【1クール終】恋愛で痩せますか?いいえ痩せるならXXX運動です

まみ夜

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02:一目惚れ、どうする?

Aパート

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「僕は、百目鬼一(どうめき はじめ)。入社五年目です」
「こう見えて、メッキーは、体育大出身なんだ」
 打ち合わせ室で、挨拶の後、自己紹介を受けていた。
 メッキー?
 苗字の珍しさよりも、アダ名の方が気になる。
 誰がつけたのだろう?
 ちょっとセンスが。
「こう見えて、はないでしょ、先輩」
 百目鬼君の反論に、笑う佐伯さん。
 笑顔が素敵だ。
 百目鬼君は、スーツの上からだと、細身に見える爽やかイケメンだ。
 爽やかさでは、佐伯さんの方が上だけど。
 そんな視線を感じたのか、
「アーチェリーやってたので、脱いだら、それなりですよ」
 とウィンクしてきた。
 それで、体育系なのに、髪が長めなのか、と思ったのはアーチェリーへの偏見だろうか。
 入社五年だから、二十七歳くらい。
 モテるんだろうな。
 というか、チャラいのかな?
「あたしは、山崎萌(やまさき もえ)入社三年目」
「山崎は、手先が器用で、イラストとか上手いんだ」
 ヤマ「ザキ」じゃあないんだ。
 学校のクラス替えごとに、先生に読み方間違えられて大変そうだ。
「芸大、落ちましたけどね」
 山崎さんは、少し口を尖らせて、それに佐伯さんは苦笑した。
 苦笑も素敵だ。
 山崎さんは、ショートボブの左側を耳にかけ、スーツの上からも分かるくらい、スタイルがいい上に美人だ。
 ボン!きゅーう!ボンッ!なのだ。
 全女性の敵かもしれない。
「脱がなくても、すごいんです、あたし」
 うん、すごいのは分かる。
 つい、お腹の方が出っ張りそうな自分の胸元に視線を落としてしまう。
 全女性の敵、脂肪は、どうして着いてほしいところに着かないのだろう?
「でました!サッキーのすごいんです自慢」
「脱いでも、それなりの百目鬼先輩とは違うのが自慢なので」
 入社三年目だから、二十五くらい。
 モテるんだろうな。
 というか、彼氏がいないはずない。
 まさか、佐伯さんと付き合ってたりしないよね?

 二人が、これから同じグループの同僚で、年下だけど先輩となる。
 佐伯さんはグループ長で上司、素敵だ。

「東海林さん、ショージさんってカタカナのイントネーションっぽく呼んでいいですか?」
 打ち合わせ中に、佐伯さんの携帯に電話がかかってきて、退室していた。
 彼がいない、初対面同士だけの気まずい沈黙の中、百目鬼君が聞いてきた。
「でた!百目鬼先輩のアダ名で呼びたい症候群。しかもイントネーションの違いだけとか微妙」
 山崎さんが、呆れたように言う。
「だって、珍しい苗字のせいで散々、からかわれたから」
「じゃあ、百目鬼君、って呼ばれるのは、嫌なの?」
「いえ、今では珍しいから覚えてもらいやすいので、気にならなくなりました」
 あ、それ分かる。
 私の苗字も漢字が読みにくい分、逆に印象に残りやすい。
「でも、先輩は、入社のときに、からかわれた話したら、メッキーって呼んでくれるようになりました」
「ちなみに、あたしのアダ名のサッキーは、百目鬼先輩命名」
 あ、そうなんだ。
「笑顔で良い話っぽく言ってるけど、佐伯先輩と百目鬼先輩のネーミングセンス、どう?」
「え、と。独特で、特徴的だよね」
 山崎さんのツッコミに、ちょっと困ってフォローした。
 この辺の言葉使いは、広告文つくりで、訓練済みだ。
「独特で、特徴的ですか、優しい表現ですね」
 やはり業界人、さり気なく食いついてきたので、礼を言っておく。
「ありがとう、あの、ど、百目鬼君。あと、カタカナで呼んでいいよ」
 アダ名で呼ばないこととアダ名で呼んでいいことで、ちょっと残念寄りな表情の彼。
 メッキーは、社内で使うには、ハードルが高い。
 年下の彼と、親しそうに見えて、いいけど。
 でも、佐伯さんがアダ名を付けたのか。
 センスは置いておいて、エピソードとして、とても素敵だ。
「それで、一目惚れなんですか?」
 え?
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