令嬢はまったりをご所望。

三月べに

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4巻

4-3

 怒るキャッティさんと呆れ顔のリュセさんを眺めさせてもらう。
 猫の耳に、猫の尻尾。赤と白。触らせていただきたい。
 ピクンピクンと震える耳は三角。付け根のところをでれば、ゴロゴロ喉を鳴らすのだろうか。
 ゆったりと左右に揺れる尻尾は太くて長い。二つまとめて掴んではいけないでしょうか。
 願望をたっぷりと含んだ私の視線に、タオルを頬に当てたリュセさんが気付いてしまった。にんまりと笑みを深めている。

「ランチですよね。ご注文はお決まりですか?」

 誤魔化すように笑いかけた。もう十二時を過ぎている。
 獣人傭兵団さんはすぐに「いつもの」と答えた。

「ステーキが三つ、サンドイッチが一つ、コーヒーが一つ、ラテが二つと、マンゴージュースがお一つでいいでしょうか?」
「お、店長わかってるー」

 チセさんだけは、いつも新鮮な果物のジュースを求める。
 獣人傭兵団さんの注文を受けたので、次はハルト様とキャッティさんへ向き直った。

「オレもサンドイッチとコーヒーをください。キャッティはどうする?」
「では同じものを食べますにゃ」

 注文しながら、二人は誰も座っていない右側のテーブル席に、向かい合って座る。

「俺はラテのおかわり」
「はい。サンドイッチ二つ、コーヒー一つ、ラテのおかわりが一つですね。少々お待ちください」

 オルヴィアス様の追加注文もちょうだいした。
 まずは味付けを済ませておいたステーキを焼くために、魔法の炎で包む。それからマンゴージュースをグラスにそそぎ、コーヒーを三つ、ラテを二つれた。
 コーヒーの香りが満ちて、いい香り。これをぐと心が安らぐのはどうしてだろうか。
 先に飲み物を運んだ。

「あつ⁉ 猫舌でしたにゃ!」
「大丈夫かよ? ……大丈夫そうだぞ。お前って本当ドジだよな。今回の冒険ではくれぐれもドジするなよ」

 キャッティさんは見た目通り、猫舌らしい。それを忘れてうっかり冷ます前に飲んでしまったみたい。キャッティさんを心配して、身を乗り出し覗き込むハルト様。べーと舌を出すキャッティさんに、きつく釘をさした。真っ赤な猫耳がシュンと折れる。
 その二人の様子に密かに笑ってしまった。
 キッチンに戻って、三人分のサンドイッチを作って切り分ける。
 そろそろステーキも火が通った頃だろうと、炎の魔法を解いた。
 それぞれをお皿に盛り付けて、ステーキから運ぶ。

「お待たせしました」

 こんがり焼けたステーキの香りを吸い込んだチセさんは、「いただきます!」と早速食べ始めた。どうぞ召し上がれ。
 続いて、セナさんとハルト様、キャッティさんにサンドイッチを届けて、私もサンドイッチを食べることにする。
 しばらくして全員がランチを食べ終えれば。

「それでは、今回のトレジャーハントの説明をします!」

 ハルト様がカウンターテーブルに地図を広げた。



   第2章 ❖ トレジャーハント。


    1 冒険の始まり。


 ドアベルの音と共に、白いドアが開く。そしてバサバサという鳥の羽ばたきと同時に風が巻き起こり、店内に無数の羽根が舞う。

「⁉」
「にゃに⁉」

 幻獣ラクレインの登場だ。初めてのことで、ハルト様とキャッティさんが驚いている。

「大丈夫ですよ。オリフェドートの森の幻獣ラクレインです」
「邪魔をするぞ」

 風がやむと、羽根もなくなる。目を向けると、右側のテーブル席に、ラクレインが当たり前のように座っていた。

「どこに冒険をしに行くのか、聞いておきたい。もしも戻ってこなかった時は、我が迎えに行ってやれる」

 私を心配してくれているのだ。

「構いませんか? ハルト様」
「あ、ええ、構いませんよ。オリフェドートの森の幻獣ならば……」

 ハルト様はちょっと視線を泳がせた。何か気にかかることがあるのだろうか。単に、幻獣がそばにいることに戸惑っていらっしゃるのか。
 キャッティさんは尻尾をピーンと立たせて毛を逆立てて、固まっていた。
 そんな彼女に、ラクレインが小首を傾げる。

