大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう

文字の大きさ
310 / 474
魔法学園の講師

第503話、学園探検と小さな命

しおりを挟む
 制服お披露目の翌日。
 朝食を食べ、俺の部屋に全員が集まった。
 ミュディにシェリー、ローレライにクララベル。ルミナにミュアちゃん。モフ助とエルミナだ。ミュアちゃんとルミナ以外全員制服だ……なんだろう、この御一行様は。
 俺は杖を取り出し、最終確認する。

「じゃあ、俺とシェリーは授業あるから。ミュディ、ミュアちゃんのことは任せたぞ」
「うん。まかせて」
「ローレライ、地図はあるな? 購買やカフェのある場所、わかるか?」
「大丈夫。ふふ、図書館の場所もばっちりよ」
「姉さま。お菓子屋さんもある?」
「もちろん。いろんなところを見て回りましょうか」
「はいはーい! 私はお酒飲みたい!」

 エルミナ、こいつはアホなのか?
 学び屋に酒を飲めるところなんてあるはずないだろ……と思っていると、シェリーが言う。

「酒場やバーは地下モールにあるの。でもそこ、十八歳以上で教師の許可がないと入れないんだって」
「え、そんな場所あるのか?」
「そりゃそうでしょ。教師だけで千人以上住んでるんだよ? ってか、お兄ちゃんの歓迎会も地下モールでやると思うよ」

 知らなかった。シェリー、いつの間に。
 すると、エルミナが言う。

「アシュト、許可ちょーだい♪」
「いや、わからんし。後でジーニアス先生に聞いてやるよ」
「えぇ~……」
「お昼までに聞いてやるから」

 ちなみに、お小遣いはみんな持っている。
 ローレライとクララベルはドラゴンロード王国からお小遣いをもらったそうだ。俺も兄さんや父上からけっこうな金額をもらっていた。使い道あまりないから金庫にしまってある。
 今回、そこからミュアちゃんやエルミナにお小遣いを渡した。

「にゃあ。お菓子たべたいー」
「うんうん。じゃあミュア、わたしとお菓子屋さんに行こっ!」
「にゃうー!」
「おい、そろそろ行くぞ」
『きゅぅぅ~』

 ルミナに袖を引かれ、俺は転移魔法を発動。
 俺の執務室に到着。授業の準備があるので外までの案内をシェリーに任せた。
 ミュディたちは学園を見学し、お昼に俺とシェリーに合流して食事する。
 夜は俺の歓迎会があるので、お昼だけしか一緒にご飯食べれないな。

「さて、授業の準備、と……」
「みゃう。モフ助、今日も頼むぞ」
『もきゅぅ』

 俺は今日の授業内容を確認するため、執務机に向かった。
 ルミナはソファに座り、モフ助をモフモフし始めた。

 ◇◇◇◇◇◇

 エルミナたちは、学園マップ片手に歩いていた。
 
「えーと、購買はあっちね」
「ん~楽しみ! ねぇシェリー、あんたも一緒に行きましょうよ!」
「いや、授業あるし……まぁ、今度休みになったら一緒にね」

 エルミナの誘いを断り、シェリーは自身の教室へ。
 ミュアは、ミュディと手を繋ぎながら歩いている。

「ミュディ、あまいの食べたいー」
「甘いのね。そうね、カフェに行く?」
「行く!」
「あ、お菓子屋さん行きたいー! 姉さま、いい?」
「いいけど……図書館も行きたいわ」
「はいはーい! じゃあこうしましょ! ミュディとミュアとクララベルはカフェ、私は購買、ローレライが図書館! 二時間後に飲食店街に集合で!」

 反対意見はなかった。
 ローレライは地図を暗記し、ミュディに渡す。そして上機嫌に図書館へ。
 エルミナは購買へ。いろんな商品がある購買は、エルミナにとって新鮮な場所なのだ。
 ミュディは、クララベルとミュアに言う。

