「策士ではなくて、天然か」
山崎さんは呟いて、ため息をつき、
「東海林さん、いえ香恋さんって、呼んでいい?腹を割って話そう?」
彼女の真剣な顔に、思わず頷いてしまう。
香恋という名は、「恋」の字が入っているのに、恋愛に縁がない私のコンプレックスを刺激してきて、嫌いだったのに。
「香恋さんは、処女?」
ぐぼっ、と朝ご飯に食べた、昨日スーパーで半額で買ったオニギリ二個を吐き出しそうになった。
もう、ほとんど消化吸収されているはずなのに。
しょ、処女ではない、ないけど経験は少ない。
いやあれは、勢いというか、若気の至りというか。
そんな反応に、山崎さんは、ほっとした顔をした。
「処女では、応援の難易度が高いから」
応援?
「僕も応援しますよ。先輩は年上で上司。お似合いです」
「でも、問題は、佐伯先輩の朴念仁さ加減。あのキラキラハートビームにまったく気がつかないんだから」
「そこが、先輩の魅力の一つなのが、分からないですかねえ」
「でた!佐伯教徒の魅力認定」
目から出るの、ビームになってますよ?
ビームの件はスルーされて、「うーん」と腕を組んで悩む二人。
あの、いったいナニが起きているんでしょうか?
なんということでしょう、勝手に恋愛作戦会議が始まり、いろいろ質問されて、シドロモドロに答えた。
「おや、随分と仲良くなったみたいだね」
電話から打ち合わせ室に戻った佐伯さんが言った。
「「はい」」
と二人は応えたが、私は事態に戸惑ったままだった。
あたしは、香恋さんが処女ではない、と聞いて、ほっとした反面、残念だったのを、必死に顔に出さないようにしていた。
処女同士だったら、もっとよかったのに、と思ったからだ。
周りからは、モテモテだとか、恋愛マスターとか、思われているようだけど、あたしは処女だ。
なぜなら、女性が好きだから。
そんな自分に気がつかされたのは、初潮前の小学校での性教育で。
男女で子供をつくる、そう聞かされて、女の子同士ではダメなのが、不思議だった。
正直あたしは、まだ自分のセクシャルを受け入れられてはいない。
だって、女性に、女性が性的に好きだ、と言った瞬間に、変わる表情を、ドラマなどで、何度も視てきたから。
とりあえず処女を捨ててみたりとか、考えないでもなかったけど、踏み切れていない。
だから、男女ともに恋愛経験も性的な経験もない。
初対面の香恋さんは、太めだけど、カワイイ人だ。
実は、一目惚れといってもいい。
もちろん、告白する気は、ない。
だけどもし、彼女を応援して、彼女の恋愛が成就したら、何かが変われるのだろうか?
でもそれって、あたし的には、失恋になるの?
僕は、同じ人を好きな者同士、ショージさんに親近感を覚えていた。
入社初日に、初対面の先輩に一目惚れしたのも、同じだった。
僕は、男女に関係なく、好きになる。
実は、サッキーも知らないだろうけど、彼女の入社前に、告白して、フラれていた。
僕を気遣ってか、セクシャルなことに触れた断固拒否ではなく。
「部下なので、弟というか、家族としか思えないので、ごめん」と柔らかに断られたから、どこか心の根っこで、まだチャンスがあるのでは、と思っている自分がいる。
先輩をアダ名で呼ばないのは、「家族」と言われたことへの甘え、とフラれた微妙な距離感からなのかも。
容姿に恵まれたせいか、男女ともに恋愛経験も性的な経験も豊富だ。
だけど、どこか満たされない。
女性は、男性にも興味がある、と知れば、自分との関係が「普通」を装うための遊びではないかと疑われ。
男性は、女性にも興味がある、と知れば、今に「普通」を求めて自分を捨てると非難され。
結局、僕のセクシャルをちゃんと受け止めた上でフってくれたのは、先輩だけだった。
そんな先輩には、幸せになってほしい。
その相手が僕でない、としても。
だから、ショージさんを応援したかったのかもしれない。
少しだけ、嫉妬もあるかもしれないけど。
だからもし、彼女を応援して、彼女の恋愛が成就したら、先輩を心底諦められるのだろうか?
でもそれって、僕的には、失恋になるのか?
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