20 / 132
申し込み
しおりを挟む
「というわけで、チームが揃った」
「へぇ」
男子寮食堂で、エルクはニッケスと夕飯を食べていた。
今日の夕飯は日替わりメニュー。メインはオーク肉のソテー、エルクは満足そうに微笑む。
ニッケスは、オレンジジュースを飲みながら言う。
「そろそろ武道大会の申し込み始まるな。明日辺り、先生から話あるんじゃね?」
「そっか。あのさ、なんで『武道大会』っていうんだ?」
「確か、昔は肉体強化系のスキル使いだけしか参加できなくて、武器なしの素手による格闘しか使えない大会だったんだ。その時の名残っぽい」
「へ~」
「昔は、スキルも肉体強化系が多かったみたいだしな。今でこそ、いろいろ種類あるし……そういや、明日の授業は『スキルについて』だな」
「スキル、かぁ……な、スキル進化ってなんだ」
「…………」
ニッケスは、信じられないものを見るような眼をした。
「な、なんだよ……」
「お前、マジで世間知らずだな……スキルもらった時に神殿から少しは聞いただろ」
「えっと……」
スキルをもらったとき、『念動力』というハズレスキルのことばかり考えて聞いていない。
その後、ロシュオと決闘して殺されかけ、十年も眠っていたのだ。
そのあたりのことは、エマには内緒にしてもらっている。
「ま、明日の授業を楽しみにしとけ」
「え~」
ニッケスはオレンジジュースを飲み干し、おかわりを注いだ。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
教室に入ると、やや注目されたがエルクは無視。
自分の席に座り、教科書を机に入れていると、隣に座るヤトが言う。
「おはよ」
「ん、おはよう」
「チームメイト、見つかった?」
「ああ。なんとかな。これでチーム戦に出れる」
「ふーん」
「お前、個人戦に出るんだっけ?」
「ええ。あなたもでしょ?」
「ああ」
「楽しみ」
ヤトはポニーテールを揺らし、ニコッと笑う。
黒く艶やかな髪がさらりと流れ、赤い髪紐が同じく揺れる。
柔らかな微笑は、同年代の女子と思えないほど大人びて見えた。
エルクは、思わず顔を反らす。
すると、ガンボがのしのし歩いてきた。
「おう、放課後、時間あるよな?」
「おっすガンボ。今日もデカいな」
「うるせ。それより、時間あるな? あの、筋肉女と一緒に、チーム戦の申し込みしに行くぞ」
「え、受付始まったのか?」
「今日からだ。そのへん、先公から話あるだろうよ」
「わかった」
ヤトが「筋肉女……?」と呟いていたが、エルクは気にしない。
しばし、ガンボと話をしていると予鈴が鳴った。
教室に、シャカリキが入ってくる。
「はいは~~~い。授業始めます~~~……の前に、今日から『スキル武道大会』の申し込みが始まります。チーム戦、個人戦に参加したい方は、申込窓口まで書類提出してくださ~~~い。ああ、書類は窓口にありますんで、間違いのないように書いてくださいね~~~」
なんとも間延びした喋り方だった。
そして、シャカリキは思い出したように手をポンと叩く。
「あ、忘れてた。スキル武道大会について説明しなきゃいけなかった……え~と、『スキル武道大会』は、この学園の伝統行事の一つです。今回の第一期大会は、新入生を対象とした大会ですね。二期、三期は全員参加ですが、第一期大会の参加は自由。チーム戦、個人戦とありまして、チーム戦は三人一組、個人戦は勝ち抜き戦となってます。ふふふ、アタシは第一期大会が好きなんですよ。右も左もわからない雛鳥ちゃんが、拙くレベルの低いスキルをぶつけあう……なんとも、見てておもしろい」
「「「「「…………」」」」」
クラスがしーんとなる。
確かに、上級生に比べ、入学したての一年生の大会は技術も、スキルも拙い。
というか、話の順番がめちゃくちゃだった。
「ま、参加するならお早めに。では授業を始めます。今日は『スキルについて』学びますね~」
◇◇◇◇◇◇
