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第三章
ステータス?
しおりを挟むリンの所にロードが部下をやってから、しばらくして不意に、
「おかしな遊びは終わりにして、そろそろ詳しく話を聞かせてくれるか?」
執務室のソファへ、私を膝に乗せてデレデレしながら座っていたロードが真剣な顔をして言い出した。
「あれ~今までノリノリだったのに、バレてたんだ~」
「役得だったぜぇ。なんせミヤビの口から“ダーリン大好き”って聞けたからなぁ」
ンノォォォォォァ!!!?
ニヤニヤしながらトモコと話すロードに演技がバレていた事を知る。
「んな、何で演技だって!?」
「オメェ普段そんな事言わねぇだろ。トモコも念話してるって丸わかりだしなぁ。最初は変な遊び始めやがったって思ってたが、オメェが可愛い事言うからよぉ」
デレッと顔をくずして頬を撫でてくるので、今までの気色悪い自分を思い出して顔から火を吹きそうになり俯いた。穴があったら入りたい。今すぐに。
「念話丸分かりだったか~。あれ無表情保ってられないし、念話中って他の人と話せないんだよね…」
変な所を反省しているトモコだが、お前ふざけんなよ。
「俺を騙そうとする気なら、念話も使えるようになってから挑戦するこったな」
「くっ 私ではまだこの男には勝てないのか!!」
何の寸劇が始まった!?
「で、フォルプロームはどうだったよ」
「暑かったよー。ね、みーちゃん」
もう話しかけないで。あんな醜態を晒した私は穴に埋まるしかないんだ。
「あら~みーちゃんがヘソ曲げちゃった~。可愛いねぇ」
「ミヤビ、すげぇ可愛かったぜぇ。だから拗ねんな」
止めろ。ますますいたたまれんわ!!
「そんな事より、フォルプロームの事!!」
話を変えようと振れば、トモコとロードに笑われた。
「ーー…とううわけで、リン君の事をロードさんに頼みたいんだぁ」
「奴隷ねぇ…」
真剣な表情で何やら考察しているが、私を一向に膝の上から降ろそうとしてくれないのは何故だろうか。
しかも肩や腰をナチュラルに撫でられるんだが。
「普通、キャラバンの護衛がそんな機密事項を皆が眠っているような場で漏らすなんて考えられねぇが…リンって奴の話が本当なら、わざと話したんじゃねぇか? しかもキャンプ1日目に話すなんて逃げて国に知らせろって言ってるようなもんじゃねぇか」
「だよね~。ヴェリーさんはその護衛が人族じゃなくて、獣人族じゃないかって思ってるみたい」
やっぱりロードもトモコもそう思ったか…。
『トモコよ、私は獣人族とは断言しておらんぞ』
突如部屋の温度が下がったと思ったら、執務室の真ん中にフワリと雪の結晶が舞い上がり、ふぁ~綺麗だぁと思った刹那結晶が渦を巻き始め、パァンッと舞い散った後に現れたのはヴェリウスだった。
最近のヴェリウスは近場の転移であれば割りと簡単にやってのけるようになっている。前は神であっても転移は難しいと言っていたのに。
「断言してねぇって事ぁ、獣人族以外の可能性もあんのか」
特に驚く様子もないのは、普段からヴェリウスの転移を見ているからだろう。
『リンの話から、竜人という可能性も捨てきれぬと思ってな』
「成る程なぁ……ミヤビ、トモコ、この件、しばらくこっちで預からせてもらっていいか」
普段の不真面目ゴリラとは違い、真剣な様子でそんな事を言うので頷く他なかった。
「少し気になる事があってな」
そう言うと執務室を出ていってしまったロードに呆気に取られる。
もしかしたらルマンド王国に関係のある話だったのかもしれない。
「…みーちゃん、とりあえずロードさんに任せて私達は騎士団の見学に行こう!!」
お前は本当に自由だな!!
◇◇◇
「おーっ あれが騎士団の訓練風景かぁ」
トモコと共にコソコソやってきた訓練場。
王宮内の近衛の訓練場ではなく、王宮近くにある騎士寮そばの訓練場だ。何しろリンはこっちで入団テストを受けているらしいのだ。
何故コソコソかというと、王宮に勤める人は前回の事で出会うと面倒だと学習しているからに他ならない。
一番面倒なのは侍女である。
女性は怖いのよ。
同じ職場で働いているからか、職場の男性は自分達のものという意識が強く、他所から入ってきた女性が少しでも職場の男性と親しくしていたら嫉妬してしまうというね。
「鎧着て訓練しないんだね~。騎士=鎧っていうイメージだったけど、何か割とラフな服装だ」
確かに皆白シャツにブラウンの綿のパンツをはいている。靴は黒いブーツだ。
「鎧を着て訓練もするだろうけど、常にはキツイんじゃない? 重いし」
皆が皆ロードみたいに怪力じゃないしね。
「そっか~……あ、ねぇねぇみーちゃん」
変な間を空けて、何かを思い付いたかのように呼んでくるトモコに嫌な予感しかしない。
「…何?」
ニッと笑ったトモコが口にしたのは……
「みーちゃん、ステータスって見たことある?」
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