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ズボラライフ2 ~新章~
63.参加したいのは復帰パーティー
しおりを挟む『神王様主催のパーティーであれば皆喜んで集まります』
違う。ヴェリーちゃん、違うのだ。
『そろそろ御子様方の正式なお披露目パーティーをと考えておりました』
そんなパーティーは望んでない。私が行きたいのはBLパーティーだ。大体子供達の御披露目は簡単にだったけど行っただろう。
「確かに前の“神王様復活パーティー”以来、パーティーなんて開催してないんだよね~?」
『そうなのだ。いい加減神王様のお顔をまた拝見したいと神々のフラストレーションも溜まっていてな……そろそろと思っていた所で、パーティーに乗り気なミヤビ様を確認したわけだ』
違うって!! そのパーティーだと私またご飯食べれないよね!? 前も美味しそうなビュッフェを前にしてほぼ食べれなかったから!!
「私も神王様主催のパーティーに出たい!! だって天空神殿でのパーティーなんて参加した事ないもん!!」
そりゃあそうだ。なんせ神生で一度しか開いてないし、そのパーティーもアーディンの事件でお開きになったしね。
でもさ、今話してるパーティーはそれじゃない。
「ヴェリウス、私は騎士団の副師団長復帰祝いに行きたいって話してたんだよ」
『? 何故神王様が取るに足らぬようなパーティーにご出席されるのです??』
チワワのような無邪気な瞳を向けるヴェリウスに、ぅぐぐ……っと口からは呻くような声しか出ない。
「つがい神ロード様の御親友であらせられた、レブーク様のご子息様が復帰されるのです。神王様もお気にかけておいでなのではないでしょうか」
ここでオリバーさんのフォローが入った。
うんうんと頷き、オリバーさんを心の中で称えていれば、
『ふむ。ロードの部下か……奴は自身の精霊を側役に選ぶでもなく、実質人間の小僧を置いている。となると、レブークとやらも側役として侍らすということか。ミヤビ様はそれを見極めに祝いに参加されると……?』
「え? そんな事考えた「そう!! ヴェリーさんその通り!! みーちゃんだけだと心配だから私も一緒にいくんだ~!!」」
考えた事もないと言おうとしたら、トモコに遮られる。どうやらヴェリウスを懐柔して押し掛ける魂胆らしい。
グッジョブだトモコ!
『ならば私も共に行くとしよう』
え゛?
『ロードの側役ならばミヤビ様のお側に侍ると同意。ならばトモコだけでは不安だろう』
「「えぇェェェェェーーーーー!!!?」」
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ロード視点
「やっと帰ってきたか」
「師団長。私の為にお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」
アナシスタは第3師団の制服を着込み、敬礼をして頭を下げた。その光景に懐かしさすら感じ頬が緩む。
「もっと早くにこうすべきだった。すまねぇ」
「いえ。どんな理由があろうと、自分がやってしまった事は大罪です。本当なら、再びこの制服を着てこの場に立てるなど有り得ませんでした」
アナシスタは、あの手紙を出した後すぐに断りの返事を送ってきた。
今のように、大罪人なのだからと。今でも十分恵まれているのに、そこまでしてもらうわけにはいかないと。
「オメェは本当に融通の効かねぇ堅物だなぁ」
笑いがもれるのは、信頼する部下が帰ってきて浮き足立っているからだろうか。
半ば無理矢理連れ戻した感はあるが、2年間の王都追放と爵位の剥奪等の罰で罪は償ったと納得させ、陛下から直接声をかけてもらった事もあり、何とか本人を口説く事は出来たと思う。
「申し訳ありません。師団長にはご尽力いただき、本当に感謝しています。…………今日、久々に制服に袖を通した時……、嬉し、かった……っ 本当に嬉しくて、涙が溢れました」
「アナシスタ……」
「俺……っ わたしはずっと、自分は罪人にもかかわらず良くしてもらって、恵まれていると、そう思っていました。しかし……本当はこんなにも……っ 騎士に戻りたかったのだ、と、初めて……っ」
初めて気付いたのだと、俺の前で涙を流したアナシスタの姿に、こいつの親父であるトーイの姿が重なった。
「オメェら親子は、本当に似てんな」
「え?」
「トーイも……オメェの親父も、騎士という仕事を本当に愛していたよ」
「師団長……」
「まぁなんだ。今日からオメェはまた副師団長としてこき使ってやるから覚悟しろよ」
「っはい! それでは私は皆に挨拶してきますのでこれで失礼します」
敬礼して出ていった部下に、あいつ本当に真面目だな。と数年前まではよく思っていた事を思い出し、懐かしんだのだった。
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『━━━……やはり取るに足らんパーティーだな。このような粗末な場所にミヤビ様を招くとは無礼千万』
「第3師団の食堂なんだって~。騎士の人達が掃除してるのかな? やっぱりちょっと汚いよね~」
「すぐに汚れを払いますので、少々お待ち下さい」
『うむ。オリバーよ。隅々まで美しくするのだぞ』
「はっ」
復帰祝いの会場として押さえていた食堂の入り口に見つけた人の塊。それの中心には俺の良く知る人影が……
「って、何でオメェらがここに居んだよ!?」
有象無象をはね除け、一際輝くそれに手を伸ばす。
「あ、ロード。何かよくわからないけど、ヴェリウスとオリバーさんもついてきちゃった」
そう。そこに居たのは、俺の愛しいつがい。ミヤビだった。
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