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第五章
平凡な神王は美貌の老人に変身しました
しおりを挟む王都に住むAさん視点
ーー…あれは何だ。と誰かが言った。
その声に幾人かが空を見上げる。
つられて上を見ると、神々が宙に浮いたまま跪いている姿が目に入り度肝を抜かれた。
一体何事だと隣を見れば、目が合い訝しげに見られたので上だ、上っと合図する。勿論隣も同じように空を見上げてギョッとしてまた視線が交わる。
頷き再度顔を上に向けると、今度はその中心が白…いや、白っぽいが虹色だ…淡い虹色に光っているのが見てとれた。
まるで奇跡のようなその光景に目を奪われる。
するとそれに気付いた人々が次々と上を向き、同じように目を奪われていく。
目を凝らしてその光の中心を見れば、白く長い髪をふわりと揺らし、深いシワの刻まれた肌など気にならない程の美貌をたたえた老人が、女性のドレスのように腰から裾にかけて拡がった白のローブを身につけ佇んでいた。
近寄りがたい程の神々しさは、確かに跪きたくなる程で…。
我を忘れ呆然とその光景に見惚れていたその時、突然空に階段が現れたのだ。
天国に続くのではないかという程の幻想的な情景に、ほぅと溜息を吐いた者は多く居ただろう。
そして、淡い虹色の光を帯びたその老人は、一歩一歩、その階段を下り始めたのだ。
この御方こそ“神王様”だと、誰もが思ったに違いないーー…
ーーーーー
長いローブに引っ掛かって転ばないようゆっくり階段を下って行く。
地上では人間達が息を呑み、こちらを呆然と見上げている。
中には口を開けたままの者もおり、間の抜けた表情に笑いそうになって表情を引き締める。
いつの間にか階段下に移動していたロードが、片膝を付いて待っているではないか。その姿はまるで騎士のようだ。(←※本物の騎士です)
後2、3段残っている所から片手を差し出せば、立ち上がりその手を取ってエスコートしてくれる介護っぷりである。
どうやら騎士ではなく介護士だったらしい。(←※騎士です)
ロードに手を引かれゆっくり歩みを進めれば、モーセの十戒のごとく人々の群れが割れていく。 これはこれで集団に避けられている感があってちょっと傷付く。
しかしロードは堂々と手を引くものだから、恐れをなしたのか手前から奥にかけてウェーブのように跪いていく人々。それにこちらの方が恐れをなして足を止めそうになったのは秘密だ。
途中リンと目が合ったが、え? 誰?? 雰囲気的に神王様?! 何で師団長と!? という顔をしていたので微笑んでおいた。
ちなみにルーベンスさんは、姿を変えて現れるとは、考えたな。という様子でこちらを見ていた。
トリミーさんにいたっては、神王様はミヤビちゃんじゃなかったの!? と困惑した表情である。
知り合いの様々な反応に笑いそうになるが、雰囲気はいたってシリアスなわけで、空気を読まないわけにはいかない。跪いている神々の面子にかけても。
「…何者だ」
大司教との二度目の対峙をはたすと、そうだろうなという反応が返ってきた。
睨み付け、警戒を露にする大司教に「額を地に擦り付け、跪いて詫びろ」とロードの冷えきった声が耳に届きぞっとする。正直顔は怖くて見る事ができないが、声と同じように瞳も冷えきっているのだろう。
「ロードや、今のこやつは多すぎる犠牲の上で力を手に入れ、そして己の限界を越えた為に壊れてしまった人間じゃ。何を言っても無駄じゃろう」
「けどよ…っ」
「ここはわしの為にも少し引いてくれんか?」
「…わかった」
渋々引き下がってくれたロードだが、納得は出来ていないのか、私を大司教の視線から遠ざけてくれる事はやめなかったのだ。
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