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第五章
マーク
しおりを挟むその日、世界に激震が走った。
約束のひと月後、世界中の教会という教会が消え去ったのだ。
人々は悟った。これはかの有名な“ランプホーンの大神罰”の再来だと。
遠くない昔…ランプホーンという国で、神王への信仰心を無くした人間達が、世界の崩壊を神王のせいだと声を上げた。しかしその瞬間、人々は神からの祝福も加護も、守護すら無くし、苦しみながら死んでいったという話。
それが今、目の前で起こったのだ。
神は人間に試練を与えられた。祈りの場を消し去る事で、人間達がどう神と向き合うのか。それによって人類の未来が決まるのだ。
神々から啓示を受けた各国の王は、ひと月の間に教会関係者を全てを捕縛し、天啓を待った。
それにより教会の愚行は世界中の人々の知るところとなったが、それがさらに神王の怒りを買うことになるとは、この時は思いもよらなかったのである。
「ーー…無実の者も牢に入れている?」
『はい。取り敢えず教会関係者は全て捕まえてしまえば良いと思っているようです』
確か、ヴェリウスの話では背信者の捕縛は半年の猶予をあげていたはずだ。教会関係者だけでなく、民や貴族、王族に関わらず神王を排斥しようとした者は一人も逃すなとの事だったか。と思い出す。
かなり厳しい条件なので、取り敢えず教会関係者は全員捕まえてしまおうという考えなのは分かる。が、無罪の上、今まで敬虔に信仰してきた者を牢に繋ぐというのはあまりにも酷い仕打ちである。
「うーん…条件が厳し過ぎたからそうなったんだね…なら、“神王を実際に排斥しようと行動した人物”には“マーク”を付けようか。後は分かりやすいように、この国には何人いるよっていう数字と、捕まえたらその数字が減っていくカウントボードを渡してあげよう」
大司教の神王排斥事件が終わってからひと月、妊娠発覚から同じくひと月。TV電話擬きを自宅のリビングのTVを使用してヴェリウスとしている私であるが、ロードと一緒に居る時しか外出してはダメだというルールを未だに守っている出来た女なのだ。
『そう言われるかと思い、ルーベンスには考えがあるとは伝えております』
画面越しで優雅に微笑むヴェリウスは、このようになる事を予め予想していたらしい。
つまりこれは人間達への嫌がらせ…ゴホンッ 神罰の一貫であったようだ。
「うん。今“マーク”は付けておいたから、後はカウントボードの事も併せて各国に伝えておいてくれるかな? 伝え終わった直後に王の執務室と騎士団の詰所にでも現れるようにしておくから。で、捕縛が終わったら自動的に消滅します」
『かしこまりました。
ミヤビ様、“マーク”というのはどのようなもので、どこに現れるのですか?』
「勿論分かりやすいように、顔に大きく、“背信者”って文字が現れます」
『成る程。それは何とも…』
私から目を逸らし、背信者に同情したような表情で遠くを見るヴェリウスに満面の笑みを贈る。
「あ、冤罪で捕まった敬虔な信者に関しては、お詫びとして浮島2泊3日の旅に招待しようかな」
『ミヤビ様!! そのような事ッ』
「ヴェリウス、アルフォンス君に伝えておいてね」
反対するヴェリウスを振り切りTV電話擬きを切る。
にやけてしまう顔をマッサージするが、やはり笑いは止まらない。
「やっと一人で外出するチャンスが巡ってきたよ」
2泊3日の浮島ツアー。発案者の私が行かずしてどうするというのだ!!
「浮島ツアーガイド、頑張るぞー!!」
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