スキルとは。
スキルは、十歳になると『神』から授けられる奇跡の力である。
昔はほぼ『肉体強化系』のスキルばかりだったが、今では種類も多く、数千種類のスキルが存在すると言われている。
スキルは大まかに分けて強化スキル。武器スキル。魔法スキル。特殊スキル。
この四つに分類される。
強化スキルは己の肉体を強化するのがメインとなり、武器スキルは武器を強化、魔法スキルはあらゆる魔法を使いこなし、それ以外のスキルは特殊スキルに分類される。
スキルにはレベルがあり、ランクがある。
最底がGランク、最高がSランク。
Sランクスキルは国が認めた最強のスキルで、現在五つ確認されている。
その五つのスキルを持つ冒険者を『五星』と呼び、ガラティン王国だけではなく、この世界で最も強大なスキル使いとして名を馳せている。
スキルには、レベルがある。
スキルごとに最高レベルというものがあり、そのレベルに到達すると『スキル進化』する。
進化したスキルは、そのスキルに応じ新しい効果を生み出す。
例えば、『鋼鉄化』
レべル1のスキルは『硬化』で、腕力向上の効果だけしかない。だが、レベル10になると『鋼鉄化』に進化し、レベル20になるとさらなる進化を遂げる。
だが、進化しないスキルもある。
例えば……『念動力』
最高レベルは10。能力は『小さな物を引き寄せる』効果がある。そう、これだけ。
ちなみに、スキルレベルを確認するには、『鑑定』のスキルで確認できる。
◇◇◇◇◇◇
「と、スキルはこんな感じですねぇ。あと、一般的なマナーとして、他人のスキルについて調べたり、干渉したりするのはダメですよ~」
エルクは教科書を見ながら、シャカリキの説明を聞く。
そして、ふと思う。
「そういえば……俺の念動力、レベルどのくらいあるのかな」
ピピーナとの訓練を思い出す。
最大レベルが10ということは知っていた。だが、今のレベルは?
ピピーナ曰く、あの『生と死の狭間の世界』ではレベルという概念が消える。二千年間鍛え続けた念動力……そもそも、測れるのだろうか?
「あ、自分のスキルレベルに興味がある方は、『測定室』でレベルを確認できます。ああ、有料なので、お金は自分で用意することね~」
エルクは自分のレベルを確認してみることにした。
◇◇◇◇◇◇
放課後になり、エルクはガンボと一緒にフィーネと合流した。
「やっほー! 今日もいい身体してるねぇ!」
「よし、チーム戦の登録しに行こうぜ」
ガンボはフィーネの発言をサラリと流した。
当然だが、フィーネは制服姿。昨日の薄手のタンクトップやスパッツとは違い、女の子らしく見える。
だが、靴ではなく分厚いブーツをはいていた。
足下を見過ぎたのか、フィーネがにんまり笑う。
「うふん♪ 女の子の足をジロジロ見ちゃダメよ?」
「ち、違うって。その、靴……分厚いなって」
「そりゃ武器ですから。申請すれば武器の携帯許されてるでしょ?」
「靴が武器?」
「うん。アタシ、格闘家だからね。グローブも持ってるよ?」
フィーネは、ポケットからグローブを取り出す。
ガンボも言う。
「オレは身体を固めれば武器になるから持ってねぇ。でも、武器を携帯してる奴はかなり多いぜ。まぁ、理由なく武器を使用したり、傷付けた場合は罰を受けるけどな」
「へぇ~」
「お前、マジで何も知らねぇのな」
「う、うるさい」
「あはは! ね、ね、アイス食べながら行かないっ?」
三人は、チーム戦の申し込み窓口へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
申込窓口は、訓練場の一つを丸々使っていた。
そこに、申込書はもちろん、武道大会の説明書きが多く壁に貼りだされている。
窓口も、十以上あった。
エルクは、個人戦の申込書とチーム戦の申込書を手に取る。
自分の名前、クラス、学生証に書かれた生徒番号を記入する。
チーム戦の用紙に、ガンボとフィーネも名前を書いた。
「よし、窓口に出してくる」
