異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

文字の大きさ
265 / 587
第四章

冒険の終わり

しおりを挟む


ルーベンス視点



ーー…父上…っ 止めて下さい! …っどうして…ーー




「ッ」

…扉がノックされる音にハッとして顔を上げた。

布が肌に張り付く感覚を不快に思う。
ドクドクと早鐘を打つ心臓に気づかぬフリをして、いつものように「入りたまえ」と声を掛ける。

どうやら執務室で転た寝をしていたらしい。
疲れているのだろうか。
自分らしくもないと、入ってきた部下に書類を渡し、早々に退出してもらってから息を吐く。

背後の窓からは日射しが降り注ぎ、日没までには程遠い事を知る。そういえば…


“年末年始に教会へ祈りに行けば、一時的に幸運度が上がる”

いつも騒がしい少女が言っていた事を思い出した。

結局近場の教会へ妻達を伴って祈りに行ったが、成る程。最近“夢”は見なくなっていた。

久方に見た“夢”に、きっと神の祝福効果が切れたのだろうと考えを巡らせる。

しかしそれでいいのだ。


私は、何があっても忘れてはならない……自身の罪をーー…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



主人公視点



そういえばロードが言っていた。

「神王の神域はオメェの力が満ちてんだろ。普通の神なんてゴミみてぇに思える力だ。
そんな力の影響をモロに受けたのがオメェの言う珍獣達。で、見た目からはわからないかもしれないが、他の動植物も少なからず影響を受けている。
オメェが好きなヤコウ鳥なんて見た目も変わっちまってんだ。奴ら昔は50センチからデカくて1メートルだったが、今じゃ2メートル越えがウジャウジャいるんだぜ」

と。神王ワタシの影響とはこういう事だったのか……。
ま、まぁ言わなきゃバレないよね?




アフィラートさん3アップ×2事件から数時間。

ヤコウ鳥を3匹ゲットした“焔の鳥”一行は、ホクホクと深淵の森出口へ向かっている。
とはいえ、今日中に森から出る事は出来ない距離なのでまた野営するのだろう。

ヤコウ鳥一匹が70万ジットとして、210万ジット、更にこの4人はヴェアも1匹狩ったのでプラス30万ジット前後。それと希少な薬草やヤコウ鳥の羽刃諸々で280万程いくのではないだろうか。
4人パーティーで3日かけて280万。一人70万ってすごくない? たった3日で70万!! 私ならもう馬鹿馬鹿しくてひと月は働かずに暮らす。

案内人の私ですら3日で9万円貰えるからね。
しかもどさくさに紛れてゲットした薬草を売れば100万なんてすぐだよ!! 冒険者万歳!!


「しかしアフィラートが空間魔法を使えるようになってくれて助かったぜ」
「ベンジャミン、それパーティーのメンバー以外に言うんじゃねぇぞ…」

ゲスい事を考えていたら下からそんな声がしてそちらへ注視する。

「何でだよ。ヒューズのおっさん」
「あのなぁ、空間魔法なんて使える人間聞いた事ねぇだろうが」
「あ、あ~確かに」
「て事ぁ、使える事がバレたらアフィラートが危険な目に合うかもしれねぇだろ」

ベンジャミンとヒューズさんの会話に冷や汗が流れた。

え? 魔法、教えちゃダメだった?

「良くて国で飼い殺し、悪けりゃ危険人物として消されるだろう」

会話に加わったオーズさんの言葉に驚愕する。
消されるって…

「まぁ、お前らが口滑らさなきゃ大丈夫だろ。後、嬢ちゃんに教わった事も誰にも言わねぇから安心しろや」

前半はパーティーメンバーに向けて、後半は私を見上げて言ったアフィラートさんに口が開いたまま塞がらない。

サンショー兄さんとティラー姉さんに視線を移せば、目をそらされる始末。

泣きたくなった。

3アップの事だけに注目していたが、まさか他にもとんでもない事をやらかしていたとは…。
いやいや、いずれ魔法は誰でも使えるようになるはずなのだ。そうトモコも言っていたじゃないか。
だからアフィラートさん達に教えたって問題にはならい、はず。


「魔法はいずれ一般的になってくるとは思いますので、それまではどうかご内密に」

念の為おっさん達にそう言えば、4人共が眉間に皺を寄せて目を見開きこちらを見ていた。

微妙な表情だったが、アフィラートさんも誰にも言わないと言ってたしきっと大丈夫だろう。
そんな事を思いながら私達は深淵の森の中を進んだのだ。



こうして、私と“焔の鳥”の冒険は幕を閉じたのである。
しおりを挟む
感想 1,622

あなたにおすすめの小説

転生皇女はフライパンで生き延びる

渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。 使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。 ……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。 自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。 そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。 「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」 ※※※ 死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。 ※重複投稿作品※

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)

miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます) ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。 ここは、どうやら転生後の人生。 私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。 有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。 でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。 “前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。 そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。 ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。 高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。 大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。 という、少々…長いお話です。 鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…? ※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。 ※ストーリーの進度は遅めかと思われます。 ※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。 公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。 ※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。 ※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中) ※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
恋愛
養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!大勢の男性から求婚されましたが誰を選べば正解なのかわかりません!〜 タイトルちょっと変更しました。 政略結婚の夫との冷えきった関係。義母は私が気に入らないらしく、しきりに夫に私と別れて再婚するようほのめかしてくる。 それを否定もしない夫。伯爵夫人の地位を狙って夫をあからさまに誘惑するメイドたち。私の心は限界だった。 なんとか自立するために仕事を始めようとするけれど、夫は自分の仕事につながる社交以外を認めてくれない。 そんな時に出会った画材工房で、私は絵を描く喜びに目覚めた。 そして気付いたのだ。今貴族女性でもつくことの出来る数少ない仕事のひとつである、魔法絵師としての力が私にあることに。 このまま絵を描き続けて、いざという時の為に自立しよう! そう思っていた矢先、高価な魔石の粉末入りの絵の具を夫に捨てられてしまう。 絶望した私は、初めて夫に反抗した。 私の態度に驚いた夫だったけれど、私が絵を描く姿を見てから、なんだか夫の様子が変わってきて……? そして新たに私の前に現れた5人の男性。 宮廷に出入りする化粧師。 新進気鋭の若手魔法絵師。 王弟の子息の魔塔の賢者。 工房長の孫の絵の具職人。 引退した元第一騎士団長。 何故か彼らに口説かれだした私。 このまま自立?再構築? どちらにしても私、一人でも生きていけるように変わりたい! コメントの人気投票で、どのヒーローと結ばれるかが変わるかも?

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?

冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。 無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。 目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。 マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。 婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。 その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!

処理中です...