「おい、ラクレイン! このマンゴージュース美味うまいぞ! お前も飲んでみろよ」

 人見知りを発動して大人しかったチセさんだけど、青い尻尾をフリフリと振ってラクレインに笑いかけた。

「ではもらおう」
「今持ってきますね」

 ラクレインがうなずいたので、キッチンに入る。ラクレインにマンゴージュースを手渡す。翼で器用にそれを受け取ったラクレインは一口飲んで「美味うまい」と言ってくれた。
 元いたカウンターの中に戻る。隣には、カウンターテーブルに頬杖をついたリュセさんがいる。その隣にチセさん。そのまた隣がセナさんだ。
 シゼさんはテーブル席で、ゆっくりとコーヒーを飲んでいる。
 カウンター席には三人、キャッティさん、ハルト様、オルヴィアス様の順番で座っていた。一同がカウンターテーブルに広げられた地図を覗き込む。

「場所は、シーヴァ国の外れにある水の都アークアです」

 ハルト様は、私達のいるドムスカーザからかなり離れた地、シーヴァ国を指差した。
 今朝も聞いた名前。そして頭に浮かぶはかなげな女性、ハナさん。

「昔の盗賊の根城を、見付け出しました。金銀財宝を狙う盗賊でしたので、収穫は期待できるでしょう。問題はトラップですね。盗賊の根城には、トラップが付きものです。危険なたぐいのトラップがあるはずですので、皆さん覚悟してください」


 シーヴァ国の土地の端を指差して、ハルト様が告げる。
 そして、ちらりと横目でキャッティさんを見ることも忘れない。

「ふーん。盗賊の根城かぁ」

 私の左隣に立つリュセさんが、尻尾をゆったりと揺らしながら地図を眺めた。
 その純白の尻尾が、私の腕に絡んできたものだから、ドキッとしてしまう。

「お嬢とオレ達がいれば、トラップなんてへっちゃらだよなー?」
「……どうでしょう。トラップにもよります」

 にこーっと笑いかけるリュセさんの尻尾をさりげなく退かして、同じようににこっと笑い返す。
 もふもふで絡んでくるのは困ります。
 リュセさんは、どんなトラップでも力技で壊していけばいいと考えているみたいだ。魔法の場合は、私がなんとかすればいい。

「本当に盗賊のお宝があるのかい?」

 セナさんが問うた。

「経験上、盗賊は財産を隠す傾向にあるから、見付けられる可能性は高い」
「それなら、収穫があった場合、分け前をもらうよ」
「うっ」

 そうきたか、とハルト様は苦い顔をする。

「その交渉は収穫があった場合にまた……」

 セナさんと交渉か。大変そうだと、私はこっそりと笑う。

「店長」
「あ、はい」

 シゼさんの低い声に呼ばれた。コーヒーカップを差し出してくるので、おかわりのようだ。

「ローニャの分け前はないのか?」

 珍しくシゼさんが口を挟んだ。

「ああ、私は今回の報酬ほうしゅうだけで満足ですよ」

 カップを受け取りながら、ハルト様に向かって微笑む。
 私の報酬ほうしゅうは、金貨十枚。店が休みの日にそれだけ稼げるなら十分だ。

「おかわりですか? シゼさん」
「ああ」
「ただいまれてまいりますね」

 キッチンに戻る前にふと思い出す。
 私は報酬ほうしゅうをいただくことになっていて、獣人傭兵団の皆さんも金貨十枚の報酬ほうしゅうに加えて取り分があるようだけれど、冒険にはあともう一人参加するのだ。

「オルヴィアス様こそ、報酬ほうしゅうを受け取らないのですか?」

 これまでラテを片手に見守っていたオルヴィアス様に目を向ける。

「俺はそなたを守るために参加するのだから、報酬ほうしゅうはいらない」
「……あ、ありがとうございます。オルヴィアス様」

 オルヴィアス様は、あくまで私を守るためについてくるらしい。
 ハルト様が目を丸くして私達を交互に見てきた。キャッティさんは目を輝かせて笑みを浮かべている。
 私は顔が赤くなる前に、キッチンへ引っ込んだ。
 シゼさんにコーヒーを運ぶためにリュセさんの後ろを通ると、腰に純白の尻尾が巻き付いたものだから、悲鳴を上げそうになった。リュセさんは素知らぬ顔をしている。
 コーヒーをこぼしたら、大変。
 なんとかこらえて、シゼさんにコーヒーを届けた。

「続けます。水の都アークアには大きな湖があります。その湖の中央の島に岩山があって、そこに中への入り口がありました。湖のそばへ転移をして、オレ達が用意したボートで島を目指し、中に入ります。内部の情報は一切ありません」
「開けてみてのお楽しみですにゃ!」