「ああ。個人戦のやつは自分で出す。チーム戦のは任せたぜ」
「じゃ、出してきま~っす」
フィーネ、ガンボは空いている窓口を探し、列に並ぶ。
エルクも、適当な列に並んだ。
エルクの前にいるのは、背の高いがっしりした体格の男子生徒。
「ん……?」
そして、気付いた。
どこかで見たことがある生徒だと思ったら……なんと、ガラティン王国王太子、エルウッドだった。
エルウッドは、エルクの声に反応したのか振り返る。
「や、こんにちは」
「ど、どうも」
爽やかな笑顔だった。
王太子なのに、普通に列に並んでいる。
エルクの視線に何かを感じたのか、少し苦笑した。
「いやぁ、こういう列に一度並んでみたくてね……それに、申込書を提出するっていうのも」
「なるほど……二枚あるってことは、チーム戦も?」
「ああ。そういう君も二枚か。ふふ、チーム戦に当たったらよろしく頼むよ」
「はい。よろしくお願いいたします」
そして、見てしまった。
「───……っ!!」
エルウッドの持つ申込書に書かれた名前。
ロシュオ、サリッサ。
「ん? ああ、オレのチームメイトが気になる? 実は、デオ王国のキネーシス公爵家から来た兄妹なんだ。知ってる? けっこう有名だと思うけど」
「ええ……痛いほど知ってます」
「そうなのか。デオ王国始まって以来、最高の才能を持つ剣士と魔法使いなんだ。オレも今からワクワクしてる」
「…………そうなんですね」
「ああ。本当に、素晴らしい兄妹だ。キネーシス公爵家の未来は明るいね」
ピシリ───と、エルクの立つ地面に、僅かな亀裂が入った。
念動力が暴走し、目の前に立つエルウッドが一瞬で肉塊になる───ことはなかった。
言ってやろうかと思った。
『その二人、キネーシス公爵家と結託して、実の兄を惨殺しましたよ』
まぁ、言えるわけがない。
だが……借りを返すチャンスは、訪れた。
今はまだ、このままでいい。
「おっと、オレの番だ。じゃあ、そういうことで」
「はい……」
武道大会のチーム戦。
エルクは、今まで以上にやる気が満ち満ちて来た。
「へぇ」
男子寮食堂で、エルクはニッケスと夕飯を食べていた。
今日の夕飯は日替わりメニュー。メインはオーク肉のソテー、エルクは満足そうに微笑む。
ニッケスは、オレンジジュースを飲みながら言う。
「そろそろ武道大会の申し込み始まるな。明日辺り、先生から話あるんじゃね?」
「そっか。あのさ、なんで『武道大会』っていうんだ?」
「確か、昔は肉体強化系のスキル使いだけしか参加できなくて、武器なしの素手による格闘しか使えない大会だったんだ。その時の名残っぽい」
「へ~」
「昔は、スキルも肉体強化系が多かったみたいだしな。今でこそ、いろいろ種類あるし……そういや、明日の授業は『スキルについて』だな」
「スキル、かぁ……な、スキル進化ってなんだ」
「…………」
ニッケスは、信じられないものを見るような眼をした。
「な、なんだよ……」
「お前、マジで世間知らずだな……スキルもらった時に神殿から少しは聞いただろ」
「えっと……」
スキルをもらったとき、『念動力』というハズレスキルのことばかり考えて聞いていない。
その後、ロシュオと決闘して殺されかけ、十年も眠っていたのだ。
そのあたりのことは、エマには内緒にしてもらっている。
「ま、明日の授業を楽しみにしとけ」
「え~」
ニッケスはオレンジジュースを飲み干し、おかわりを注いだ。
◇◇◇◇◇◇
翌日。
教室に入ると、やや注目されたがエルクは無視。
自分の席に座り、教科書を机に入れていると、隣に座るヤトが言う。
「おはよ」
「ん、おはよう」
「チームメイト、見つかった?」
「ああ。なんとかな。これでチーム戦に出れる」
「ふーん」
「お前、個人戦に出るんだっけ?」
「ええ。あなたもでしょ?」
「ああ」
「楽しみ」
ヤトはポニーテールを揺らし、ニコッと笑う。
黒く艶やかな髪がさらりと流れ、赤い髪紐が同じく揺れる。
