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兄、敗北
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マルセイユ王国。
公爵家であるサーサ公爵邸の中庭で、俺ことマサムネは剣を持ち、弟のタックマンと対峙していた。
俺は、剣を振り被りタックマンを斬りつけ───。
「───ぐぁぁっ!?」
「そこまで!! 勝者タックマン!!」
剣が弾かれ、俺は情けなく地面を転がった。
擦り傷だらけで、血も出ている。だが……敗者である俺に手を差し伸べる者はいない。
そう、俺は負けたのだ───弟のタックマンに。
「へへ。今日からオレが次期当主だ……そうですよね、父上!!」
「そうだ。決闘に勝利した者が次期当主……マサムネ、お前の負けだ」
「っく……」
俺の名はマサムネ。
サーサ公爵家長男で、たった今次期当主の座を失った。
サーサ公爵家は武門の家系。当主は強くなければならないという決まりがある。
だが、俺は……剣も魔法も、なんの才能もなかった。
「父上。私が後継者ということで間違いないですよね?」
「うむ」
「では……兄上の処遇は、次期当主の私に一任していただけませんか?」
「ふむ? タックマン、何を考えている?」
「いえ。後継の資格を失ったとはいえ、兄は長男……このままこの地に残しておくと、よからぬことを考えるやもしれません。たしか、サーサ公爵家が管理する領地に、ユーリ領土という広大な地があったはず。兄上にはそこの管理を任せてみては?」
「なっ……た、タックマン!? ユーリ領地って……」
ユーリ領地。
サーサ公爵家が管理する土地だ。そこまではいい……だが、そこは。
「そこは、戦地だぞ!?」
そう、ユーリ領地は、数年前の戦争によって滅んだ大地だ。
何もない、焦土と化した大地。死者の血を吸いすぎた大地は黒く染まり、作物は育たず汚染されている。さらに、この地に住む人々は亜人種ばかり……人間の俺が生きていけるはずがない。
「ユーリ領地か。確かに、戦争が終わってから一度も手を付けていない領地だな……ふむ、いいだろう。マサムネ、お前にはユーリ領地の管理を任せる。公爵家の名に恥じない働きを期待しよう」
「そんな!? あんな枯れた大地の管理なんて!! それに、ユーリ領地は亜人種が大量に住んでいる地です!! 人間の俺が出向いたらどんな反発にあうか……」
「だが、誰かがやらねばならぬ。マサムネ、お前に任せたぞ」
「そんな……」
俺は見た。
タックマンが……黒い笑みを浮かべていたのを。
ユーリ領地を管理なんて、できるはずがない。
だって、ユーリ領地は……人間と亜人が戦争をして、亜人から奪い取った地なんだから。
サーサ公爵家が管理することが決まっていたが、戦争で荒れた土地なんて管理しているほど暇じゃない。亜人たちも少しずつ戻り始め、細々と暮らしているって聞いたことがある。
「では、後のことは任せたぞ。マサムネ」
父上は、屋敷に戻って行った。
そして……弟のタックマンが俺に言う。
「兄貴。サーサ公爵家はオレに任せろよ。へへ……ようやく邪魔者が消えたぜ。これからサーサ公爵家はオレのもんだ。オレがもっともっと大きくして、王国一の公爵家にしてやるよ」
「…………」
「ま、兄貴は荒れた地で畑でも耕してな。あーっはっはっは!!」
「くっ……」
俺は、完膚なきまでに敗北した。
サーサ公爵家長男マサムネは、荒れ果てたユーリ領地へ行くことになった。
公爵家であるサーサ公爵邸の中庭で、俺ことマサムネは剣を持ち、弟のタックマンと対峙していた。
俺は、剣を振り被りタックマンを斬りつけ───。
「───ぐぁぁっ!?」
「そこまで!! 勝者タックマン!!」
剣が弾かれ、俺は情けなく地面を転がった。
擦り傷だらけで、血も出ている。だが……敗者である俺に手を差し伸べる者はいない。
そう、俺は負けたのだ───弟のタックマンに。
「へへ。今日からオレが次期当主だ……そうですよね、父上!!」
「そうだ。決闘に勝利した者が次期当主……マサムネ、お前の負けだ」
「っく……」
俺の名はマサムネ。
サーサ公爵家長男で、たった今次期当主の座を失った。
サーサ公爵家は武門の家系。当主は強くなければならないという決まりがある。
だが、俺は……剣も魔法も、なんの才能もなかった。
「父上。私が後継者ということで間違いないですよね?」
「うむ」
「では……兄上の処遇は、次期当主の私に一任していただけませんか?」
「ふむ? タックマン、何を考えている?」
「いえ。後継の資格を失ったとはいえ、兄は長男……このままこの地に残しておくと、よからぬことを考えるやもしれません。たしか、サーサ公爵家が管理する領地に、ユーリ領土という広大な地があったはず。兄上にはそこの管理を任せてみては?」
「なっ……た、タックマン!? ユーリ領地って……」
ユーリ領地。
サーサ公爵家が管理する土地だ。そこまではいい……だが、そこは。
「そこは、戦地だぞ!?」
そう、ユーリ領地は、数年前の戦争によって滅んだ大地だ。
何もない、焦土と化した大地。死者の血を吸いすぎた大地は黒く染まり、作物は育たず汚染されている。さらに、この地に住む人々は亜人種ばかり……人間の俺が生きていけるはずがない。
「ユーリ領地か。確かに、戦争が終わってから一度も手を付けていない領地だな……ふむ、いいだろう。マサムネ、お前にはユーリ領地の管理を任せる。公爵家の名に恥じない働きを期待しよう」
「そんな!? あんな枯れた大地の管理なんて!! それに、ユーリ領地は亜人種が大量に住んでいる地です!! 人間の俺が出向いたらどんな反発にあうか……」
「だが、誰かがやらねばならぬ。マサムネ、お前に任せたぞ」
「そんな……」
俺は見た。
タックマンが……黒い笑みを浮かべていたのを。
ユーリ領地を管理なんて、できるはずがない。
だって、ユーリ領地は……人間と亜人が戦争をして、亜人から奪い取った地なんだから。
サーサ公爵家が管理することが決まっていたが、戦争で荒れた土地なんて管理しているほど暇じゃない。亜人たちも少しずつ戻り始め、細々と暮らしているって聞いたことがある。
「では、後のことは任せたぞ。マサムネ」
父上は、屋敷に戻って行った。
そして……弟のタックマンが俺に言う。
「兄貴。サーサ公爵家はオレに任せろよ。へへ……ようやく邪魔者が消えたぜ。これからサーサ公爵家はオレのもんだ。オレがもっともっと大きくして、王国一の公爵家にしてやるよ」
「…………」
「ま、兄貴は荒れた地で畑でも耕してな。あーっはっはっは!!」
「くっ……」
俺は、完膚なきまでに敗北した。
サーサ公爵家長男マサムネは、荒れ果てたユーリ領地へ行くことになった。
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