 何があるのか、わからない状態。

「それでも危険を承知で行きますか? 最後の確認です」
「危険だから行かない、なんて選択肢ないし」

 ハルト様の問いかけに、リュセさんが笑って返す。

「俺も変わらない」

 続いてオルヴィアス様もうなずいた。

「では参加者は、オレの仲間があと二人いるので、合計十人です」
「ランチには私のサンドイッチを持っていきます」
「肉多めな、店長!」
「はい、チセさん」

 ブンブンと青い尻尾を振るチセさんに、微笑んでうなずく。

「朝にこのまったり喫茶店に集合して、移動魔法でアークアへ探索に行き、夜には帰れるでしょう。質問がある方は?」

 ハルト様がぐるりと視線を巡らせた。オルヴィアス様を見て、最後にシゼさんを見る。

「「ない」」

 オルヴィアス様と、シゼさんの代わりにセナさんが、同時に答えた。

「ローニャ」

 ラクレインの呼びかけに、応えるように目を合わせる。

「もしもの時は我を呼べ」
「はい」

 私は笑みを浮かべてうなずいた。
 羽ばたきの音と共に、風を舞い上げてラクレインが去り、それを見送ったハルト様が口を開く。

「それではまた明日の朝に」
「おう、またな。若い男爵」
「それでは失礼しますにゃん。皆様」
「ご馳走様でした、ローニャ様」
「ではまた明日。ハルト様、キャッティさん」

 地図をしまったハルト様とキャッティさんが店を出て、今日のところは解散となった。


 翌日は、休店。けれどいつもと同じ時間に起床する。
 朝の支度を終えた私は、今日はドレスを着ていない。乗馬服のような格好である。青い装飾の白い燕尾えんび服に、黒のズボンと黒のロングブーツ。髪はハーフアップを編み込んでから、全体をきつく三つ編みにした。
 その姿でパンを買いに行ったら、驚かれてしまう。

「まぁ、ローニャちゃん! どこかに行くのかい?」
「はい。ちょっと出かけてきます」
「そんな格好していると女性の騎士みたいだね!」

 パン屋さんの奥さんは、朗らかな笑みでそう言ってくれた。
 本当に騎士のように剣をたずさえるつもりだと知ったら、さらに驚かれてしまうだろうか。
 せっかくハルト様達が探し当てた今回の行き先は明かせないので、ドレスでは汚れてしまう場所とだけ話して、パンを受け取った。
 帰ると妖精ロトが来ていて、カウンターテーブルに勢揃いしている。私を見て「あーい」と敬礼の挨拶あいさつをした。

「おはようございます。お休みでよかったのに」
「あいっ!」
「ではお願いしますね、お掃除」

 店を休むことは昨夜伝えたのだけれど、日課になったお掃除をやりたいらしい。
 クスクスと笑って、私は敬礼を返した。カウンターテーブルから床へ飛び下りて、店の中の掃除を始めてくれる。
 私は、キッチンでサンドイッチ作り。新鮮な瑞々みずみずしいレタスとトマト、アボカドを洗う。トマトとアボカドを切ったら、用意しておいたタマゴとマヨネーズのソースと組み合わせてサンドイッチを作る。たっぷり詰めたパストラミハムのサンド。それらを切り揃えたら、大きなバスケットにぎゅうぎゅうに入れた。
 タマゴマヨサンドを一つ食べて、昨日残ったマンゴータルトを堪能たんのう。そのあとの片付けはロト達が手伝ってくれた。

「うーうーうー」
「何? 歌ってほしいの?」

 キッチンに並んだロト達は、歌をご所望の様子。

「そよ風はーラララー。ゆりかごー揺らす」

 歌いながらお皿を洗い、泡を水で流せば、タオルでキュキュッと拭いてくれる。

「あなたをーラララー。包んでー守る。金色の花ー、小鳥が運ぶの」

 この国の子守唄に、ロト達もリズムに合わせて体を揺らす。

「精霊の加護ー、ほら微笑んで……⁉」

 洗い物を済ませてくるりと回った時、カウンターの向こうにオルヴィアス様がいることに気付いた。

「……すまない。普通に入ってきたんだが」

 笑いをこらえている様子のオルヴィアス様が、とってつけたように謝る。
 気持ち良く歌ってターンしたところを見られてしまった!
 恥ずかしくて顔を両手でおおう。
 すると、オルヴィアス様は耐え切れなくなったように噴き出して笑った。