柔らかな微笑は、同年代の女子と思えないほど大人びて見えた。
エルクは、思わず顔を反らす。
すると、ガンボがのしのし歩いてきた。
「おう、放課後、時間あるよな?」
「おっすガンボ。今日もデカいな」
「うるせ。それより、時間あるな? あの、筋肉女と一緒に、チーム戦の申し込みしに行くぞ」
「え、受付始まったのか?」
「今日からだ。そのへん、先公から話あるだろうよ」
「わかった」
ヤトが「筋肉女……?」と呟いていたが、エルクは気にしない。
しばし、ガンボと話をしていると予鈴が鳴った。
教室に、シャカリキが入ってくる。
「はいは~~~い。授業始めます~~~……の前に、今日から『スキル武道大会』の申し込みが始まります。チーム戦、個人戦に参加したい方は、申込窓口まで書類提出してくださ~~~い。ああ、書類は窓口にありますんで、間違いのないように書いてくださいね~~~」
なんとも間延びした喋り方だった。
そして、シャカリキは思い出したように手をポンと叩く。
「あ、忘れてた。スキル武道大会について説明しなきゃいけなかった……え~と、『スキル武道大会』は、この学園の伝統行事の一つです。今回の第一期大会は、新入生を対象とした大会ですね。二期、三期は全員参加ですが、第一期大会の参加は自由。チーム戦、個人戦とありまして、チーム戦は三人一組、個人戦は勝ち抜き戦となってます。ふふふ、アタシは第一期大会が好きなんですよ。右も左もわからない雛鳥ちゃんが、拙くレベルの低いスキルをぶつけあう……なんとも、見てておもしろい」
「「「「「…………」」」」」
クラスがしーんとなる。
確かに、上級生に比べ、入学したての一年生の大会は技術も、スキルも拙い。
というか、話の順番がめちゃくちゃだった。
「ま、参加するならお早めに。では授業を始めます。今日は『スキルについて』学びますね~」
◇◇◇◇◇◇
スキルとは。
スキルは、十歳になると『神』から授けられる奇跡の力である。
昔はほぼ『肉体強化系』のスキルばかりだったが、今では種類も多く、数千種類のスキルが存在すると言われている。
スキルは大まかに分けて強化スキル。武器スキル。魔法スキル。特殊スキル。
この四つに分類される。
強化スキルは己の肉体を強化するのがメインとなり、武器スキルは武器を強化、魔法スキルはあらゆる魔法を使いこなし、それ以外のスキルは特殊スキルに分類される。
スキルにはレベルがあり、ランクがある。
最底がGランク、最高がSランク。
Sランクスキルは国が認めた最強のスキルで、現在五つ確認されている。
その五つのスキルを持つ冒険者を『五星』と呼び、ガラティン王国だけではなく、この世界で最も強大なスキル使いとして名を馳せている。
スキルには、レベルがある。
スキルごとに最高レベルというものがあり、そのレベルに到達すると『スキル進化』する。
進化したスキルは、そのスキルに応じ新しい効果を生み出す。
例えば、『鋼鉄化』
レべル1のスキルは『硬化』で、腕力向上の効果だけしかない。だが、レベル10になると『鋼鉄化』に進化し、レベル20になるとさらなる進化を遂げる。
だが、進化しないスキルもある。
例えば……『念動力』
最高レベルは10。能力は『小さな物を引き寄せる』効果がある。そう、これだけ。
ちなみに、スキルレベルを確認するには、『鑑定』のスキルで確認できる。
◇◇◇◇◇◇
「と、スキルはこんな感じですねぇ。あと、一般的なマナーとして、他人のスキルについて調べたり、干渉したりするのはダメですよ~」
エルクは教科書を見ながら、シャカリキの説明を聞く。
そして、ふと思う。
「そういえば……俺の念動力、レベルどのくらいあるのかな」
ピピーナとの訓練を思い出す。
最大レベルが10ということは知っていた。だが、今のレベルは?
ピピーナ曰く、あの『生と死の狭間の世界』ではレベルという概念が消える。二千年間鍛え続けた念動力……そもそも、測れるのだろうか?
