継母の心得

トール

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第二部 第3章

467.兄弟のように

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ぺーちゃんが突然泣き出し、クレオ枢機卿が珍しく狼狽えていたので、わたくしがあやすのを変わり、落ち着かせようと奮闘している。

「お祭りで人がたくさんいるから、きっとびっくりして泣き出してしまったのね」
「ぺーちゃん、びっくりちた?」
「ぅええ……っ」

ぺーちゃんの背中をとんとんしながら、ノアを見ると、ノアは心配そうにぺーちゃんを見つめている。

「先ほどノアも、人の多さにびっくりしましたでしょう?」
「はい。たくさーん、いりゅの。びっくりちたのよ」
「ぺーちゃんも、ノアと同じですのよ」

そう言うと、ノアはぺーちゃんに手を伸ばす。その手が届くように、膝をつけば、泣き続けるぺーちゃんの頭をよしよしと撫でながら口を開いたのだ。

「ぺーちゃん、たくさんのひと、こわい、ないのよ。だいじょぶよ」
「ぅええ……」
「みて。みーんな、おまちゅり、たのちーって」
「ふぇ……ぅっみゃ、ちゅ……?」

あら、ぺーちゃんの涙が止まりましたわ。

「ほら、みーんな、ニコニコなのよ」
「にぉ、にぉ……」

ぺーちゃんが周りを見たそうにしたので、立ち上がって人々の顔を見せてあげると、目をまん丸にして「ぅみゃ、ちゅ!」と叫んだではないか。

「おかぁさま、ぺーちゃん、おまちゅり、おもいだちたっていってりゅのよ」
「まぁ、そうですのね。ノアはぺーちゃんの事をよく見ておりますわね。さすがお兄様ですわ」
「うふふ、わたち、おにぃさま」

くすぐったそうに笑うノアが、あまりに可愛すぎて、抱きしめたくなりましたわ。

「にょあ、かぁちゃ、うりぇお、ぺぇちゃ、うみゃっちゅ、ぅく!」
「しょうね。みんなで、おまちゅり、いきましょ」

わたくしの腕の中から、ぺーちゃんがノアに両手を伸ばすので、地面に下ろしてあげると、嬉しそうにノアに抱きつくのだ。ノアも甘えてくるぺーちゃんに、嬉しそうに笑うものだから、わたくしも頬が緩みっぱなしである。

「フェリクスは、ノア公子にあやされると、あっという間に泣きやんでしまいましたなぁ」
「ホホッ、二人はまるで、本当の兄弟のように仲良しですわ」
「教会内のあれこれが片付いた後、フェリクスから、私の元に戻って来たくないと言われたら、立ち直れませんぞ」
「まぁっ、フフッ、それはありませんわ。ぺーちゃんは、いつもクレオ枢機卿に会いたがっておりますもの」

折り紙だって、クレオ枢機卿の為に毎日折って、おやつも、今日は遊びに来るかもしれないって、少し残していますのよ。どうして残しているのかと思ったら、クレオ枢機卿にあげるんだって。それを聞いた時、なんて健気で良い子なのかしらって思ったものですわ。

「だといいのですがなぁ」

あらあら、こちらも拗ねてしまったのかしら。じいじにヤキモチをやかせるなんて、ぺーちゃんったら罪な孫ですわね。

「あちゅ、にゃぃ?」
「アスでんか、かえったのよ。おーじさまだから、ひと、こん……こんりゃ? しゅると、いけないって」
「にゃ……」
「だからね、おまちゅり、たくさんたのちーして、アスでんかにおちえて、あげましょ」
「にゃ! ちゃっ、ちぃー!」

イーニアス殿下がいない事に気付いたぺーちゃんは、ノアから理由を聞いて、しょんぼりしてしまうが、二人で楽しむ事に決めたようだ。

さすがに皇族は庶民のお祭りに参加できませんわよね……。

転移ができる、フットワーク軽すぎの皇后様と、皇子様がひょっこり出てくるんじゃないかと、ちょっと怖くなってきたが、今日はわたくしも、お祭りを楽しみますわよ!

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