「じゃあ、いこっか。最初は何を食べたい?」
「「ケーキ!」」
「ふふ。おいしい喫茶店に入ろっか」

 三人は、飲食店が並ぶ通りに歩きだした。
 すると───ミュアのネコミミがピコピコっと動く。

「……にゃう?」
「ん、どうしたの?」
「……なにか聞こえた」
「えー? ミュア、どうしたの?」

 ネコミミが動く。
 ミュディとクララベルは顔を合わせ、耳を澄ませるが……聞こえてくるのは、自分たちと同じ制服を着た男女の声ばかり。獣人、人間、翼人、蟲人……いろんな種族たちが登下校中だ。
 寮住まいの生徒も多いので、飲食店はすでに開いている。そこで朝食を済ませてくる生徒も多いとシェリーが言っていた。
 ミュアは、キョロキョロと辺りを見回す。

「あっち! あっちから声きこえるー!」
「あ、ミュアちゃん! 待って!」
「わわ、追いかけないとっ!」

 ミュアが走り出し、ミュディとクララベルも後を追った。
 ミュアは煉瓦造りの倉庫の裏へ。
 二人も後を追い、そこで見つけたのは……。

 ◇◇◇◇◇◇

 午前中の授業が終わった。
 俺とルミナ執務室に授業道具を置き、ミュディたちに合流すべく部屋を出ると……そこには、ミュアちゃんたちがいた。

「にゃあ……ご主人さま」
「ミュアちゃんたち。どうし……え?」

 ミュアちゃん、ミュディの手には……小猫がいた。
 一匹は真っ白な子猫。もう一匹はトラ模様の子猫だ。
 痩せ細っているのがわかる。すると、ルミナが言う。

「見せろ」

 再び執務室に入り、ソファに子猫を寝かせる。
 ルミナは診察を始めた。その間、俺はミュディに聞く。

「ミュディ、この子たちは?」
「あのね。倉庫の裏で鳴いてたの……ミュアちゃんが見つけて」
「にゃう。この子たち、お母さんとはぐれたみたいなの……お母さん、探したけどいなかったの」
「今、クララベルちゃんがエルミナとローレライを連れて探してる。もうすぐ戻ってくると───」
「たっだいま! お母さん猫見つけたわよー!」
『にゃあご』

 エルミナが執務室に入ってきた。手には大きなブチ猫がいる。
 子供の様子を見てバタバタ暴れはじめた。すると、ミュアちゃんが聴く。

「あなた、お母さん? こども、どうして……」
『にゃあう。ごろごろ……にゃぁご』
「そうなんだ……」

 そっか。獣人は動物と話ができるんだっけ。猫族は猫と、犬族は犬と、種族の元になった動物限定だけど。
 ミュアちゃんは俺に言う。

「お母さん、お乳が出なくて、栄養のあるご飯を探してたみたい……こども、弱っていくから、どうしようもなくて……にゃぁ、ご主人さま、なんとかしてあげて」
「わかった。とりあえず、猫が食べても大丈夫な栄養食を準備しないと。こういうのはシルメリアさんかな……」

 すると、ルミナの診察が終わった。

「栄養失調だ。だいぶ弱ってる……早くなんとかしないと」
「わかった。ミュアちゃん、お母さん猫がよければ、子猫たちを村に連れて行こう。いきなり栄養のある食べ物を食べても、すぐにお乳は出ないだろう。まず、子猫でも食べられる栄養食を、シルメリアさんに作ってもらおう……悪いみんな、お昼ご飯は」
「そんなの後でいいわよ! ね、ローレライ」
「ええ。クララベル、いいわね?」
「もっちろん! はやく猫ちゃんをなんとかしないと!」

 エルミナ、ローレライ、クララベル。もちろんミュディも了承した。
 さっそく転移で村に戻り、シルメリアさんに事情を説明。ルミナが傍に付きつつ、子猫の治療が始まった。
 俺はもうできることがない。ルミナを残して再び学園へ戻り、午後の授業の準備をするのだった。
 さすがに、歓迎会は出ないとな……子猫、大丈夫だろうか。
しおりを挟む
感想 1,145

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。