「笑ってすまない。思い出したんだ……前にもこんなことがあったな、と」
「っ……そう、ですね」

 蓮華れんげ畑の丘で、私はオルヴィアス様が横になって寝ていることも知らずに、今のように気持ち良く、歌ってしまったことがある。オルヴィアス様はあの時も笑っていたと思う。そしてあの時と同じく、私は赤面している。
 でもあの時とは違うことが一つある。
 オルヴィアス様が私を想っていると、知っていることだ。
 オルヴィアス様は、私に求婚した。
 蓮華れんげ畑で会った日から、惹かれていたのだと。
 心に秘めていた想いを、打ち明けてくれたのだ。
 ――そなたへの想いを認めた時に、永遠に片想いをする覚悟はできている。
 星がまたたいているような藍色の瞳で、私を熱く見つめてそう告げた。
 それを思い出して、余計に頬が熱くなってしまう。
 私は、彼に苦手意識を抱いていた。ロバルトお兄様に似て、率直な物言いをする彼が苦手だった。特にシュナイダーに対する物言いは、ロバルトお兄様を連想してしまい、求婚された時には即座に断った。
 でもそこを直すからもう一度考えてほしいと、こうしてオルヴィアス様は通い詰めてくれている。

「あ、あの、オルヴィアス様。お仕事の方は大丈夫でしょうか?」

 私はドキドキと高鳴ってしまう胸の音が聞こえてしまわないように、質問をしてみた。
 彼の仕事は、宮殿や女王陛下の身辺の警護。

「ああ、今日明日と休みをもらった。俺が二日いなくても大丈夫だ。ローニャの方こそ、今日は店を休んでもよかったのか?」
「はい。皆さんにはちゃんとお知らせしておきましたし、余裕を持って二日は予定しておかないと、何が起きるかわかりませんから……」

 キャッティさんによるトラブルを抜きにしても、備えておくに越したことはない。

「そなたにこれを貸そう」
「まぁ……エルフの剣ですか?」

 剣なら魔法で作ったものを持って行こうと考えていたのだけれど、オルヴィアス様はカウンターテーブルに美しいシルバーの輝きを放つ剣を置いた。エルフがきたえた剣は、羽根のように軽い。それでいて斬れ味は抜群ばつぐんだ。

「ではお借りしますね」

 見惚みとれてしまうほどなめらかな輝きに指を走らせてから、受け取ることにした。
 エルフの剣を収めて、腰に差す。
 カウンターテーブルの上に置いたバスケットには、念のため保護の魔法をかけた。

「そんな大きなものを持って冒険に行くのか? ピクニックではないのだぞ」

 優しく微笑むオルヴィアス様が、手を差し出す。
 持ってくれようとしているらしい。私が持つと言っても、オルヴィアス様は引き下がらないだろう。だから素直に渡した。

「いらっしゃいませ」

 カランカラン。今回はベルの音を聞き逃さなかった。反射的に、出迎える言葉が口をつく。

「あ、おはようございます……獣人傭兵団の皆さん」
「お嬢、休みなのにいらっしゃいませって言ったぁ。かっわいいー!」
「おはよう、ローニャ」
「はよー」
「……おはよう」

 人の姿をした獣人傭兵団さんが、白いドアをくぐる。
 先頭は、リュセさん。モデルのようにスラッとした体型と、キラキラした純白の髪とライトブルーの瞳の持ち主。にっこりと笑う。
 続いて入ってきたのは、セナさん。緑色の髪と瞳を持つ小柄な男性。
 眠そうにおお欠伸あくびをしたのは、チセさん。青い髪を立たせた大柄な男性だ。
 最後に入ったのは、シゼさん。漆黒の髪をオールバックにして、琥珀こはく色の瞳は鋭く、威圧的な存在感の持ち主。
 今日も、皆揃って傭兵団の黒のジャケットを着ていた。
 彼らの視線は、美味しそうな匂いを発するバスケットに集中している。

「朝食は食べてきましたか?」
「うん、食べてきたー……って、ローニャお嬢! かっこいいじゃん!」

 カウンターを出れば、リュセさんが目を輝かせた。
 チセさんは、一度はバスケットに戻した視線を再び私に向けて、まじまじと見てくる。

「ありがとうございます。ドレスだと冒険しにくいと思いまして」
「お、おい、ローニャ!」

 チセさんも目を輝かせて私に向かってこようとしたけれど、セナさんにえりを掴んで止められた。

「ローニャ、悪いんだけれど、コーヒーとラテもらえる?」
「いいですよ。コーヒー一つ、ラテ一つでいいでしょうか?」

 シゼさんの分とあわせて注文するセナさんに続いて、リュセさんが手を挙げる。

「あ、オレもラテ一つちょうだい。ミルク少なめ」
「はい。あ、チセさんとオルヴィアス様はどうしますか?」
「俺はいい」
「オレ、ジュース」
「今持ってきますね」


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