「あ、自分のスキルレベルに興味がある方は、『測定室』でレベルを確認できます。ああ、有料なので、お金は自分で用意することね~」
エルクは自分のレベルを確認してみることにした。
◇◇◇◇◇◇
放課後になり、エルクはガンボと一緒にフィーネと合流した。
「やっほー! 今日もいい身体してるねぇ!」
「よし、チーム戦の登録しに行こうぜ」
ガンボはフィーネの発言をサラリと流した。
当然だが、フィーネは制服姿。昨日の薄手のタンクトップやスパッツとは違い、女の子らしく見える。
だが、靴ではなく分厚いブーツをはいていた。
足下を見過ぎたのか、フィーネがにんまり笑う。
「うふん♪ 女の子の足をジロジロ見ちゃダメよ?」
「ち、違うって。その、靴……分厚いなって」
「そりゃ武器ですから。申請すれば武器の携帯許されてるでしょ?」
「靴が武器?」
「うん。アタシ、格闘家だからね。グローブも持ってるよ?」
フィーネは、ポケットからグローブを取り出す。
ガンボも言う。
「オレは身体を固めれば武器になるから持ってねぇ。でも、武器を携帯してる奴はかなり多いぜ。まぁ、理由なく武器を使用したり、傷付けた場合は罰を受けるけどな」
「へぇ~」
「お前、マジで何も知らねぇのな」
「う、うるさい」
「あはは! ね、ね、アイス食べながら行かないっ?」
三人は、チーム戦の申し込み窓口へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
申込窓口は、訓練場の一つを丸々使っていた。
そこに、申込書はもちろん、武道大会の説明書きが多く壁に貼りだされている。
窓口も、十以上あった。
エルクは、個人戦の申込書とチーム戦の申込書を手に取る。
自分の名前、クラス、学生証に書かれた生徒番号を記入する。
チーム戦の用紙に、ガンボとフィーネも名前を書いた。
「よし、窓口に出してくる」
「ああ。個人戦のやつは自分で出す。チーム戦のは任せたぜ」
「じゃ、出してきま~っす」
フィーネ、ガンボは空いている窓口を探し、列に並ぶ。
エルクも、適当な列に並んだ。
エルクの前にいるのは、背の高いがっしりした体格の男子生徒。
「ん……?」
そして、気付いた。
どこかで見たことがある生徒だと思ったら……なんと、ガラティン王国王太子、エルウッドだった。
エルウッドは、エルクの声に反応したのか振り返る。
「や、こんにちは」
「ど、どうも」
爽やかな笑顔だった。
王太子なのに、普通に列に並んでいる。
エルクの視線に何かを感じたのか、少し苦笑した。
「いやぁ、こういう列に一度並んでみたくてね……それに、申込書を提出するっていうのも」
「なるほど……二枚あるってことは、チーム戦も?」
「ああ。そういう君も二枚か。ふふ、チーム戦に当たったらよろしく頼むよ」
「はい。よろしくお願いいたします」
そして、見てしまった。
「───……っ!!」
エルウッドの持つ申込書に書かれた名前。
ロシュオ、サリッサ。
「ん? ああ、オレのチームメイトが気になる? 実は、デオ王国のキネーシス公爵家から来た兄妹なんだ。知ってる? けっこう有名だと思うけど」
「ええ……痛いほど知ってます」
「そうなのか。デオ王国始まって以来、最高の才能を持つ剣士と魔法使いなんだ。オレも今からワクワクしてる」
「…………そうなんですね」
「ああ。本当に、素晴らしい兄妹だ。キネーシス公爵家の未来は明るいね」
ピシリ───と、エルクの立つ地面に、僅かな亀裂が入った。
念動力が暴走し、目の前に立つエルウッドが一瞬で肉塊になる───ことはなかった。
言ってやろうかと思った。
『その二人、キネーシス公爵家と結託して、実の兄を惨殺しましたよ』
まぁ、言えるわけがない。
だが……借りを返すチャンスは、訪れた。
今はまだ、このままでいい。
「おっと、オレの番だ。じゃあ、そういうことで」
「はい……」
武道大会のチーム戦。
エルクは、今まで以上にやる気が満ち満ちて来た。
47
あなたにおすすめの小説
最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな
・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー!
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】
付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。
だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。
なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!
《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。
そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!
ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!
一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!
彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。
アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。
アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。
カクヨムにも掲載
なろう
日間2位
月間6位
なろうブクマ6500
カクヨム3000
★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる